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スマホで監視し合う社会の到来―国民相互の監視社会の功罪を考える―

 今年11月5日、新宿・歌舞伎町の路上でホストの男性が交際相手の女性にカッターナイフで刺された事件が発生した。女性は殺人未遂の容疑で現行犯逮捕されたのだが、この事件が注目されたのは救助に当たった医師や一般女性の助けを呼ぶ声を聞きながらも笑ったり、動画撮影に興じる人たちがいたことだった。救護に当たった一人である医師免許を持つ実業家の男性はABEMA Primeに実名と顔出しで登場し、「民度の低さが一線を超えている」という強い言葉を発していた。    撮影者にも色んな思惑があるだろう。非日常的な場面に遭遇してとっさに救護したり救急車を呼ぶなど迅速に動く人間もいれば、そうでない人間もいる。そうでない人間の中にも、専門家でもない自分が駆けつけても邪魔になるだけだと遠慮する人もいれば、その状況を見守り熟考した後に合理的判断を下そうとする人もいるだろう。あるいは、まったく他人に無関心な人もいるだろう。ここではどれが正解かの倫理的問いを立てたいわけではなく、スマホのカメラを向ける人の心理はどれに与するのかを考えてみたいのだ。  残念ながら、今回議論を呼んだ撮影者は、その非日常の出来事とそれを証明する動画を「誰か」や「何か」に見せることに関心があって、先のどれにも与しなさそうに思える。しかし、もしかすると、何かあった時に役立つ(状況)証拠を残しておきたい(ドライブレコーダーはまさにそう)人たちかもしれない。しかし、笑いながら動画を撮っていたという証言から想像するに、おそらく「知り合いに自慢しよう」、「SNSに載せたらバズるかも」程度の感覚で撮影していたように思う。先の実業家の男性は次のように言
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「情報化社会と監視社会」岡山大学法学部後期(夜間)2018年

(1)問題 問題1次の文章を読んで,以下の問いに答えなさい。 (1)著者は,フーコーの監視社会の概念には,下線部「いろいろ手直しが必要」であると述べている。著者によると,近年の議論ではどのように変更されているか,説明しなさい。(300字以内) (2)現代の情報化社会は,パノプティコンがいっそう拡張・浸透した監視社会であるのだろうか。情報化社会がもたらす安心・安全や利便性にも留意しながら,あなたの考えを述べなさい。(600字以内) ① …ここであらためて「監視社会」の問題を考えてみたいと思います。「監視社会」という言葉を,小説の世界ではなく,哲学において鮮明に打ち出したのは,フランスの哲学者ミシェル・フーコー『監獄の誕生-監視と処罰』(1974年)です。フーコーはこの書で,イギリスの功利主義哲学者ジェレミー・ベンサムが考案した監獄・パノプティコン(一望監視施設)にもとづいて,近代社会のあり方をパノプティコン社会と見なしたのです。このパノプティコンを,フーコーは次のように説明しています。 (パノプティコンは)塔のてっぺんからそれを囲んで円形に配置された囚人用監房を監視するといった建築プランで,逆光になっているので相手に見られることなく。中央から一切の状況や動きを監視できるというものです。権力は姿を消し,二度と姿を現さないが,存在はしている。たった一つの視線が無数の複眼になったも同然で,そこに権力が拡散してしまっているわけです――現代の,それも「モデル」と称されている最新の刑務所でさえ,多くはこの原理の上に成り立っています。 ② フーコーによれば,刑務所だけでなく,近代社会全体が
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