はじめまして

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はじめまして。蓮(はす)と申します。

私の名前は本来、漢字3文字のです。
みなさんから納得の評価を頂けるようになりましたら、一文字ずつ増やしていこうと思っています。


実家が神社や霊的に強い家庭に生まれた占い師ばかりの中で、私は……孤児。
母はマリア様かも知れないし、ヤンキーかも知れない。
施設の先生や仲間には感謝しかない。なぜなら、それで今の私がある、から。

施設の入り口に、おどろおどろしい鉄柵の犬小屋があった。
そこに犬がいて。
とにかくよく吠える怖い犬なんだわー黒と白が半々くらいなので「クロ」とも「シロ」とも呼べず、困ったもんだと思っていたら「勝勇・かつゆう」なんて立派な名前がついていた。
あの頃は野犬も多くてよく追っかけられたもんで、犬は嫌いなはずなんだけど、勝勇だけは好きだった。
見かけも強面ザ・番犬然として吠えるので、みんなビビってて。ででもね、私はよく話しかけてたのよ。辛いこととか、なんで? ってこととかさ、欲しいもののことも。
「ねーカツ聞いてよー」と言っても、思いっきり吠えられるだけだった。でも私は止めない。
いつまでもいつまでも、毎日毎日カツに話しかけていた。

私は給食のパンを食べたことがなかった。
担任も『施設の子だから』と何も言わなかった。
学校で習った通り、一口ずつちぎって柵の中にパンをねじ込む間だけカツは吠えることなく話を聞いてくれて、嬉しかった。

カツが死んだ。
みんなは私が殺したと言った。そんなのどうでもよかった。
ただ、カツがいなくなって寂しかった。
なのに明日から給食のパンが食べられると思うとウキウキしてしまっていた。

孤児に私学進学の選択肢はない。公立高校の一発勝負、そんな無茶振り慣れっこでも、流石に熟睡できずにいた。
「蓮ちゃん! 蓮ちゃん! 明日は大丈夫よ」
優しい女の人の声がした。四人部屋はイビキであふれている。なぜだか勝勇が柄にもなくお座りしてそこに、いた。
「カツがね、蓮ちゃんのお話面白かったって。パン、ごちそうさま、って。急に死んじゃってゴメンね、って。」
クオォォーンと勝勇が殊勝な声を出した。
「カツがね、蓮ちゃんの力になりたいって。カツね、あんなコワモテだけど、友だち多くて人気者なのよ。明日は大丈夫✨みんなで蓮ちゃん応援している」
女の人とカツの懐かしいビビっちゃうような遠吠え、リアルな三人のイビキが不思議と調和していた。

その日以降、特段不思議なことはなかった。でも、何となくカツのことを思い出したり、美しい声の女の人のことを思うことはあったりしたかな。
人ってゲンキン。孤児にしてはまともに学校へ行き、部活もして、カレシなんかも出来たりしたら、不思議体験のことなんて忘れて、すっかり俗っぽい生き方をしていた。

家柄ってものがないわけで、大した会社には就職できなかった。気付いたのは遅かったが資格取得のために勉強を始めてみる。
睡眠不足と勉強のイミフさに、いつもイライラしていた。
ストレス解消はカレシ。give me.give me.give me.私の言うこと聞いてくれなきゃイヤ。私、忙しいんだから。あなたのこと? 男でしょ、ご自分で。私、孤児だしーーカレシっていうものは、自分の都合で取り替えるものだと思っていた。
お陰で試験に合格し、スーツ着てバッジ付けて気張って働いた。


ある日――
「キレイゴト言ってんじゃねーよ」
勝勇だった。かわいい顔したフクロウにいきなり殴られ、私は気を失った。
その日の夜の出来事ーー【神眼】を授かった経緯は、また別の機会に。


「法律ではこうなるんだけど、嫌だよね。」
法律家としてあるまじき発言をして以降、私は身分を伏せて【神眼】霊視鑑定士として活動しております。厳密にいうとチーム活動です。
私は、お悩みを持つ方を救い続けたい。
それが、孤児である私の使命だと思うのです。
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