中3物語/蛾 -2

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学び
2022年4月9日
学習塾リバティ 木村友彦


 寝室の天井の埋め込みの照明。半透明のプラスチックカバーの小さな穴からスイッチのひもが垂れていてる。カバーの中にはいくつかの蛾の死骸が掃除されずに残っている。その内に、一匹の生きている蛾が這い回っている。不安か絶望か。蛾は何を感じていただろう。
 かなり長い間見ていた。もうちょっとこっち。と、蛾は穴へ近づき、穴に達したではないか。ところがもう飛ぶ力がなく、ベッドへ落ちた。私は蛾を拾い、窓を開け、いずれ死の待っている外へ逃がしてやった。
 当たり前の話だが、自然界とはちがって、少なくとも現代の日本では子どもたちは社会に守られて育つ。でも本当に子どもたちを守るということは何か。
 どうしようもないことがあふれているこの世。娑婆。お釈迦様は娑婆を苦しみと捉えて人々を救う教えを説いたというが、私に言わせれば、娑婆は楽しむべきところ。人生は楽しむためにある。ちょっと聞こえは悪いが、悲しみをさえちゃんと味わえ。悲しみをさえ楽しんでしまえと思う。
 2400万人に飢餓が予想されるというアフガニスタン。食べ物がないんだって。。。私はお腹いっぱいに食べ、子どもたちに囲まれて楽しく暮らしている。。。教材作りをしていると忘れられる。中3物語を書いていると忘れられる。でも、そんなことで本当に人生を楽しむことができるのか。そんなことで本当に私の流儀は成り立つのか。
 しかしながら、子どもたちを守るために笑わなければならない。笑いたいと思う今日。
 「必ず道は開ける。自分を信じて。」応援してくれる味方を得ると、子どもたちはのびのびと勉強をし、のびのびと生活をするようになる。そうして「自分の心の良く燃える感じ」をもてるようになる。苦しんでいる人たちの分まで子どもたちも私も良く生きなければならない。笑いたい。
 私は子どもたちを守る大人の一人になったことを改めて自覚している今日だ。

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