よくわかる地域アセスメント【流れで解説】

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皆さん、こんにちは!

最近では、共生社会の実現や、重層的支援体制整備事業に「地域づくり」など位置づけらるなど、地域への支援に対してクローズアップされることが増えてきています。

地域の支援というと社会福祉協議会が思い浮かびますが、実際にどんなことをしているのかいまいちわからないというのが正直なところかと思います!

地域支援はコミュニティ―ワークという手法によって進められるのですが、このプロセスは個別支援のプロセスと似通っていて、プロセスの一部に個別支援同様にアセスメントをするフェーズがあります。

これを地域支援では地域アセスメントあるいは地域診断と呼びます。

個別の支援と同様に支援対象者(クライエント)をしっかりとアセスメントすることが求められるわけですね。

そこで、今日はこの地域アセスメント(地域診断)についてご紹介したいと思います。

他にも記事をかいていますので、良かったら読んでください

ソーシャルワークの展開過程と面接技術について【たった一つの重要なポイント】】 - よくわかる介護ブログ (swhiro.blog)

【場合によって】ソーシャルワークの実践モデル【使い分け】 - よくわかる介護ブログ (swhiro.blog)

【あるとないでは大違い】身寄りがない人の支援その⑤【7つの備え】 - よくわかる介護ブログ (swhiro.blog)

地域支援が求められる背景は、少子高齢化と家族等との縁やつながりがなくなったことによる「孤立」です

日本の福祉は、困窮者への対処から児童、障害、高齢と分野ごとに歴史や社会情勢から必要に迫られたところから法整備等を進めてきたことから、分野ごとの縦割りになっています。

そのため、市役所の人も好きで縦割りにしているのではなく、そもそも法律がそうなっているので、法律に従う役所もそうなっているということですね。

しかし、このような公助中心の福祉では制度の狭間など隙間ができてしまいます。

障害の子を持つ高齢者の世帯等で世帯全員に何らかの支援ニーズがあったり、一人でも様々な医療、介護、障害など多岐にわたる課題を持っている人などでは、こっちの問題は介護です。あっちの問題は障害です。お金の話は生活困窮や生活保護です。では、支援を必要としている人が制度に振り回されて、支援を受けるどころではなくなってしまいます。

このような隙間を日本では重層的包括的な相談支援体制の構築を市町村ごとに地域の実情に合わせて作って、相談を一括で受けれる窓口や相談機関同士が連携して世帯に対して統一した支援を行うことで解決してくださいよと言っています。つまり、市町村が体制を作る必要があるわけですね。

それと共に、介護が必要にならないようにとか、自律した生活を営めるように地域に中で社会参加したり、その地域に必要な生活支援サービスを互助、つまり助け合いで自分たちで作っていきましょう。創る方の住民さんもそれが生きがいになって、張りのある生活が営めて、そういった活動も大きな意味で介護予防になりますよ。というのが、生活支援体制整備事業です。

こんな感じで、互助等地域の資源による生活課題の解決が求められていると言えるでしょう。これも、市町村ごとに体制づくりすることになります

つまりは、市町村を単位とした地域福祉の推進が強く求められているということです。

このような取り組みによって目指されている地域はケアリングコミュニティと呼ばれ、地域共生社会の実現では「誰一人見捨てられない地域」を作るとことが必要になってきています。

地域福祉の専門家は黒子の様に暗躍します

このような、互助による生活課題の対応等、ケアリングコミュニティを作るためには、地域福祉の推進に関する実践を行う必要があります。

多くの地域福祉の推進に関わる実践では、制度施策にあてはらまないマイノリティなニーズへの対応を起点にして、その人の住む地域にある地域特性をしっかりと把握したうえで、住民さんを主役として活躍できるように、地域福祉の専門家は黒子の様に暗躍することになります。

また、地域にある生活課題、あるいは福祉課題は様々な分野の専門家の協力なくしては成り立ちません。

そのため、地域福祉の専門家に求められるのは地域ニーズの把握、分析、見立てに基づいて地域への支援目標、計画作成、コミュニティーワークのプロセスをしっかりと踏んでいき、解決のために必要な住民さんとのネットワーク、専門家とのネットワークを作る能力であると思われます。

地域アセスメントの項目は非常に広範です

このような実践では、一体地域の何が問題でどんなことが必要なのか?という個別支援でいうアセスメントが最重要となります!

