能力が目覚めた日

記事
占い
前回の続きです

私は戸惑いました。
目の前にいる彼は、あきらかに、私が知っている彼じゃない。

もともと相談しようと思っていたこと。
聞かれて、守ってくれる、と言っている。
そのときの私なら「良かった、力強い」と思うはずなのに
後頭部あたりから、ものすごい警報が鳴っているような気がしました。

分かった、ありがとう。
でも、ちょっと、私も整理できてないから、明日ゆっくり話すね。
私は、そんな事を言って、いつものように夕食の支度を始めました。

彼はわかった、待ってるね、と言っていた気がしたのですが、
なぜか、知らない人が話しているような、宇宙人が話しているような、
すごく妙な感覚でした。

夕食を食べ、お風呂に入り、さあ寝よう、というとき、
彼は私の部屋で寝ようとしてきました。

同棲している婚約者なら不思議ではないのですが、
もともと平日の寝室を別にしたい、と言っていたのは彼の方。

それまでの私なら、心細いとき自分の生活パターンを変えてまで一緒にいてくれるなんて、優しい!素敵!と思ったに違いありません。

ですが、私の部屋で、私のベッドに腰かけ、私の掛布団をなでる彼が、とても気色悪く感じ、私は今日はお腹が痛いから、おならしちゃったら恥ずかしいから、と言って、彼を彼の部屋へ押し込めました。

今の私であれば、相続は配偶者には関係のないこと。ましてや婚姻前。いや、婚姻後であれ「管理して(あげる)」なんていう不届き者に対し、知識と人生経験から彼がいかにおかしい事を言い出したのかは、わかります。

ですが、当時の私は兄に注意するように言われていたものの、そんなピンとは来てはなく。ただただ、彼の中の何かが「豹変した」事を本能で感じ取り、一つ屋根の下にいることが怖く感じていました。

そして、そんな自分にとても戸惑っていました。

その夜、目は冴え、妙に動悸が収まりませんでした。
それでも、寝よう、寝よう、と必死に目を閉じ、布団の中で身を小さくしていたとき、ピリっと何かが破れるような音が小さくですが聞こえました。

「?」

私はその音に反応し、目を開けました。
すると

あの男はもうだめだ

という文字が脳内に流れました。

私が「彼の事だ」と思った次の瞬間、

この家を出ろ
あの男は母親に言った
弁護士はお前の母親に篭絡された
今までの考えじゃダメだ

などという言葉がテキストになって、脳内をダーーーーと流れ出しました。

次回に続く

ではでは、またまた










サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す