撮った本人は気がついていないが、写真を見る人が不快・不安になる 下手な撮り方・雑な撮り方あれこれ

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下手な写真を見て、愉快になる人などいないでしょう。ところが、そういった人でも自分が写真を撮る側・出す側になると、見る人を不快にしたり不安にしたりするほどの下手な写真を平気で出してしまいます。気がついていないのです。

今回は、見る人を不快・不安にする写真の代表的なパターンを紹介しましょう。

1.水平が取れていない(傾いている)

建築物、屋内の建具や家具、水平線・地平線など、水平に置かれているはずのものが斜めになった写真は、強い不安感を与えます。冒頭の鉄道写真が一例で、左に傾いています。

ただ、画像の中に水平であるべきものがまったく写っていなければ、かなりの斜めでも、その斜めであることに気が付きません。その場合は、あまり気にしなくていもいいかもしれません。

初心者向けの解説では、「わざと斜めにすることで、画像に動きが出せます」としているのもよく見かけます。正直にいって、嫌な気分になります。「動きが出る」と「不安定になる」は同じ話ではないでしょうか。

また、撮影するときの姿勢にもよりますが、シャッターを切るときは、斜めになっていることにはなかなか気が付きません。初心者の場合は、直前までカメラを水平に保っていても、シャッターを切るときに指先や腕に力が入って、カメラを傾けてしまうこともよくあります。

多少のことは仕方がないので、あとでPhotoshopなどの写真加工ソフトを使って、傾きを直します。

2.関節切り写真

ヒジ、手首、腰、ヒザなど、関節部分で切れている写真を「関節切り写真」といいます。これら以外ではよくあるのは、足首や手の指先で切れているパターンです。

たとえば、脚を例にすると、ちょうどヒザや足首の上で切れているのはNG、スネや太ももの途中で切れていればOKです。

見る人の感覚が左右するものなので、説明するのも変な話かもしれません。それでも、「関節切り写真が、なぜ見る人を不快・不安にするか」といえば、「そこから先の様子がイメージできないから」です。

スネを例にすると、ヒザに近いところであれ、足首に近いところであれ、途中であればスネのラインを見ることで、画面の外の様子もいくらか想像できます。逆に、きっかりとヒザで切れていたら、すぐ先の画面の外で、どのくらいの角度でスネが伸びているのかの情報がありません。そのために、不快・不安になるのです。

3.首切り写真・くし刺し写真

特に人物写真を撮るときに気をつけたいのが、「首切り写真」と「くし刺し写真」です。

首切り写真とは、背景部分で、首を横切るようにラインが写っているものをいいます。そのラインにはさまざまなものがあります。たとえば、屋内で撮ったときに多いのが、窓枠、ホワイトボードの粉受け、棚などです。屋外ならば、ありとあらゆるものがありえます。建物の一部、塀、看板、戸、窓などなどです。

もう一方のくし刺し写真とは、頭の背景部分で、特に脳天めがけ、まっすぐに縦の線が下りてきているものをいいます。これも多いのは、屋内ならば、窓枠、家具、壁に張ったポスター、大きめの観葉植物の幹などです。屋外ならば、首切り写真と同じものに加え、交通標識の棒の部分や電柱などがあります。

肝心の人物よりも、そちらに目が行きがちです。また、まっすぐに伸びているために、いったん目が行くとずっと端まで追いかけてしまいます。これでは、主役であるはずの人物を見る割合が減ってしまいます。また、首を横切り、脳天を突いているために、不快感もかなりのものではないでしょうか。

4.背景がうるさい写真

首切り写真・くし刺し写真も、この「背景がうるさい写真」の一種に入れていいかもしれません。

私がよく見かけ、「なんでこんなのが平気で撮れるんだ?」と思う典型的なパターンが、「会社紹介の記事で、観葉植物の前に人を立たせている写真」です。その人の体から葉っぱが生えているようにしか見えないものもまであります。

写真は引き算です。要らないものは画面内から外し、どうしても外れないものは、被写界深度を浅くしてぼかします。

背景がうるさい写真が見る人を不快・不安にさせるのは、「この写真の中のどこを見ていいかわからない。不要な情報が多すぎる」と感じるからでしょう。

5.そのほかの下手な写真

下手な写真は、ピンぼけ、手ぶれ、露出オーバー・アンダーなどだけではありません。構図が取れていない、というか……構図をまったく考えていない写真も世にあふれています。

「構図が取れていない」の例をひとつだけ挙げると、「日の丸写真」があります。散漫で、見る人は「どこを見ていいのかわからない。何がいいたいのかわからない」となります。

下手な写真をサイトに使うと、訪問者が逃げる

写真を載せる場所や、趣旨によっては、しっかりと撮れている写真を出すと、手作り感がなくなってしまい、マイナスになる場合もありえるとは思います。

ただ、企業サイトでは通用しないでしょう。「サイトづくりに手を抜いている」と見られるぐらいだったら、まだマシかもしれません。「サイトひとつまともに作れない会社」「写真が素人丸出しなのだから、記事も同様だろう。書いている内容も信用できない」と思われるのがオチではないでしょう。

また、写真を見て不快・不安になれば、それを我慢してまで文章を読んでくれるでしょうか。少なくとプラスにはならないはずです。離脱率は高くなり、読了率は下がり、滞在時間は短くなるということです。下手な写真・雑に撮った写真は、サイトの価値を高めるほかの努力を全部無駄にするかもしれません。





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