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スマホで監視し合う社会の到来―国民相互の監視社会の功罪を考える―

 今年11月5日、新宿・歌舞伎町の路上でホストの男性が交際相手の女性にカッターナイフで刺された事件が発生した。女性は殺人未遂の容疑で現行犯逮捕されたのだが、この事件が注目されたのは救助に当たった医師や一般女性の助けを呼ぶ声を聞きながらも笑ったり、動画撮影に興じる人たちがいたことだった。救護に当たった一人である医師免許を持つ実業家の男性はABEMA Primeに実名と顔出しで登場し、「民度の低さが一線を超えている」という強い言葉を発していた。    撮影者にも色んな思惑があるだろう。非日常的な場面に遭遇してとっさに救護したり救急車を呼ぶなど迅速に動く人間もいれば、そうでない人間もいる。そうでない人間の中にも、専門家でもない自分が駆けつけても邪魔になるだけだと遠慮する人もいれば、その状況を見守り熟考した後に合理的判断を下そうとする人もいるだろう。あるいは、まったく他人に無関心な人もいるだろう。ここではどれが正解かの倫理的問いを立てたいわけではなく、スマホのカメラを向ける人の心理はどれに与するのかを考えてみたいのだ。  残念ながら、今回議論を呼んだ撮影者は、その非日常の出来事とそれを証明する動画を「誰か」や「何か」に見せることに関心があって、先のどれにも与しなさそうに思える。しかし、もしかすると、何かあった時に役立つ(状況)証拠を残しておきたい(ドライブレコーダーはまさにそう)人たちかもしれない。しかし、笑いながら動画を撮っていたという証言から想像するに、おそらく「知り合いに自慢しよう」、「SNSに載せたらバズるかも」程度の感覚で撮影していたように思う。先の実業家の男性は次のように言
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【オリエンタリズム】でサイードは何を訴えたかったのか

(1)はじめに 国際関係学部や外国語学部、文学部の入試小論文の受験生に対して、基本文献としてサイードの『オリエンタリズム』を紹介する。 特に比較文化論を大学で専攻する受験生は、入学後のゼミの必読書として読まされる可能性が大であるから、今から買っておくのもよいだろう。 また、哲学科や慶應義塾大学文学部、秋田国際教養大学受験生も読んだほうがいいだろう。 内容は多少難しいので、通読するのは無理であれば、序説だけでも読むことをお勧めする。 (2)『オリエンタリズム』の衝撃 パレスチナ系アメリカ人の文学評論家エドワード・サイード(إدوارد سعيد Edward Wadie Said、1935 - 2003年)は、1978に発表した『オリエンタリズム』(今沢紀子訳、平凡社、1986年/〈平凡社ライブラリー〉、1993年)の中で、これまで西欧人が東洋に対して抱いてきたイメージを厳しく批判し、西欧のエスノセントリズム(自民族優位主義)を暴き、世界に衝撃を与えた。 この本の中では、古代ギリシャ詩人のアイスキュロスからユゴー、ダンテそしてマルクスに至るまで、東洋蔑視のオリエンタリストとして槍玉に挙げている。 はじめにオリエンタリズムとは何かをサイードの言葉で簡単に定義すると「『東洋(オリエント)』と(しばしば)『西洋(オクシデント)』とされるものとのあいだに設けられた存在論的・認識論的区別にもとづく思考様式」ということになる。 この思考様式を解きほぐすことで、東洋ではなく、鏡像としての西洋(人)の本質をあぶりだすことができる。 『オリエンタリズム』とは、東洋を理解するための研究ではなく、逆説
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聖ジュネ 否、聖鶴瓶

フーコーは鶴瓶を知らなかったし、ましてiphone12など念頭になかった。権力や政治の眼差しが高見的で監視、見張ることであり、見られる我々は搾取され、管理される家畜のような存在でしかなかった。冷たい眼差しに対して睨み返す、力対力の闘争劇を繰り広げるのもまた人間として風情のある営みなのかもしれない。しかしながら、現代に生きる我々は冷たい視線に対してiphone12で「見せつける」作り笑いと乱痴気騒ぎで撹乱し、しなやかに回避する。フーコーはジュネを賛美し「聖ジュネ」と称えた。私はテレビ東京を出禁になった頃のあのモジャモジャ頭の鶴瓶を「聖ツルベ」と崇めている。だって、くだらない闘争をユーモアでぶっ壊してくれたんだもの。
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日々の叡智(2020/06/26)

新型コロナウイルス感染症による社会的混乱・不安が収束するまでを目途に、原則的に毎平日、偉大な人物たちのことばをアップします。 このような時代(とき)だからこそ、皆さんが、毎日わずかな時間でも心を落ち着かせることができ、また、皆さんの心に響くことばと出会っていただくことができれば、幸いです。 「哲学ダイアグノーシス Philosophical Diagnosis」 チャンネル登録をお願いいたします。
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