日々を ばら色に
小さなBOXの中で、ユメを売る仕事をしていました。宝くじ売り場の窓口に座っていたのです。宝くじ売り場では、くじ券やお釣りをトレーにのせて小さな受け渡し口からお渡しします。私が毎日見ていたのは、その受け渡し口に伸びるお客様の「手」でした。本当に毎日毎日、人の手ばかり見ていました。宝くじ売り場には、どこの売り場にも「当たりやすい常連さん」がいるといいます。私のいた売り場にも、オンラインくじを度々当てる常連さんがいらっしゃいました。そのお客様の手のひらが、ふっくらとされていて線が濃いなと思ったのです。これは、運と何か関連性があるのかと、人の手相に興味を持つようになりました。そしてそれが、手相占いを始めるきっかけになりました。宝くじ売り場といえば窓口の販売員に瘦せた人はいないとか「福」の付く名字の人が多いとかとにかくコロコロ笑う人が採用されるとかさまざまな都市伝説がありますけれどたしかにとても縁起の良さを大切にする仕事でした。毎日暦をチェックして、寅の日や巳の日、一粒万倍日のシールポスターをペタペタと貼ります。招き猫なんかも窓口に置きます。売り場で使っている小さなビニール袋(主にバラ売りの通常くじ券をお客様に渡す時にそこに入れていました)も、黄色とピンク色の二種類でした。黄色のビニール袋にくじ券を入れる時は「この黄金(こがね)色の袋にお入れしますね」ピンク色のビニール袋に入れる時は「このばら色の袋にお入れしますね」と言ってお渡しする慣習がありました。そして最後に「当たりますように」と言い添えます。お客様に開運を。お客様の未来がばら色でありますように。売り場を離れた今も、また。ご依頼者様
0