三大栄養素とは

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 三大栄養素について解説します。

「三大栄養素という言葉は知っているけれど、何にどれぐらい、どのようなバランスで含まれていて、健康のためには何をどれぐらい摂ると良いかは、よく分からない」という方は、是非読み進めてください。


①三大栄養素とは
②三大栄養素のカロリー
③三大栄養素の役割
④三大栄養素が多く含まれる食材
⑤三大栄養素の細かな分類
⑥三大栄養素の理想的なバランス
⑦三大栄養素をボディメイクに活かす
⑧三大栄養素を摂取できるサプリメント



①三大栄養素とは

 数ある栄養素の中で、カロリーを持つタンパク質・脂質・糖質を三大栄養素といいます。カロリーとは、分かりやすくいえば身体にとってのガソリンです。
※糖質=炭水化物と捉えられがちですが、正しくは「糖質+食物繊維=炭水化物」です。食物繊維は、摂取しても人間の内臓では消化できないのでカロリーはゼロです。

 「糖質50%OFF」「脂質1/3」という表記の意味するところは、つまり「従来のものよりもカロリーが少ないです」ということです。

 ちなみに上記のようなカロリーオフ商品が必ずしも健康に有用か?と問われると、そうでもありません。前述の通りカロリーは身体のエネルギーですから、減らせば減らすほど良いなんてことはないですし、エネルギー源となること以外にもそれぞれ固有の働きがあります。



②三大栄養素のカロリー

タンパク質 4kcal
脂質 9kcal
糖質 4kcal
※ それぞれ1gあたり

 脂質はタンパク質・糖質に比べて2倍以上のカロリーを持ちます。
 タンパク質が豊富なことで有名なサラダチキン100gと、脂質が多く含まれるバラ肉100gを比べてみると、そのカロリーは倍以上の差があります。


③ 三大栄養素の役割

1. タンパク質の役割
 タンパク質は英語で「Protein」であり、その語源はギリシャ語の「Proteios」です。その言葉の意味することは、「第一のもの、最も重要なもの」です。

 なぜ、タンパク質が第一のものと言えるか?と問われたら、「筋肉・皮膚・髪の毛・爪など、身体のほぼ全ての組織を構成するための栄養素」だからと答えます。

 そんな大事なタンパク質ですが、三大栄養素の中では最も不足しがちな栄養素です。必要摂取量などは後ほど。


2. 脂質の役割
 脂質は体内で消化吸収されると、ホルモン・細胞膜・角膜を構成する要素となります。一部の脂質は脳の機能を高めるための栄養素としても注目を集めています。

 また、脂溶性ビタミン ( ADEK ) の吸収を促進させるためにも脂質は欠かすことができない栄養素です。脂質=体脂肪と考え極端に避けてしまう方が多いですが、「良質な脂質を適量摂取」という考え方が重要です。


3. 糖質の役割
 砂糖やデンプンに含まれる糖質は、シンプルに身体を動かすエネルギー源としての役割を持ちます。

 タンパク質・脂質もカロリーを持っているのでエネルギーに変換することが出来ますが、その変換スピードは糖質に比べるとかなり遅く、糖質をエネルギーとして使う方が効率が良いのです。

 糖質を摂取することで血糖値が上がり、その血糖が各細胞に届けられると、その細胞は糖分をエネルギーにして働いたり、溜め込んだりします。

 糖質の供給過多により、エネルギーとして使われなかった、余ってしまった分は脂肪細胞に蓄えられてしまいますので、要注意です。


④三大栄養素が多く含まれる食材

1. タンパク質が多く含まれているもの
 タンパク質は、いわゆる「主菜」と言われるものに多く含まれています。より具体的にいいますと、肉類・魚類・卵・乳製品・大豆製品などです。

 肉類でしたら鶏胸肉やササミなどは特に含有率が高くオススメです。魚類の中ではマグロの赤身、カツオなどが優秀です。動物性のタンパク質が苦手な方、ベジタリアンやヴィーガンの方は大豆製品 ( 納豆、豆腐など ) から積極的にタンパク質を摂取しましょう。


2. 脂質が多く含まれているもの
 脂質もタンパク質と同様「主菜」に多く含まれています。また調理に使うためのオリーブオイルやドレッシング、マヨネーズなどはほぼ脂質です。

 脂質は「油脂」とも表現しますが、常温で液体のものが油、固体のものが脂です。一般的にタンパク質が豊富に含まれているものには脂質も多く含まれます。
※鶏胸肉やマグロの赤身などは例外。


