初心者やカメラを初めて買う人がチンプンカンプンになりがちなカメラ・写真用語あれこれ レンズ偏

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カメラが多機能化して、理解しなければならない用語が増えています。せめて基本的なものだけでも用語がわからないことには、せっかくカメラが持っている機能も使わずじまいになることも多くなります。

一方で、要らない機能まで搭載されている製品を買ってしまい、余分な金額も出してしまいかねません。

まずは、レンズについて、基本的な用語をピックアップしておきます。

F値(えふち)

絞り値 copy.jpg
かつてはほとんどのレンズにあった絞りリングと、そこに刻まれたF値。今も絞りのメカニズムはレンズ内にあるが、絞りリングはなくし、制御はカメラボディー側でするものが多い。しかし、やっていることは同じなので、これらの数値の意味も覚えておいたほうがいい。初めて見る人は、何の数字の並びか、わからないかもしれない。実は、√2刻み(1.41倍刻み)になっている。

絞りリングは、これらの数値のところでクリック感があるように作られているが、途中のところも有効だ。
「F値(絞り値)」を辞書的にいえば、「Fはfocal(焦点)の略。F値はレンズが通す光の量を表す指標のこと」です。また、その数字は、「レンズの有効口径÷焦点距離」で求めることができます。

この計算方法のために、光をいっぱい取り込む状態ほど小さな数字に、逆ほど大きな数字になります。しかも、√2の等比級数です。

以上の話では、ピンとこないでしょう。

かつては、どのレンズでも、根元近くに絞りリングがあり、ここに2、2.8、4、5.6といった具合に√2刻み(1.41倍刻み)で数字が書かれていました。この章では写真をつけておきますので、チェックしてください。

この数値がそのレンズのF値です。隣の大きい方の数字へと絞りリングをひとつ動かす度に、レンズの“窓”が絞られ、通る光の量が半分に減ります。

近年は絞りリングはなくし、カメラボディーの設定で変化させる製品が珍しくなくなりました。ただ、ファインダー内や背面モニターにF値を表示することはできますし、すぐに目に入るようにもなっています。

シャッタースピードとの兼ね合いで変化させることが大半です。仮に、何かを撮ろうとして、「シャッタースピード250分の1秒、F値8」で適正露出(ちょうどいい光の量)だとします。その適正露出を保ったままシャッタースピードを4倍早い1,000分の1秒に変化させるのならば、F値は数値としては半分の4にしなければいけません。

同様に、125分の1に変化させるのならば、F値は11です。「2倍の長さの時間、“窓”を開けることにしたので、“窓”が開いている面積は半分にした」ということです。

開放F値

レンズ開放 copy.jpg
レンズのF値で、選ぶことができる最も小さい値を「開放F値(開放絞り値)」といいます。メカニズムとしての「絞り」は全開した状態のため、この名前が付いています。また、この開放F値が小さいレンズを「明るいレンズ」、大きいレンズは「暗いレンズ」と呼びます。

ただ、言葉としての区別をしないことも多く、「開放F値」も単に「F値」と呼ぶことが珍しくありません。どちらの意味で使われているのかは、文脈で判断するようにしましょう。

・値が小さいほど背景をぼかすことができる

レンズの商品名に「50mm F1.4」や「24mm F2.8」とあれば、この「F○」が開放F値です。「50-230mm F4.5-6.7」ならば、50ミリで使っている場合の開放F値がF4.5、そこからだんだん暗くなり(開放F値が大きくなり)、最後230ミリでF6.7になる」の意味です。

同じ焦点距離ならば、開放F値が小さいレンズほど、被写界深度を浅くした写真が撮れます。「前景・背景をぼかして撮ることができる」ということです。シャッタースピードも、より高速まで選択することができます。

・デジタル一眼レフならば、値が小さいほどファインダーが見やすい

また、開放F値が小さいと、デジタル一眼レフの場合に、もうひとつ大きなメリットがあります。

デジタル一眼レフでは、シャッターを切った瞬間だけ、メカニズムとしての絞りがF5.6やF11などの指定された状態になります。ファインダーをのぞいている際には、絞りは全開状態です。

