不動産会社の営業マンは、「聞かれなければ伝えない」

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 先日、あるお客様から「家の購入を検討しているのですが、大丈夫でしょうか?」と、不安気な声で、ご相談が御座いました。
 私が、「案内時に不動産会社の営業マンは、何か気になる事を言っておられましたか?」と、お客様へお尋ねすると、「特に気になる事は何も仰らず、今日まで売れなかった理由は何だと思われますか?と聞いた際も、『駐車場が無いからだと思います』との回答だったので、私自身は何か問題がある家との認識はありません」との事。
 そこで私が一言、「不動産会社の営業マンへ『……?』という質問をして頂き、その回答をお教え下さい」とお伝え致しました。
 後日、お客様からご連絡があり、不動産会社営業マンへ行った先の質問の回答から、その不動産が、『違法建築』である事が判明致しました。
 そうです、その不動産がこれまで売れなかったのは『駐車場が無い』からではなく、『違法建築である為、住宅ローン等の銀行融資審査が通らなかった』為だったのです。
 もうお気付きかと思いますが、その通りです。こちらのお客様は、「現金で不動産を購入予定されているお客様」だったのです。その事を聞いた不動産会社が「銀行の審査を必要としないお客様」である為、「自社で売却依頼を受けている融資審査が通らない物件を、こちらのお客様に買って頂こう」と、勧めてきた訳です。
 「でも、実際購入するとなると、重要事項説明があるので、その時点で気付くのでは?」と思われる方も多いかもしれません。では上記のケースの場合、重要事項説明書では何と記述されるのか?
 「建築確認済証なし」(注:下記参照)
不動産業界の者ならいざしらず、1時間以上の長い時間を要する重要事項説明(説明とは名ばかりで、ほとんどの宅建士は単に読み上げるだけです)の最中に、宅建士の口から2~3秒でこぼれ落ちる、このたった8文字から「この不動産は、本来行うべき申請をしておらず、この先、この不動産を売却する必要が生じた際、『金融機関から見て担保としての評価がつかないこの家を、それでも現金で購入する程気に入った方』が見つかるまで決して売れる事はない」と理解出来るでしょうか?もちろん、例え売れたとしても、通常、金融機関の担保評価が出ない不動産は、評価の出る同等の不動産と比べて安くなる事がほとんどです(※厳密には、売却価格が、更地の相場価格から更に、建物を解体する費用を引いた位の価格であれば、もちろん銀行の担保評価は出ます)。
 今回一番の問題は、これら「購入の意思決定において重大な要素」である情報が、「質問しないと入手出来なかった」という点です。
 全ての不動産会社の営業マンがそうとは申しませんが、実際にこの種のケースが、弊社がこれまで受けたご相談事において、大変多いのも事実です。
 この為、不動産会社営業マンへの質問の仕方は、不動産取引において極めて重要となる訳です。
 先頃、国土交通省は、入居者らが死亡した住宅を取引する際の告知指針を発表し、「病気や老衰による自然死、階段での転落や入浴中の溺死など不慮の死は原則、不動産業者が買い主や借り主に『告げなくてもよい』と明記し、不動産業界に衝撃が走りました。ですが、ここで重要なのは、「『告げなくてもよい』とは、『嘘を言っても良い』ではない」という事です。
 今後、「不動産会社営業マンへの『質問のノウハウ』」は、これまで以上に重要な要素となるでしょう。

皆様の不動産取引が成功する事を心よりお祈り申し上げます。
SAB株式会社

(注)全ての建物において「建築確認済証なし=違法建築」という意味では無く、上記のケースの場合、「建築物が合法と判断するには建築確認済証の発行が必要要件」だったという意味です

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