初心者なんだから、カメラの持ち方・構え方から覚えよう

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せっかくファインダー付きのデジイチ(デジタル一眼レフ)を買ったのに、左手の甲を上にして、覆いかぶせるようにレンズをわしづかみしている人はいないでしょうか。あるいは、右手だけでカメラを握っている人はいないでしょうか。

とりあえずは、自分では不満のない写真が撮れているかもしれません。しかし、初心者を脱して、中級者・上級者になりたいのならば改めましょう。

カメラの持ち方・構え方が無視されるようになったわけ

包丁を使うのにも、握り方や姿勢のとり方があるそうです。これをデタラメやって、いきなり「魚の下ろし方」「野菜の千切りの仕方」から始めるとどうでしょう。プロのレベルでの「きれいに切る」「テンポよく作業する」「ケガをしない」には、いつまでたってもならないのではないでしょうか。「いろはのい」の「い」の中でも、最初にくる部分です。

カメラにも持ち方や構え方があります。フィルムカメラの時代から、いい加減なカメラの持ち方・構え方をする人はいました。しかし、今ほどは多くなかったと思います。これほど増えてしまった理由はいくつかあるでしょう。

・手ぶれ防止機能が普及・高性能化し、シャッターを切る際に少々揺らしても、手ぶれ写真になりにくくなった。

・「最初のカメラはスマホの内蔵」の人が大半になった。特には写真やカメラに興味がないまま、いつの間にか撮り始めていた。その延長のままきている。

人におすすめするために、たまに『初心者向け・写真の撮り方』といったノウハウ本をチェックします。これで気がついたのですが、フィルム時代には、冒頭にそこそこのページ数を割いて「持ち方・構え方」が書かれていました。しかし、今はサラッとしか書かれていません。全く触れていないものまであります。

デジカメになって、カメラの機能が増え、複雑化もしました。説明しなければいけないことが増えたために、「持ち方・構え方」が割愛されたのでしょう。これでは、「カメラを買ったのだから、ノウハウ本も買って、撮り方を勉強しよう」といった人まで、持ち方・構え方をろくに知らないままになってしまいます。

現行製品のカメラボディー・レンズでも、手ぶれ防止機能があるとは限らない

今の時代でも持ち方・構え方が必要な理由として、最初に思いつくのは……

手ぶれ防止機能があっても、無限大に手ぶれを防いでくれるわけではない。また、念のためにということでは、手ぶれしない撮り方もしていたほうがいい

……あたりでしょうか。

また、私にとっての切実な問題としては……

手ぶれ防止機能は、カメラボディーに組み込むタイプのものと、レンズに組み込むタイプのものがある。メーカーによっては、カメラボディーとレンズのどちらにも、手ぶれ防止機能がない組み合わせもありうる。

……があります。

私はFUJIFILM製のカメラボデイー・レンズのユーザーです。FUJIFILMの単焦点レンズの大半は手ぶれ防止機能を持っていません。ボディーの側で組み込まれているのは、高級機を中心にした一部だけです。

ほかのメーカーでも似たようなものです。たとえばNikonの場合、人気商品のミラーレス機「Z fc」と「Z 5」のボディー内には手ぶれ防止機能はありません。レンズの側は、機能を持っているものと持っていないものがあります。

ざっくりといえば、「手ぶれ防止機能にこだわってしまうと、選べるボディーやレンズが限られる。私自身は今でも手ぶれ防止機能のないボディーとレンズの組み合せで使っている。手ぶれしないためには、正しい持ち方・構え方は不可欠」です。

「正しい持ち方・構え方」は、「じっくりシャッターチャンスが待てる持ち方・構え方」でもある

これら以外の理由もあります。中でも、見落とされがちに思えるのが……

正しい持ち方・構え方は、当然のことながら、安定した持ち方・構え方でもある。カメラを構えたままシャッターチャンスを待つのにも適している

……です。

「シャッターチャンス」には、風景写真を撮る際の「晴れるのを待つ」「夕暮れ時を狙う」といったのんびりしたものもあります。ここでの場合は、「友人・知人のポートレート写真を撮るときに、相手がニコっと笑う」「幼児が飛びはねる」などの短めの時間感覚のものをイメージしてください。

呼吸を抑え気味にしながら、数十秒から2、3分待って、ようやくシャッターを1枚だけ切ることも珍しくありません。不安定な持ち方・構え方では、待てない上に、シャッターチャンスがきたときにもすぐに反応できません。

この「シャッターチャンスを待つ」ができないと、何十枚写真を撮ろうが大半が無駄になります。人物写真であれば、動きも表情もないのばかりになるでしょう。シャッターチャンスに対するこだわりは、おそらくは、上級者になるのに不可欠です。

重量は左の手のひらで支える、右手は添えるだけ

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「どういうのが、正しい持ち方・構え方か」は、話が長すぎるので別の機会にします。あるいは、ご自身でググってもらってもいいでしょう。

ただ、基本中の基本を数点だけ挙げておきます。

・カメラボディー&レンズの重みを支えるのは、左の手のひら。ボディー&レンズの大きさや形にもよるが、「奈良の大仏」の左手のように、水平に手のひらを出し、その上にボディー&レンズを載せる。親指と中指・人さし指などでレンズを下からつまむ。

・右手は添えるだけ。ガッツリつかんで重みを支えてはいけない。シャッターボタンはいきなり押すのではなく、いったん半押し状態を作り、シャッターを切るのは、最後にほんの少し押し込むだけにする。

・シャッターボタンは爪ではなく、指の腹で押す。

・構え方の基本は、肩幅に足を開いて真っすぐにその上に体重を載せる。もたれかかれるものがあれば利用してもいい。

・両わきは締める。

こうすることで、シャッターチャンスがくるまで待つことができ、きたときにはカメラを揺らさずにシャッターを切ることができます。

もう一度いっておくと、ここに挙げたのは基本中の基本だけです。例外や応用までできるようになるには、それなりに知識や習熟も必要になります。簡単に考えないほうがいいでしょう。

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