【機胡録(水滸伝+α)制作メモ 002】盧俊義

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※補足1:生成画像は全てDALL-E(Ver.4o)を利用している。
※補足2:メモ情報は百度百科及び中国の関連文献等を整理したものである。
※補足3:主要な固有名詞は日本訓読みと中国拼音を各箇所に当てている。

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『水滸伝(水滸伝/shuǐ hǔ zhuàn)』の概要とあらすじ:中国の明王朝の時代に編纂された、宋王朝の時代を題材とした歴史エンターテイメント物語。政治腐敗によって疲弊した社会の中で、様々な才能・良識・美徳を有する英傑たちが数奇な運命に導かれながら続々と梁山泊(りょうざんぱく/liáng shān bó:山東省西部)に結集。この集団が各地の勢力と対峙しながら、やがて宋江(そうこう/sòng jiāng)を指導者とした108名の頭目を主軸とする数万人規模の勢力へと成長。宋王朝との衝突後に招安(しょうあん/zhāo ān:罪の帳消しと王朝軍への帰属)を受けた後、国内の反乱分子や国外の異民族の制圧に繰り出す。『水滸伝』は一種の悲劇性を帯びた物語として幕を閉じる。物語が爆発的な人気を博した事から、別の作者による様々な続編も製作された。例えば、『水滸後伝(すいここうでん/shuǐ hǔ hòu zhuàn)』は梁山泊軍の生存者に焦点を当てた快刀乱麻の活劇を、『蕩寇志(とうこうし/dàng kòu zhì)』は朝廷側に焦点を当てた梁山泊軍壊滅の悲劇を描いた。
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盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)
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<三元論に基づく個性判定>
1番 **とても強い生存欲求**、**とても強い知的欲求**、**とても強い存在欲求** - **「全方位の探究者」** - あらゆる分野で積極的に探求し、知識を深めることに喜びを感じる。

<概要>
盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)、あだ名は「玉麒麟」(ぎょくきりん/yù qí lín)。梁山泊集団の二番目の頭領。堂々として外見で、情に厚く義理堅い性格を有する。感情を内に秘め、武芸に秀でた人物。棒術は天下無双であり、『水滸伝』の中で武芸第一とされている。河北の地域にいる三大武芸は「河北三絶」と呼ばれ、「盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)の棒術」はそのひとつ。残りの二つは「燕青(えんせい/yàn qīng)の格闘術」「張清(ちょうせい/zhāng qīng)の飛び石」。この「河北三絶」は全員が梁山泊集団に所属する事になる。

元々は河北大名府(現在の河北省邯郸市大名県)の大富豪。妻の賈氏(かし/jiǎ shì:名前ではなく「賈さん」の意)、執事の李固(りこ/lǐ gù)と燕青(えんせい/yàn qīng)と共に家を治めていた。大地主、商人として才覚を発揮していたが、李固と賈氏に奸情(不倫)があり、これを梁山泊集団の呉用(ごよう/wú yòng)たちが利用。強引な方法で盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)は梁山泊集団に引き入れられる事となった。梁山泊集団においては宋江(そうこう/sòng jiāng)に続く第二の頭領となり、朝廷の招安を受けた後、遼国(りょうこく/liáo guó)、田虎(でんこ/tián hǔ)、王慶(おうけい/wáng qìng)、方臘(ほうろう/fāng là)の討伐軍の指揮に当たった。討伐戦が終わると武功大夫、庐州安抚使兼兵馬副総管に任命されたが、蔡京(さいけい/cài jīng)や高俅(こうきゅう/gāo qiú)らの奸臣の策謀によって食事に水銀毒が盛られて道中で病に倒れた。何とか船で庐州(ろしゅう/lú zhōu)に戻ろうとしたが、その途中で足を滑らせて溺死した。

<外見>
目は大きく二重瞳、眉は八字形、身長は九尺で銀のように輝いている。威風堂々とした姿は天神のよう。得意とするのは棒術で、その技は天下一品。家系は清白で、代々の大富豪。戦場では敵に臨み、万馬を突き破り、千軍を掃討する猛将である。また、忠義に厚く、勇壮な気風が天にも届く。慷慨(こうがい:不正行為に激しく憤る強い正義感)の気が強く、義に厚い。その名声は天下に広がっている。

