プラスチックは安っぽい?

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コラム
『プラスチックは安っぽいから使わない』
私がモノづくり相談を受ける際によく聞くフレーズです。

安っぽいというのはどういうことなのか。
実際に価格で言うと鉄の価格はkg辺り600~800円、アルミは250円程度、レアメタルであるチタンなどは7000円程です。
プラスチックは種類により価格に幅がありますが、汎用樹脂と呼ばれる価格帯の安いPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)などは220-600円程です。エンジニアリング樹脂(エンプラ)と呼ばれるものだと300-1500円、高機能ゆえ高いとされるスーパーエンプラになるとこれ以上、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)という樹脂に至ってはkg辺り10000-40000円という超高価格です。
プラスチックは全般的に金属よりも高いのです。

ここで最初の言葉を思い出してみます。この言葉を発した方はどういう意図だったのか。
壊れやすい?軽い?質感?おそらくは金属と比較して脆い事を言っているのだと思われます。
しかしながらこれは大いなる誤解で、耐久力という面でもプラスチックが強い場合があります。
例えば機動隊が持つ透明な盾。これはPC(ポリカーボネイト)という耐衝撃性能の高いプラスチックが使われています。拳銃の玉や散弾銃くらいなら跳ね返します。
金属ではこうはいきません。凹みや歪みが生まれ、その上重いので取り回しが難しいです。比重で言うとPCは鉄の15%、アルミの半分以下の質量です。

プラスチックは特定の機能において金属を上回る機能を有します。
先に挙げた例以外にも耐薬品性能、耐候性能、柔軟性、弾性、グリスレスで摺動する性能など金属を使うよりも重量や性能でコスパの高さを発揮します。

リサイクル性に関してもペットボトルの原料として知られるPET(ポリエチレンテレフタレート)のリサイクル率は85%ほどあります。
きちんと分別すればかなりのリサイクル効率が見込めます。

個人的な意見ですが、最初の『使わない』という言葉。これには強く反論したいと思います。
『あなたの着ているYシャツも履いてる靴もパンツのゴムもプラスチックだけどどうする?傘は和紙でも使うの?家の壁紙も洗面台も歯ブラシだってプラスチックですよ?』
自然素材のみを使うのは現実的ではありません。適材適所です。

プラスチックは様々な場所に使われ、生活を送っていく中でもう切り離せないものです。壁紙も塗料も洋服も家具にも家電にもそれらを作る産業機械にもプラスチックが使われています。
最近プラスチックストローを廃止して木製ストローなどが出てきたり、コンビニ袋をエコバックに置き換える動きなども出てきていますが、一昔前は森林伐採で環境が破壊されているからという理由で木を使うのはやめる動きがありました。また同じことが繰り返されるのでしょうか?

置き換えたエコバックもポリエステル素材(PET)などが多く、結局はプラスチックです。木製ストローも紙パックもプラスチックのコーティングが施されています。複合材なので処理は燃やす以外の選択肢はなく、リサイクルは不可能です。企業はそこには触れません。実は単体素材で作られるコンビニ袋が一番エコなのです。燃焼効率も良いのでCO2排出量も少なくて済みます。

最初の言葉を発する人の多くは思い込みで安っぽいと言っています。
世間で言われている事、人に言われたことを鵜呑みにせず、自身できちんと調べることによって新しい知識を得ることができます。
ホントに安いの?ホントに脆いの?今一度考える機会を。
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