「公務員はつまらない!」私がクソつまらん公務員を辞めたワケ Vol.1【あきれたよろしく圧力】

記事
コラム

「これは公務員を辞めたくなるわ」というエピソード集

 いよいよ始まった『私がクソつまらん公務員を辞めたワケ』シリーズ。
はっきり言って公務員の世界は、どんどんその魅力やうま味をなくしつつある状況だ。
なによりも公務員の仕事がつまらない。
日本国内で人口減少に歯止めがかからない中で、高齢化により社会保障費は増大する一方。
そんな国内で日本政府や各地方自治体の財政は硬直し、特色ある地方にするための未来的な支出はますます先細りしていく。
つまり、希望を持った若者が入庁しても、老け込んでいく日本のおもりをさせられる状態なのだ。
これでは若い職員は退職・転職していくし、入庁希望者も減少してしまう。

公務員の哀れな実態を知ってほしい

 実際、私の周りでも若くて優秀な職員がどんどん退職していった。
特に近年のコロナ渦での行政対応を目の当たりにして、見切りをつけた職員が多い。
私も勝手ながら、その流れに加えてもらう形での退職とさせてもらう。
 これから始まる「私が公務員を辞めたワケ」シリーズでは、「これは公務員を辞めたくなるわ!」という実話をもとに、公務員の苦労を語っていく。
もしこれから公務員を目指す若者や、公務員の仕事に嫌気が差している方は、この記事で理解を増やしてもらい、公務員の世界から遠ざかって欲しい。
また近くにそのような方がみえたら、この記事をぜひおすすめしてもらいたい。

つまらない地方公務員を退職した私のこと

 田舎の県で地方公務員として、約15年間勤務する。
履歴書の内容や風貌から、主に「クレーム対応」「タフさが求められる」部署を中心に配属される。
予算部門にも配属されゾンビ生活を送るも、サミット開催時には応援志願し各国首相の顔も拝見した。
勤務10年目で第二子誕生の際、当時の男性では珍しい1年間の育休を取得。
育児をこなしながらも今後の人生を真剣に考え、公務員を退職して独立。
 引き継いだ農地で小規模農業を行いつつ、ブロガーとして歩み始める。
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つまらない公務員を退職した理由

 私はアラフォーの働きざかりで、地方公務員を退職した。
退職理由としては複数挙げることができるが、どれか一つに特定することは難しい。
まずはこの記事で、私が公務員を退職した理由をさらっと挙げる。
そして今回の後半から、公務員に嫌気が差した具体的なエピソードを詳細に解説する。

理由1 組織の新陳代謝が進まない

 公務員の世界では、「老兵は去らずにとどまる」。
民間の会社でも同様の現象が起こっているだろうが、公務員ではよりタチが悪い。
重大犯罪を行なわない限り、懲戒免職・「クビ」にできない。
さらに60歳の定年退職後に再雇用として、職場に居座り続ける猛者もいる。
近年、定年退職の年齢が引き上げられることになり、65歳まで居座ることができるようになる。
そのようなシニア職員が増えていく中で、年下の職員が所属長や幹部となり組織をまとめる。
このような新陳代謝が乏しい組織で、自らの未来を考えるとげんなりする若手職員が出てくるのも無理はないだろう。

理由2 みっともない「天下り」を平然とする

 定年退職時に役職に就いていた幹部職員は、地方自治体の関連団体への「天下り」が斡旋される。
以前からにも国内で話題にはなったが、地方でも色濃く残っている。
天下り先としては、都道府県の信用保証協会や建設業組合など、地方自治体からの補助金などが入っている組織が多数あげられる。
天下りの受け入れ先は、公務員OBを受け入れることで、その職員を使い自組織の要望を自治体に通しやすくなる。
自治体側も、次の天下りポストがなくならないようその組織に便宜を図り続ける。
天下り先としては民間企業にも適用されており、公務員OBが民間企業の顧問や相談役として天下りするケースもある。
偉そうな顔で自治体にあいさつ回りにきた天下り職員を見ていた私は、「絶対50歳で退職しよう」と思い続けていた。
その結果、私には公務員の嫌なことばかりが目に付くようになり、約10年も退職が早まった。