これを地域アセスメント(地域診断)と言います。

地域アセスメントとは、対象となる地域について客観的指標やきめ細かい観察を通して、地域ごとの問題、特徴を把握することから、地域にある課題を分析し導き出す手法です。

そのため、地域アセスメントの項目は広範にわたります!

個人の生活課題から地域にある資源、地域で行われる福祉活動の内容等本当に広範に及びます。

また、そういったものだけではなく地域にある特性として、どんな歴史があって、そこに住む人が大切にしているものはどんなもので、という一見福祉には全く関係ないような地域の自慢話などにも地域での課題解決の種が隠れていることから、こういったものにも興味をもって話を聞いて集めていく必要があります。

また、地域福祉の推進の主体は住民であることから、地域アセスメントそのものを住民、関係者・各種団体・専門職とどのように実施していくかを検討するなど、たくさんの人を巻き込んで行うことにも留意しておく必要があります。

専門職だけで地域アセスメントをするのではない、すべてのプロセスに住民との協働が肝心ということですね。

地域アセスメントで収集する情報は大きく分けて、量的な情報と質的な情報があります。

地域アセスメントの具体的方法としては、一つは統計データ等の収集(人口統計、介護保険のデータ等)と既存資源のリストアップ、アンケート調査等の量的情報収集です。

もう一つは地域住民・活動当事者・各団体・専門職等との共有の場(ワークショップ・座談会等)、地域住民等に対するインタービュー等による質的情報収集です。

このような量的、質的情報をもとに地域福祉の専門家は住民や関係者と共に、支援対象となる地域の特性を把握したうえで、強み、弱み、生活福祉課題等の地域ニーズの分析から今後地域で必要とされる活動をプログラムしていくことになります。

もうちょっと具体的にどんな手法があるのか見ていきましょー

統計データの収集

人口、世帯数、要介護認定率などの既存の統計データの多くは行政のホームページから確認することができるでしょう。その他、介護保険の計画や地域福祉計画、社協でする地域福祉事業計画などにもアンケートがされている可能性があるので、そういったところからも情報は確認できるかもしれません。

地域にある病院、施設、公共施設なども同様ですね!

大切なのは、個人のフェイスシートを作成するように基本情報の確認なのか、何らか問題や課題を確認する、あるいは仮説を実証するなど集める目的を明確にしておくことです。

集め出すと楽しくなって、コレクターの様に全部集めるまで気が済まなくなることがあるのですが、ここはぐっと我慢です。

目的にそった情報を集めましょう!

地域住民、福祉活動者、団体、専門職などとの共有の場(座談会、ワークショップ)

標題のような場を設定することで、質的な情報を集めたり共有することができます。

例えば「地域の夢」などのテーマで話し合うことで、参加者がどんな地域を目指したいのか、活動の起点などが確認したり、共有できるでしょう。

一方で、専門職からしか見えない地域課題というもの存在します。そういったものを直接住民さんに押し付けることができませんが、住民さんの「なりたい地域」と「地域課題」をうまくすりわせるコーディネートができるのが地域福祉の専門家と言えるでしょう

最初は、ちょっと怒られたり、あんたらは何もしないと言われたりしてへこたれることもありますが、誠心誠意、真摯に「地域を良くしたいんです」というこちらの態度が伝われば、「じゃあどうしたらいいのか」と言ってくれる日が必ず来ます。こうなればこっちのもので「一緒に考えましょう」と提案することができ、地域の課題を一緒に考えてくれる人が増えたということになります。

ここで注意しなければならないのは、地域の課題を考えたり確認するステップの全てに、その地域に住む住民さん、あるいは当事者が参加して共有していることが重要です。当事者である住民さんが不在の資源開発には何の意味もありません。

住民さんや当事者に参加してもらうことで、目指す地域像が常に更新され改善点などがしっかり共有できて、本当に有益な検討や活動が行えるでしょう!

