白か黒 ■離婚編_4■

記事
コラム
私が3歳の頃
まだ父が逮捕される前
誘拐されそうになったことがあった。
知らないおじさんが
私に声をかけ手を握り
一緒にあっちに行こうと言った。
どんな顔だったかは覚えていないけど
嫌だと立ち向かった記憶がある。
福島県の田舎町での出来事。
たまたま通りかかった近所のおねーさんたちが
嫌がっている私を見つけてくれて
そのおじさんは逃げて行ったらしい。
その後、母が警察へ通報し
大人たちが大騒ぎしていたことで記憶に残ってはいるが
子供だった私はすぐに立ち直り
トラウマになることなく育っていった。

ただあの瞬間、なんとなく思い出した気がする。

酔っているとはいえ男の力は強い。
このままでは最後まで犯られると思った私は
Aを殴った。
多分鼻に直撃したんだと思う。
怯んだ隙にすぐに夫の寝ている寝室に逃げた。
主人を起こす。
まだ寝ぼけている主人に訴えた。

主人は一言
「あいつ、酔うと手あたり次第なんだよなぁ」

Aはトイレから出てすぐに外に出て行ったようだった。
主人はその言葉を言ってまたすぐ眠った。

なぜか涙も出なかった。
怖さもどこかに行った。
冷静に片付けだけして
その日はリビングで寝た。

翌朝、そう日曜日。
起きてきた主人は至って普通だった。

私が主人に昨夜の記憶があるかと聞くと
「なんかやらかしたんだろ?」とまるで他人事。
私はもう一度
Aからされた全てを事細かく訴えた。
でも主人は
「本当にあいつは酒飲むとダメなんだよなぁ」
と昨夜と同じようなことを言った。

それだけなんだ。

私はすぐ母に電話をし
主人に何も言わず実家に帰った。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す