理由3 非常対応&応援業務が増加中

 国内で災害などが発生した場合、基本的に公務員が対応する。
これはこれでツラいが、やりがいを感じられる有意義な業務だ。
公務員,つまらない
しかし、その対応事情はひと昔前と異なっている。
鳥インフルエンザや豚コレラに伴う大量殺処分に加え、近年では新型コロナウイルスへの対応が増加。
しかもこのコロナ対応は、「応援業務」という形で日常的&反復的に公務員に重い負担となった。
人間のコロナ患者は、食事や宿泊施設を手配して隔離。
一方、感染病の発生した農場の家畜は、まるごと殺処分という対照的な対応が記憶に残る。

理由4 住民対応がしんどい

 国内で長年不景気が続くせいか、公務員に対する住民の目が厳しくなっている。
マスコミを含め、必要以上の揚げ足取りをしているような気がする。
税金で働く公僕である以上、チェックされるのは当然の部分はある。
しかし、昨今ではそれ以上の義務を背負っているようでならない。
国や各地方で優秀な公務員人材が過剰な住民対応をさせられているようでは、公務員から優秀な人材が離れていくだろう。
公のために働くよりも、自身か会社のために働く報酬を得た方がよっぽど楽だからだ。
特に公務員を標的にするクレーマーは、本当にタチが悪い。

理由5 業務の裁量がどんどん小さくなる

 近年の高齢化により医療・介護などの社会保障費が増えたことで、公務員の仕事も定例的な仕事が増加する。
一方、地方独自の良い意味での「企み」となる政策的経費は年々減少しすることで、公務員としてのやりがいは確実に減少している。

理由6 職員組合が強すぎる

 公務員の職員労働組合の力は、はっきり言って強い。
理不尽な職場環境を改善してきた実績はあるし、公務員の職場環境が改善されることで民間企業にも波及するという効果もある。
しかし、公務員の質が低下するにつれて、組合の体質も劣化してきた。
民間組織ならば「即、クビ」となる組合員の身分を守るため、優秀な職員が割をくっているのだ。
かつての我が職場には期末ごとの自己評価という制度があったが、設立時に職員組合が横やりをいれたことで、「若い優秀な職員が割を食う」いびつな制度として誕生した。
各組合費は給料に比例するが、毎月5,000~10,000円程度だろう。
優秀な職員はこれらの組合費を負担しながら、結果的に働きの悪い同僚の身分を保証していたのだ。

理由7 業務効率化は評価されず、全体のDX化も遅すぎる

 若い優秀な公務員は日々の業務をこなすため、知識や特技を駆使し業務の効率化を図る。
そうやってシニア職員よりもたくさんの業務をこなす。
しかし、若手職員がこのように苦労して時間を確保しても、次のやっかい仕事が回って来る。
民間の組織でもあるある話だが、公務員では職員組合の力が強くて若手職員の実績は評価されない。
こうやって現場レベルの業務効率化は評価されず、自らの仕事が増えるだけとなる。
さらに全体のDX化も、シニア公務員の仕事が減るからとめぼしい成果は上げられない。

理由8 組織にとって都合のよい職員が重宝される

出産や育児にかかわる優秀な公務員は、本庁の花形部署には配属されない。
子どもや家庭の事情で、仕事に穴が開く可能性が高いからだ。
女性登用が近年叫ばれているが、重要ポストに就けるのはたいてい独身の女性である。
私が予算部署に配属された際、男性職員は育児には関われず、女性職員はみな独身だった。

理由9 休暇の取得率に敏感

 所属の管理職は、部下の年次有給休暇の取得率にとても敏感だ。
それは部下の休暇取得率が、管理職の評価指標でもあるからだ。
そのため、部下としては仕事が山積みなのに「休暇をとった」ていにして、出勤していることもよくみる光景だ。
これを「ゆーれい出勤」と呼ぶ。
私は退職する年に残りの有給休暇を取りつくしたら、最後の期末評価で「休みすぎ!」という理由で評価を下げられた。
目に見える形で実績を残し、周りにも配慮したうえで休暇を消化したが、最後にこのような仕打ちが待っているとは、恐ろしい世界だ。
この仕打ちは、絶対忘れない。

 このような退職理由を感じることになったエピソードを、これからのシリーズで展開していく。
あくまでも公務員世界での出来事だが、なかには一般市民の方にも影響するお話も含まれている。
公務員業界のつまらない仕事と、あきれた実態が少しでも伝われば幸いだ。