地域住民との会話・訪問・インタビュー

サロンや集い、体操等介護予防活動など様々な活動が地域には存在します。このような活動に対して運営支援や働きかけを行うもの地域福祉の専門家の役割ですが、そういった支援の場面でも質的な情報収集が可能です。

井戸端会議、立ち話、会議が終わったとのちょっとした時間など色々な機会をとらえて行う会話から、その人の活動や問題意識が見えてきたりもします。

ここで確認できる情報は、会話を行う人の主観によるものですが、実際に生活している住民さんの生活感覚から出てくる情報は、我々専門職では気づきにくい視点が多々含まれています。

かなり、重要な情報を聞ける機会も多かったりします。(このような情報を重要かどうか判断できるかどうかは、専門家の腕やアンテナの立ち方にもよるかなっと思います。なるべく、地域で起こっていることに興味を持つことがコツです!)

一方で、目的をもって、ちゃんと時間を取ってもらってインタビューするというもの、また質的に待ったく深度が違う情報を得ることができます。この場合は、目的を明確にして質問項目を構造化しておくなど、インタビューを取った後の分析方法まで想定して行うことが必要でしょう。けっこう深く分析やアンケートの返し方、利用する方法などなどちゃんと考えてないと失敗に終わることの方がいいと感じます!要注意です。

アンケート

インタビューと似ていますが、どちらかというと量的な調査になるので特定の地域全体の把握、あるいはすでに仮説が立てらている地域課題の実証、さらなる細かいニーズの拾い出しなどをしたいときに行う感じです。これもインタビューと同じで、目的を具体的かつ明確にしたうえで、分析方法、返し方、利用方法など後々のことまでしっかり考えて行わないと、したはいいけどこれからどうしたらいいのか?ということになってしまいます。

情報収集の留意点

上記の方法はあくまで一例です。これだけが方法ではないので、地域の状況や目的などに照らし合わせて行う必要があるでしょう。また、情報収集がアセスメントではなく、その分析をすることまでが地域アセスメントですので情報収取だけして満足していてはいけません。しっかりと分析していきましょう!

地域アセスメントは分析まで行うことで意味を持ちます!

これまでは、主に地域アセスメントの中でも情報収集の方法論についてご紹介してきましたが、今度は収集した情報をどう分析するのか?ということを考えていきたいと思います。

情報の分析を言うと、とりあえずある情報を収集できた情報から、さぁここからどう分析しようかな?となることが多いと思うのですが、実は情報がただあるだけでは分析することはできません。

地域アセスメントの流れも、個別ケースのアセスメントと一緒です。

地域アセスメントにおいて、明らかにしないとならないことは大枠で決まっています。それは、地域にある生活課題です。個別ケースでも一緒ですね。どんな問題が生活を阻害しているのか?を見極めてそれに対応をしていきます。

地域課題も一緒です、その地域に住む人がどんな生活課題を抱えているのか?それを、個別にサービス調整するのではなく、地域の環境自体にアプローチをしていって、生活課題がそもそも発生しないようにとか、生活課題があったとしても地域で生活ができるとか、困ったとしても解決につながるようになっているという環境、あるいは体制を作っていくのが地域支援です。そして、そのために行わなければならないのが地域課題ということになります。

地域アセスメントの流れ その① まずは情報を様式にまとめよう!

地域資源の把握とか、日々の業務での関り、インタビュー、アンケート、座談会などによって地域の情報は質的に量的にも集まると思います。

この情報はただ持っているだけでは意味を成しません。項目ごとに分けて整理したり、端的に記述したりして見える化をしていく必要があります。

色々な市町や社会福祉協議会では地域アセスメントをまとめる様式ありますので、そういったものをまずは使ってみるのがいいでしょう。もちろん、所属組織にもすでにそういったものがあるとは思いますので、とりあえず何も考えずに様式に落としていってみるといいでしょう!

そうすると、情報収集の「穴」が見えてきたりもします。この情報は聞いていないな、どうやって調べるのかなというものが出てくるはずです。それは、また機会があるときに徐々に集めていきましょう。そうすることで、収集した情報の質が徐々に上がっていきます。

そして、まとめてみることで一番重要なのは、先ほども書きましたが、どんな生活課題があるのかなと考えることです。

地域アセスメントの流れ その② 問題を考えよう!