3. 糖質が多く含まれているもの
 糖質は主食に多く含まれます。お米、うどん・そばなどの麺類、小麦製品などは糖質の補給源となります。

 また、「糖」という文字が入っているので、当然砂糖そのものや砂糖が使われているお菓子などにも多く含まれます。甘みを感じるものには糖質が多く含まれていると考えて良いでしょう。
※スクラロースやアスパルテームのような人工甘味料は糖質には含まれません。


⑤ 三大栄養素の分類

1. タンパク質の分類
 タンパク質は、動物性タンパク質と植物性タンパク質の2種類に分けることができます。前者は肉や卵など、後者は大豆製品や小麦などに含まれるタンパク質です。

 動物性と植物性では、アミノ酸スコアに差があります。タンパク質というのは20種類のアミノ酸から構成されているのですが、人間の身体とアミノ酸の組成が近く、吸収率も良いものはスコアが高くなります。

 動物性タンパク質のアミノ酸スコアは概ね優秀です。植物性でも大豆製品などは優秀ですが、それ以外のものは低めです。


2. 脂質の分類
 脂質の分類は多岐に渡ります。今回はざっくり解説します。

・常温で個体の脂質=飽和脂肪酸
動物性の脂質に多く含まれる脂肪酸です。

・常温で液体の脂質=不飽和脂肪酸
魚や植物性の脂質に多く含まれる脂肪酸です。不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類され、多価不飽和脂肪酸はオメガ3系とオメガ6系に分かれます。

 覚えていただきたいことは2点です。多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸といって体内で合成できない栄養素なので、必ず外から摂取する必要があるということ。

 そして、そのうちオメガ6系は減らしてオメガ3系を多く摂取することです。オメガ3系はDHAやEPAなどが豊富に含まれる青魚から摂取することをお勧めします。それに対してオメガ6系はサラダ油など安価な油に多く含まれます。


3. 糖質の分類
 糖質は、単糖類・二糖類・多糖類に分けられます。それぞれの特徴を解説します。

・単糖類 ブドウ糖や果糖など。消化から吸収まで数分程度と、最も血糖値を上げやすい。

・二糖類 砂糖や乳糖など。消化吸収までの速度は単糖類に比べゆっくりだが、次の多糖類に比べるとはるかに速い。

・多糖類 糖類が多数結合したもので、ご飯や麦など穀物に含まれるでんぷんが代表。消化吸収は前の2つに比べてかなり穏やかで、最大4時間程度かかる。

 糖質は摂取することで身体を動かすエネルギー源となりますが、単糖類・二糖類を多量に摂取してしまうと血糖値が急激に上昇してしまい、余ったカロリーが脂肪に変換されやすくなってしまいます。

 糖質を摂取する際はGI値の高くない、でんぷんから摂取するようにしましょう。
※GI値 = 血糖値の上昇速度を表すスコア。



⑥ 三大栄養素の理想的なバランス

 三大栄養素のバランスのことを、それぞれの栄養素を英語表記したときの頭文字から「PFCバランス」といいます。

P = Protein タンパク質
F = Fat 脂質
C = Carbohydrates 糖質 ( 炭水化物)

 このPFCバランスを調整することは、体重をコントロールする上でカロリーコントロールと同じく重要なことです。

 一般的に、健康に良いとされているバランスは、
P 15% F 25% C 60%
と言われています。糖質が1番多く、続いて脂質、タンパク質という順です。
※現在調べられる範囲で、多少上下します。

 ただ、このバランスは少し古いというか、根拠に欠ける数値です。健康長寿大国である日本人の一般的な食事バランスを調べたところこのような数値だったのでそれを基準にしている、という説もあります。

 それに対して、日本人が元々健康長寿なのは、他国に比べて医療体制と公衆衛生が整っているからであって食事バランスは特別関連性が高いわけではない、という考えもあります。

 この辺りに関しては様々な考え方が混在していて個人差も大きいですし、何が正解なのかはっきりしていませんが、私の経験から言えることは、
「運動する機会が少ない現代人が糖質60%は高すぎる」ということと、「筋肉の材料になるタンパク質が15%は低すぎる」ということです。

 それを踏まえて、
P 30% F 20% C 50%
あたりが適切なバランスだと考えます。といっても、総摂取カロリーからそれぞれの栄養素に割り当てて毎回計算しながら食事を行うのは大変面倒な作業です。

