“かゆい所に手の届く” 表式
統計検定などで統計学の勉強をしていると
「畳み込みの式ってなんでこんな形してるんだろう?」
と思うこと、よくありますよね。俺は変数変換の話の方が気になる!という方はこちらをどうぞ。今回は
山上 滋(著), 谷島 賢二(編). (2019). 量子解析のための作用素環入門.: 共立出版.
の中に畳み込みの形を納得するためのヒントを見つけたよ というお話です。この説明に入る前に、先ずは畳み込みがどのようなものか思い出しておきましょう。関数 f, g の畳み込み f*g とは以下のように定義される関数の事である:f*g(x) = ∫ f(y)g(x - y) dy統計学では独立な確率変数の和の確率密度の計算などで登場してくるのでしたよね。他にも、フーリエ変換によって掛け算と畳み込みが移り変わることからフーリエ解析でも基本的な概念になっています。そして『量子解析のための作用素環入門』で見つけた群環 (group algebra) と畳み込み環 (convolution algebra) の関係が、畳み込みの表式を上手く説明するヒントになっているのです。群環とは群 G から生成された自由ベクトル空間でその要素は∑_{ g ∈ G } a(g) gという形で表されています。( a(g) は複素数です。)ベクトル空間なので和は良いのですが、積も群の積を拡張するような形で定義して定義しておきます。すると ∑_{g ∈ G} a(g) g と ∑_{g ∈ G} b(g) g の積は∑_{ g ∈ G }∑_{ (g', g'') | g'g'' = g } a(g') b(g'') g= ∑_
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