集まった情報から問題を考えていきます。ここでは問題を考える材料を例として提示します

住民の声(住民が感じる問題)

様々なかかわりの中で、色々な問題意識に関わる声を聴くことでしょう

集いに認知症に人がいて心配、一人暮らしだけど家事になったらどうしよう
足が悪くてサロンにこれなくなった人がいる。デイサービスには行っているようだけど、またサロンにも来れないかしら
○○マンションでは孤独死があった。
○○地域では高齢者が多いように感じるが、みんな家にいてつながりが内容に感じる

などなど、このような住民の声は地域の生活課題を知っていくための足掛かりです。問題によっては緊急性があり、個別支援を行える機関と連携する、あるいはリファー(送致)することもあるとは思います。しかし、個別支援につながったので、地域支援に関わりがないかというとそうではありません。個別支援でその人の生活課題は解決するかもしれませんが、また同じような課題がある人が地域にいたり、新たに生まれたりすることに対して地域の環境あるいは体制に働きかけねばなりません。

専門家が感じる問題

地域の中が全てつながっているわけではありません。当然、地域から「孤立」している方のことは把握されていませんし、障害があったり、認知症あったりと地域から疎まれてしまっているケースもあると思います。

しかし、そのような方も地域に住んでいる一員には違いなく、このような方の持つ課題は専門職からしか見えない場合もあります。

誰も見捨てられない地域を作るためには、地域住民さんが気づけない地域課題を専門職の方から、押し付けにならないように気を付けて、慎重に共有することも必要となってきます。

統計等から考えられる将来リスク

他にも量的な情報から、将来対象となる地域で起こるリスクの予測が可能になる場合あります。日本全国では高齢者人口の増大がすでに予測されており、これはどこの地域にも共通します。だからといって、「高齢者が増える」ことが問題なのではなく、この地域に高齢者が増えた時にどうなるだろう?何か困ることがあるか?という視点で考えていくことが大事です。

問題とは、変えるべき現状と読み替えるとわかりやすいかもしれません。もしかしたら、高齢者が増えたとしても、特に困ることはないということが様々な角度から検証されて確認できていれば、現状を変える必要がありませんもんね。

しかし、ほとんどの場合で「問題ない」といってもそれは検証されておらず、現状が見えてないだけということが多いので注意が必要です。

地域の問題は「仮説」をたてて、それをそこに住む住民さんと共有されることで確定し、対応が始められます。

ここまでは、地域アセスメントの中での地域の問題(変えるべき現状)の考え方を提示してきました。しかし、これは地域福祉の専門家が頭の中で、うんうんうなりながら考える「仮説」にすぎません。しかし、この「仮説」を根拠を持って、しっかりと考えておくことで、次のステップである、住民さんとの共有をスタートすることができるのです。

この後のステップをすべて書き始めると、明日の朝までかかるので今回は地域アセスメントに限ってのお話なので以後は割愛します。また、機会があればまとめていきたいと思います。

地域福祉の推進には、専門家の育成が必要です。

ここまで地域アセスメントの話をしてきました。地域アセスメントは地域福祉の専門家が行う専門技術ではありますが、そのすべての過程において住民さんあるいは多機関多職種との協働が必要です。

このような取り組みが行える地域福祉の専門家の養成は基礎的なソーシャルワークを深く理解したうえで実践を積み重ねるなど、すごく時間がかかります。

また、地域包括ケアシステムの構築の失敗に見られるように個別課題から地域課題への転換などのプロセスが整理されていないことから、その実践について困難がたくさんある状態だと思います。

最後に

今回も思うがままに自由に書いてみたので、非常に読みにくかったと思います。ここまで読んでくださった皆様に感謝します。

とりあえず、地域アセスメントについては本当に思うがままに書いてみました。需要があるのかはすごく疑問ですが。個人的には満足できたので良しとします。

皆さんからもコメント等いただけると嬉しいです!
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