<日々、採用活動を頑張っている企業人事の皆様へ>
せっかく内定し、入社を決めてくれた学生や転職者。
そこで安心していませんか?
恐怖の「入社前辞退」。
様々な理由や要因がありますが、もしかすると防げたかもしれません。
~現在の人材、転職市況~
コロナによる人材業界への影響は昨年で終了。現在、求人が圧倒的に増えている状況です。つまり、「圧倒的な転職者優位」の状況です。
●2019年12月:有効求人倍率(季節調整値)は1.57倍 ← コロナ前
●2020年12月:有効求人倍率(季節調整値)は1.06倍 ← コロナ真っ只中
●2023年1月:有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍 ← 今ここ!
(厚生労働省、報道発表資料:一般職業紹介状況について より)
求人がどんどん増えていますが、転職希望者はあまり増えていない状況となっております。
また、各社のインフレ対応などから「賃金アップ」や「多様な働き方支援」も大手企業を中心に広がっており、【転職しなければならない理由】が過去と変わってきています。
結果、【入社前辞退】が増えてきているのではないでしょうか。
【入社前辞退の5つのケース】
ケース1:転勤制度が変わった
■現職企業で、「転勤制度」が改善され、家族のもとへ帰れることになった。
→働き方、人生の多様化を支援する制度改定が進んでおり、退職を決めたのちに制度変更となり、現職に留まったパターンです。
ケース2:待遇が改善された
■給料制度が変更(給料UP)となり、「年収を上げたい」ということが現職でもかなうことになったため。
→以前から退職交渉中に「給料を上げるから、留まってほしい」ことはありましたが、全社員一律での「給料UP」により交渉せずとも上がるケースが増えております。
ケース3:やりたい仕事につけることになった
■「人的資本経営」が徐々に浸透してきており、事業や組織による要望に加え、個人の能力はキャリア形成を支援する制度が中小企業にも浸透しつつあります。そのため、「やりたかった仕事、部署への異動」が以前と比べても容易になりつつあります。
ケース4:退職挨拶と同時に起こる、取引先企業への引き抜き
■優秀な人材が退職するという情報を耳にした現職の取引先企業からのお誘いの話が発生する事があり、以前からの縁故によりそちらへのご入社を決められるケース。(「辞めるんだったら、うちに来ないかい?業界もよく知ってるし)
ケース5:家族、親族からの反対
■最近特に増えている印象です。自身以上に、家族や親族の「働き方」や「家族」への価値観が変わってきています。本人の事前想定が甘かったことが要因ですが、家族、親族へのフォローも重要です。
<入社前辞退を防ぐために>
各社、様々な工夫をし、入社予定の方へのフォローを行っております。
~ポイント~
●できる限り「直接接点」を多く持つ。
●「すでに会社の一員である」という前提で接する。
●悩みや困っていることを相談しやすい環境、制度を作る。
●入社後に任せる業務を極力オープンにして伝えていく。
●人事に加えて、配属部署の上司や先輩も対応する。
本人との「直接接点」を多く持つ事でより確実に「うちの社員になる」という意識を醸成し、かつ問題が発生する際にはその状況をいち早く確認できる状況を取っておられます。
~具体的な事例~
・入社までフォローする専門人材の配置(社員、派遣社員、業務委託など)
・社内行事(忘年会や決起会など)への参加
・社内報や研修資料、会社資料などの送付
・役職者や現場の上長などとの「顔合わせ」という内容でのフォロー面談
・改めて、任せる業務の魅力付けや入社後にどんなキャリアが身につくかをより具体化していくためのミーティング実施。
・人事の方からの2週間に一度程度のフォロー電話(近況確認をかねて)
・ご家族向けへの会社説明資料や制度説明の資料(安心し、応援してもらうため)
ぜひ、転職者のおかれている状況を踏まえ、意思決定後も「エージェント任せ」「転職者任せ」にせず、「自ら積極的に働きかける」ことを意識し、実践していただければと思います。