 具体的な食事法として、非常にざっくりとですが、一つ紹介します。

* 拳大の主食
* 拳大の副菜
* 手のひらサイズの主菜

というバランスがオススメです。主食や主菜に脂質が多そうな場合は、副菜は和風のものを選び、逆に少なそうな場合はオリーブオイルなどで脂質を出すと良いでしょう。

 こういった食事法であれば、特別カロリー計算や栄養素のバランスを考えすぎなくてもある程度正解に近い食事ができていると考えて良いと思います。参考にしてください。



⑦ 三大栄養素をボディメイクに活かす

1. タンパク質をボディメイクに活かす
 タンパク質は筋肉の材料になる栄養素なので、必要量に対して不足していては筋肉はつきません。目的や体格によって人それぞれですが、ある程度必要量を把握したうえで食事を行うことが重要です。

 1日に必要なタンパク質は、体重1kgあたり1.4〜2.2gとされています ( ※諸説あります ) 。体重が50kgの方でしたら、70〜110gとなります。皮無し鶏胸肉を220〜550g程度、卵でしたら全卵で10〜18個程度です。

 単品で摂取するにはなかなかに大変な量ですので、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品・サプリメントをうまく組み合わせて摂取しましょう。


2. 脂質をボディメイクに活かす
 体重や健康を維持するために脂質のコントロールは欠かせません。質・量ともに意識して食事を行いましょう。

 具体的な質としては、オメガ6系の摂取を控えてオメガ3系の摂取量を増やしましょう。どちらも必須脂肪酸であり双方のバランスが大切なのですが、一般的に6系を摂りすぎる傾向にあります。

 そのため、サラダ油を亜麻仁油やエゴマ油などに置き換えたり、青魚などを積極的に食べるなどの工夫が必要です。

 摂取量は個人差がありますが、概ね体重1kgあたり0.8g〜1g程度が良いでしょう。あるいは一食で10〜15g程度にするとお腹がもたれたりせずに消化にも良いですね。

 個人的には、トレーニング前後の摂取は控えてます。そのタイミングでの脂質の摂取はトレーニングの質を下げてしまう可能性があるからです。


3. 糖質をボディメイクに活かす
 糖質の主な役割は、身体を動かすエネルギー源となることです。そのため、エネルギーが必要なタイミングで摂取し、必要でないタイミングでは摂取を控えめにする、という戦略が良いでしょう。

 具体的には、朝や昼などこれから身体も脳も働かせる必要がある時、そしてトレーニング前後などエネルギーを充填する必要がある時に多く摂取し、あとは寝るだけというタイミングでは摂取を控えめにします。

 摂取量はやはり体重を基準に考えます。体重1kgあたり、2〜5gが良いかと思います。タンパク質・脂質と比べ幅が大きいですが、これはその日の活動量に合わせて摂取する必要があるからです。

・トレーニングが休みの日で、仕事もデスクワークの方でしたら体重の2倍g ( 体重が50kgなら100g、御茶碗に軽めに盛ったご飯3杯ほど )
・トレーニングを行った日、あるいはかなり身体を動かす仕事に従事する方でしたら体重の3〜5倍g ( 体重50kgなら150〜250g、同4〜5杯ほど )

上記を参考に糖質を摂取してみてください。



⑧ 三大栄養素を摂取できるサプリメント

1. タンパク質サプリメント
 前述のとおり、タンパク質 = プロテインですので、プロテインパウダーをオススメします。水と一緒にシェイクするだけで1杯20g強のタンパク質を摂取できます。

 他には、コラーゲンや酵素ドリンク、アミノ酸サプリメントという選択肢もありますが、コストパフォーマンスで考えたらほぼプロテイン一択になるでしょう。


2. 脂質サプリメント
 不足しやすいオメガ3系のサプリメントを摂取すると良いでしょう。「オメガ3」という商品名で選んでも良いですし、「DHA」「EPA」という商品はともにオメガ3系の脂質です。どちらかというと、EPAの方がより多く摂取したい脂質なので、そちらが多く含まれているものを選ぶと良いですね。

 ただし、オメガ3系の脂質は熱で酸化しやすいという特徴があり、製品化されている時点でかなり酸化が進んでいて摂取しても効果が薄いという考えもあります。

 これは全てのサプリメントに言えることですが、サプリメントに過剰な期待は禁物です。


3. 糖質のサプリメント
 日本に住む方で、糖質は基本的に主食をしっかりと食べられていたら不足することはないと思います。

 しかし、少食でなかなかカロリーをとれない方や筋肉量を増やすためにトレーニングと並行して食事量を増やしたい方は、マルトデキストリンというサプリメントを試しても良いでしょう。

 特に、トレーニング中の水分補給時やトレーニング後のプロテインと一緒に摂取するのがオススメです。

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