つまらない公務員を辞めたワケVol.1【あきれたよろしく圧力】

 今回のVol.1では、私が若手公務員として実際に味わった「圧力」を中心に解説する。
 まず政府や地方自治体は、多くの許認可権をもっている。
そのため、その裁量権をうまく誘導すると関係者も恩恵に与ることができる。
公務員をしていると、このような「我田引水」を目論むものから圧力を受けることが多々ある。
この圧力の内容はあきれたものばかりで、この国に暮らしていること自体がアホくさくなってくる。
今回は、私が経験した呆れた「よろしく圧力」を5つ紹介するので、一緒に呆れていただけると幸いだ。

圧力1 部長が世話になった業者をよろしく

 「圧力といえば、議員」かと思いきや、まさかの所属長(部長)からの圧力があった。
私は入庁時、業者に許認可を与えるかどうか審査する仕事を任された。
技術や経験が求められる特殊な業種は、地方自治体の許認可が必要なのだ。
その許認可をもらって仕事をしたい業者は、必要書類や資格者を揃えて申請を行なうのだ。
 とある業者から申請が出された日、私の部長から上司あてに連絡があった。
「今日申請した業者は、私が部長になる前に世話になった業者だ。よろしく頼む。審査期間も短くするように」
と新人の私には、耳を疑うような内容であった。
上司や先輩方もびっくりしていたので、発言内容を詳細に共有していた。
いったい過去に「どんなお世話をされた」のか不明だ。
しかし、許認可の審査は必要事項が満たされていればOK、足りなければダメと分かりやすい基準だ。
裁量でどうにかできるものではないし、審査期間を縮められても1,2日のものだ。
こんなメリットのない許認可業務で、特定業者へのひいきがバレバレな部長。
少し調べれば分かるのに、あっぱれな単純生物である。
こういうところから週刊誌にリークされるのだろうなあ、と実感した瞬間だ。
このとき「この組織も腐っているな、長く留まると染まるかもしれない」と思ったが、結果的に15年もいたから驚きだ。

圧力2 地元有権者の資格試験をよろしく

 「ドラマでよく目にする議員の圧力ってあるの?」と思っていたら、ほんとにあった!
実際は、国会議員の秘書からの電話。
私は先ほどの許認可業務と同時に、自治体が行なう資格試験の審査業務も行なっていた。
地方自治体による試験といっても、めんどくさい事務は自治体の関連団体に丸投げ。
その関連団体の上げてきた合否判定に不備がないか、チェックするくらい。
 その試験の合否発表の日、国会議員の秘書を名乗る方から電話があった。
「〇〇という方が合格していないのだが、いったいどうなっているのか」
と個人情報丸出しで、全く的を得ない質問をされた。
自称ながらも国会議員関係者を名乗るものからの電話だったので、上司に取り次いだ結果、上層部でうまく説明したようだった。
当然ながら、合否判定が覆ることはなかった。
件の方は、合否ラインのはるか下の結果(嗤)、ある意味「救いようのない受験者」。
そのため、微妙な判定に頭を悩ますこともなかった。
 推測だが、不合格の通知を受けた受験者は、会社の社長を通じて国会議員に泣きついたのだろう。
議員側もそこまで阿呆ではないので、自治体の試験結果がひっくり返らないことも知っているだろう。
議員から地元の支援者に対して「一応動きました」と、動いたフリをしたのかもしれない。
公的な試験の結果まで「国会議員に泣きつけば、なんとかなる」と思っている住民がいるのに驚いた。
これで実際に電話をかけてくる国会議員も、常識を疑う人物だ。

