Dの鍵

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コラム
夜中の2時まで改稿作業に追われたが、ルビの調整も含めて完了。お金がなくて手を出したものの、フリーソフトのLibre Officeは使いづらい上に、Wordに文章を移すと、あれほど親切にふりまくったルビは当然のように抹消され、文章はバグが発生して意味不明な言葉が随所にねじ込まれたりと、トラウマになるレベルで大変なことになると学んだ。3年前の自分にビンタしてやりたい。

しかし、『人生に訪れる不幸には、〝秘密〟がある』ものだ。
これは〈Dの鍵〉のコンセプトで、公募用に書いた概要は、大体こんな感じ。

 ロンドンにある小さな本屋で働き、報われない日々を過ごしていたステラ。ギリシャを訪れた彼女は、エーゲ海に囲まれた美しいモネンヴァシアの町で、悪人にしか見えない魔術師の男と〝解放者〟を名乗る青年の争いに巻き込まれ、不運にも死の呪いを受けてしまう。
 異世界から派遣された鍵の魔術師デュークは、テロリストたちの導き手として選ばれた彼女を救うべく、世界の命運を握る『エノクの扉』を守る旅に同行させることに決めるが、偶然だと思われたこの出会いは、過酷な人生を歩んできたデュークと、ステラが持って生まれた運命をひも解くひとつの入り口に過ぎなかった……(以下略)。

物語を書き始める時は、頭の中で作り上げた妄想(物語)を形作る為に、まず膨大な調べ物とソース(情報の出処)の確認を繰り返し、イメージを膨らます為の画像を細かに集めていく作業から始める。
そこから物語にぴったりな音楽と出会い、日々気分をアゲアゲにしながら執筆作業を進めていくのが、いつものパターンだ。

物語の舞台は、ギリシャを選んだ。ペロポネソス半島から橋で繋がる小島に、「ひとつの入り口(モネ・エンヴァシス)」を意味するモネンヴァシアの町があり、画像検索で見た町並みに惚れ込んだのが理由だった。
モネンヴァシアを代表する詩人ヤニス・リッツォスと出会えたことも、大きな収穫だった。リッツォスは軍事独裁政権下、流刑に処されながらも詩を紡ぎ続けた信念の人で、執筆にあたってもちろん詩集も買った。
物語を書いていると、膨大な調べ物を経て様々な出会いをする。PCのお気に入り欄もどんどん増えて、「あれ。あいつ、どこにいったっけ?」みたいなことになるけれど、知らなかった世界やモノに触れる楽しみも執筆で得られる醍醐味だ。
いつか物語を形にし、わたしが出会ったものたちを誰かに届けたい。





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