割増賃金の算定基礎となる賃金とは?

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法律・税務・士業全般
本日のテーマは「割増賃金計算の基礎となる賃金」とは何なのかについて解説したいと思います。

割増賃金は以下の計算式によって算出します。

割増賃金 = 時間当たりの賃金額 × 時間外労働を行わせた時間数 × 割増率

時間当たりの賃金額 は給与形態によって違ってきます。

月給制の場合
時間当たりの賃金額 = (月給 + 資格手当 + 精勤手当) / 1か月の平均所定労働時間数

日給制の場合
時間当たりの賃金額 = 日給 / 1日の所定労働時間数 + (資格手当+精勤手当) / 1か月の平均所定労働時間数

時給制の場合
時間当たりの賃金額 = 時給 + (資格手当+精勤手当) / 1か月の平均所定労働時間数

上記算式から割増賃金の算定基礎はあくまでも「労働の対価として支払われる賃金」であることがおわかりいただけるかと思います。

では、「家族手当」や「住宅手当」等の労働と直接的な関係が薄く、「個人的事情に基づいて支給される賃金」についてはどうでしょうか?

結論から申し上げますと割増賃金の算定基礎から除外することができます。

労働基準則21条では割増賃金の算定基礎から除外できるものとして以下7種類の賃金を列挙しています。

(1)家族手当

(2)通勤手当

(3)別居手当

(4)子女教育手当

(5)住宅手当

(6)臨時に支払われた賃金

(7)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

上記7種類の手当は労働の対価として支払われるものではありませんから当然と言えば当然ですよね。

ではもう一歩踏み込んで最近流行りの「インフレ手当」「物価上昇応援手当」についてはどうでしょうか?
最近の物価高騰により社員の生活を支援する目的でこういった名称の手当を支給する企業も増えてきました。

結論から先に申し上げますと「割増賃金の算定基礎にはならない」となります。

昭和22年発基17号 第三七条関係には以下の記載があります。

(一) 家族手当、通勤手当及び規則第二一条に掲げる別居手当、子女教育手当は名称にかかわらず実質によつて取り扱うこと。

つまり「インフレ手当」や「物価上昇応援手当」は仮に「物価手当」や「生活手当」等の名称であったとしてもその実質は「家族手当」に該当すると考えられます。

何故なら物価の高騰は扶養家族が多ければ多いほどその影響を受けやすいからです。
そもそも「労働の対価」として性質を持ち合わせている賃金ではないので理解しやすいかと思います。

本日はここまで。

割増賃金の算定基礎についてでした。

しかし、真夏日が続いていて暑いので皆さんくれぐれも体調管理には気をつけてくださいね。
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