圧力3 公立病院に入院した支援者をよろしく

 自治体が運営する公立病院に勤務していたころ、地方議員を名乗る人物から、「〇〇という方が入院しているから、よろしく」との電話があった。
病院の幹部職員にはよくある話だが、なぜかこの日は病院の電話オペレーターが苦情係の私に電話を転送してきた。
(この段階で、苦情処理の扱いとなるw)
苦情係として電話対応した私は、この自称議員を困らせてやろうとして、
「よろしく、というのは、具体的に何を求めているのでしょうか?そもそもあなたは、〇〇さんとどのような関係なのでしょうか?」
とねちねちと問い質す。
自称議員はしどろもどろになりながらも答えていたが、私は最後に
「そもそも〇〇さんが入院しているかどうかなんて、お答えできません。現在の病院では当たり前の対応です。だからこのようなお電話をいただいても、何の意味もありません」
と身もふたもない発言で締めくくった。
自称議員は電話を切ったが、私としては最高に気持ちよかった。
そもそも議員の口利きはこの地方の条例で禁止されているので、この行為はれっきとした条例違反。
それでも有力な有権者が入院すると、このような「よろしく」電話がかかってくる。
議員としては「入院される県立病院に、よろしく言っておきましたよ、げへへ」と媚びを売りたいのだろう。
ほとほと呆れかえる世界だ。
なお、先ほどの自称議員は再び電話をかけてきて、今度は病院幹部に電話を転送してもらった様子。
忠実な病院幹部が、「しかと承りました」と回答したとのこと。
あとで私はその幹部から、優しく諭されたのだった。

圧力4 予算にねじ込むようよろしく

 予算編成の部門にいたころ、今思い返してもツラかった記憶がよみがえる。
何より予算のやり取りは、各部門との長く厳しい戦いとなるからである。
バブル崩壊後の長い不景気が続く国内では、どの自治体でも数千円単位での予算査定が行われる。
予算部門としても、あの手この手で予算の「ムダ、ムラ」をなくして予算全体の膨張を抑えるのに必死である。
予算編成期間には、職員がうつを発症するなど修羅場が続くのである。
 そんな殺伐とした時期、ある国会議員から担当部署に連絡があった。
「〇〇という(技能的な)組合は、日本を支える大事な産業の守り手、ぜひ補助金を出すように」
まさに「鶴の一声」とはこのこと。
電話を受けた担当部署は我が予算部門に泣きつき、我が上司も「それはしょうがない」と2つ返事でOKとなった。
しかしその補助金約100万円の特別枠はなく、他の予算を泣く泣く削って調整せざるを得ない。
予算調整でギリギリの駆け引きを続けるなかで、最悪の横やり圧力だった。
その団体に対して補助が必要だと思ったら、自分のポケットマネーで寄付すればよいのに。
こんな露骨な圧力を現実に味わうことができて、びっくりだ。

圧力5 バレずにこっそり流用するようよろしく

 これも予算部門にいたころの話。
予算編成作業が終わり、翌年度がスタートした4月に担当部署の職員が相談にきた。
相談内容は、予算の配分を変更する「流用」についての協議。
そもそも、予算は議会で議決されたのだからその予定通りの執行が原則だ。
しかしある一定の要件を満たせば、その予算の配分を変えることができる。
本来は突発的な事案に対応するための方法だが、毎年とんでもない目的のために使われていた。
 相談のおおもとは、地方議員からの指示。
「例年のように、外国への交流訪問のための予算をよろしく」とのこと。
議会としての予算ではなく、経済交流に絡めての名目で。
しかも当初予算に挙げるとマスコミに叩かれて大変だから、流用で毎年ごまかしているようだ。
この年は最悪なことに、東アジアでSARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るい、国内では海外渡航を自粛するようお達しがでている最中であった。
毎年の流用目的もさることながら、国を超えて感染病を拾ってきたらシャレにならない。
私は話を聞いた途端、予算部門として猛反対した。
しかし担当部署の幹部から、「予算部門は予算が適正かどうかを判断するのみ」と圧をかけられた。
結局、事態を重くみた地方議員はこの年の海外訪問を見合わせたようだった。
もし強行していたらどうなっていたことだろう。
ほんとに空いた口がふさがらない。

まとめ つまらない公務員とおさらば

 このように私が実感した圧力エピソードを説明したが、思い返すと怒りを覚えるものばかりだ。
本当につまらない公務員の仕事をやらされた。
圧力をかけるのは、社会的に身分の高い方たち。
圧力をかけた方としてみれば、日常茶飯事で大した負担に感じていないのか、忘れてしまっていることが多い。
 しかし担当として圧力をかけられた職員としては、10年以上経っても鮮明に覚えている。
公務員の仕事も心底つまらないが、自分の地位やお仲間のため、姑息に圧力をかけてくる輩はもっとつまらない。
こういう輩が跋扈するから、公務員の仕事がますますつまらなくなってしまうのだ。

はぁー、これは公務員を辞めたくなるわ。
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