そのため、開放F値が小さいレンズほど、明るくはっきりとファインダー内の光景を見ることができます。逆に、開放F値が大きいと薄暗い状態でしか見ることができません。

一方、ミラーレスの場合、シャッターを切る前の時点でも、レンズを通ってきた光景はいったん電気信号に変え、それを再生したものをファインダー内や背面のモニターに映しています。明るい暗いの調整ができ、しかも自動です。ファインダー内や背面のモニターでチェックする画像に、開放F値の大きい・小さいは影響しません。

・ズームレンズと単焦点レンズ

ズームレンズが持つ弱点のひとつが、「開放F値が大きい」です。これには「前景・背景をぼかして撮ることは難しい。できない」「デジタル一眼レフの場合は、ファインダー内で確認する光景が薄暗くなる」が伴います。

また、焦点距離によって開放F値が変化するものが大半です。初心者が持っているものに限ると、ほぼ100パーセントでしょう。といっても、シャッタースピードとF値の組み合わせをオートで撮っている人は、まず気にしていないはずです。

この組み合わせを自分で決め始めると、とたんに問題が発生します。仮に、「50ミリ相当、シャッタースピード500分の1秒、F値2.8」で、適正露出(丁度いい明るさ)だとします。そこから200ミリ相当などにズームすると、「開放でもF5.6しかない」といったことがしばしば起こり、シャッタースピードも選び直さざるをえません。

開放F値が変化しないタイプのものもあるにはありますが、高価で重くなります。また、それでいて、単焦点レンズと同等になるほどの開放F値の小ささになるものはま稀(まれ)です。

ピント・被写界深度

ピント関連で、カメラメーカーがよくセールスポイントにしているのが、「ピントを合わせるスピード(合焦点速度)が速い」です。たしかにそれも大事なのですが、ほかにもチェックするところはいくつかあります。

・ピントが合う距離は1点だけ

ピントそのものについては、初心者であっても大半の人は「説明は不要」と思っているでしょう。しかし、勘違いしている人は少なくありません。ピントと被写界深度を一緒にして覚えているようなのです。

ピントが合う距離は1点しかありません。2メートル先ならば、その2メートル先だけです。2メートル50センチ先や、5メートル15センチ先でも同じです。ただ、レンズの焦点距離とF値次第で、その前後までくっきりと見える範囲があります。これを「被写界深度」と呼びます。おそらくは多くの人は、被写界深度のことを「ピント」と呼んでいます。

・マクロレンズとは

また、レンズのスペックをチェックするときは、「最短撮影距離」も気にした方がいいでしょう。その言葉のとおりに、ピントを合わせることができる最短距離です。これが大きいと、近寄って撮ることができません。

この最短撮影距離でも、ズームレンズよりも単焦点レンズが有利です。

また、この最短撮影距離を特別に短くしたのが、マクロレンズです。その能力を図る主要な数値に、「撮影倍率」があります。「イメージセンサー上に記録した像と、実際の像の大きさの比率」をいいいます。

もし、直径20ミリの一円玉が、イメージセンサー上で10ミリにまでできるのならば、撮影倍率は「2分の1」、同じにまでできるのならば、「1倍(等倍)」です。

ちょっとよくなるだけで、一気に値段が高くなるレンズの世界

同じ焦点距離のレンズの場合、少し開放F値を小さくするだけで、等比級的にレンズは大きく重くなり、値段も高くなります。例えば、ニコンの「AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G」が重量330グラム・希望小売価格101,750円であるのに対し、わずか半絞り明るい(光を取り込む量が約1.5倍)「AF-S NIKKOR 28mm f/1.4E ED」は645グラム・271,700円です。

実売価格は、それぞれこの7、8割のようです。倍以上違うことには変わりありません。こんなにも違うのは、それだけ設計や、製造での精度も保つのも難しいからのようです。これは単焦点レンズでもズームレンズでも違いはありません。

「これだけの余分なお金を出すだけの価値はあるかどうか」で迷うところでしょう。「懐具合次第だろう。ただ、この程度の差(半絞りの差)ならば、大半の人は違いが出るほどの使い方はしない」が正直な感想です。

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