<人物評価>
・『水滸全伝』では、「盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)、史文恭(しぶんきょう/shǐ wén gōng)、杜遷(とせん/dù qiān)の三傑が一流の武芸者である」と紹介されており、天下の武芸と力量の総合力で最強であると評価されている。特に盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)は馬歩軍の中で棍棒や鋼槍を用いると右に出る者はないとされた。

・王望如による批評では、「盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)は運に見放された人物だ。無駄に棒術を用いてその名を京師に轟かせた結果、梁山泊に追いやられて落草(山賊に身を落とす事)する羽目になった」とある。

・金聖嘆の『読第五才子書法』には、「盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)」と柴進(さいしん/chái jìn)は共に高貴な身分を有する英雄として描かれているが、その物語の終わり方にはどこか愚かさを感じざるを得ない。例えばラクダを描くように、巨大な物体ではあるが、見ていて美しくないといった具合である。特に柴進(さいしん/chái jìn)は長所が見当たらず、ただの好客に過ぎないという印象がある」と書かれている。

<原型>
『水滸伝』で、宋江(そうこう/sòng jiāng)と共に108名の英傑を統率した指導者として描かれた盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)であったが、歴史上の「宋江の反乱」に参加した現実の36名の中にはその名前はない。しかし、宋元時代の小説形式の時事記録『大宋宣和遗事』には「玉麒麟・盧(黄丕烈元刊本では李)進義」という人物が存在し、これが盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)の原型であった可能性がある。この『大宋宣和遗事』は、盧進義は孫立(そんりつ/sūn lì)など11人を率いて太行山に上り、後に梁山泊集団の頭領になったという物語を示している。
また同時期の画集『宋江三十六人赞』の画を紐解くと、ここでは宋江の三十六人の名前とあだ名が初めて完全に記録されており、その中に盧俊義(ろしゅんぎ/lú jùn yì)も含まれている。(ただし、やはり名前は盧俊義ではなく盧進義と記されている。)

<三元論に基づく盧俊義の特殊技能設定>
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※イメージ画像

#### 具術(ぐじゅつ/jù shù)
**「風刃の舞」**
この具術は、盧俊義が卓越した武器の使い手であることを反映している。風のような素早い動きで敵を翻弄し、致命的な一撃を放つ技である。

- **効果**:
  - **道具性(とても濃い)**:この具術は武器(特に剣や槍)に依存しており、盧俊義の卓越した武器の扱い能力を最大限に活かす。
  - **思考性(濃い)**:戦術的な判断力が必要で、敵の動きを見極めて最適なタイミングで技を繰り出す能力を求められる。
  - **関係性(薄い)**:個人戦での技であり、直接的な人間関係の影響は少ない。

#### 心術(しんじゅつ/xīn shù)
**「天の計」**
この心術は、盧俊義の優れた戦略家としての一面を表現している。敵の動きを予測し、戦局を有利に導くための策略を巡らせる。

- **効果**:
  - **道具性(薄い)**:この心術は物理的な道具には依存せず、盧俊義の思考と知識に基づく。
  - **思考性(とても濃い)**:高度な戦略的思考力が必要で、敵の心理や戦局を分析する能力を重視する。
  - **関係性(濃い)**:戦術の立案や部隊の指揮において、他の仲間との協力が不可欠であり、集団の動きを統制する能力を強化する。

#### 導術(どうじゅつ/dǎo shù)
**「盟友の心」**
この導術は、盧俊義のリーダーシップと人心掌握術を表している。仲間との絆を深め、共に戦う意志を強固にする。

- **効果**:
  - **道具性(薄い)**:この導術も物理的な道具には依存せず、盧俊義のカリスマ性とリーダーシップに基づく。
  - **思考性(濃い)**:仲間の心理を読み取り、適切な言葉や行動で共感を得るための洞察力が必要である。
  - **関係性(とても濃い)**:仲間との信頼関係を強化し、集団としての結束力を高めることが主な目的である。

### 総括
盧俊義は、武器の達人であり、優れた戦略家であり、信頼される指導者だ。彼の持つ「具術」「心術」「導術」の特殊技能はそれぞれ異なる側面から物語世界に影響し、彼を万能な英雄として際立たせるものとなる。

※編集協力:彩文華
※画像:DALL-E
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