立地によって倉庫の使われ方や仕事内容、求められる力も異なるって知ってた?港湾・内陸・都市の違いを完全に解説

記事
学び

港湾・内陸・都市、立地によって異なる倉庫の使われ方!

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blogのコピー (3).png


倉庫の荷主になるお客さんが倉庫を選ぶ際に参考になる内容になりますが、立地によって倉庫の種類が異なります。
スクリーンショット 2023-01-21 132800.jpg

倉庫の種類が異なれば、取扱いする荷物も異なり、メリットやデメリットもそれぞれあります。

立地によって倉庫を別けると、以下の3つがあります。

①:港湾倉庫
②:内陸倉庫
③:都市倉庫

上記の3つの倉庫の使われ方に関して、下記で解説していきます。

港湾倉庫の使われ方

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blog (99).png


1,286.png

港湾倉庫とは、輸出入の要衝である「港の近辺」に立地している倉庫のことを指します。

その立地を活かして「港で船に積む荷物や船から下した荷物」を扱う倉庫として利用されることが多いです。

その理由は、港に近いため「輸入したり輸出したりする荷物の運搬距離と費用を抑えることができるから」です。

下記は、HUNADEさんの運賃タリフで、あくまでも目安ですが、コンテナの積み下ろしをする港と倉庫の距離が10㎞以内であれば、大きいサイズの40フィートコンテナであっても2万円以内で運搬してくれます。一方で、港から3,40㎞離れた内陸部であれば、3万円程度となります。

スクリーンショット 2023-01-21 134421.jpg


海に近いというのはデメリットでもあり、内陸部に比べて「津波被害のリスク」が高くなります。近年内陸倉庫が増えておりますが、津波被害のリスクを懸念されて港湾地区から移っていくお客さんも多くなっています。

また、1つのデメリットである「作業員のストライキ」に関しては、実際に行われることがあります。日曜日だけで業務に差支えのないことが大半ですが、2019年4月14日(日)から4月15日(月)にかけては、全国の港湾地区でストライキが行われました。「全日本港湾労働組合 ストライキ」と検索すれは、記事がヒットします。

ストライキは、いくら荷主と倉庫会社が協力して作業会社の望みを叶えていっても、他で納得いかない作業員の方が多ければ、ストライキが行われます。

なぜならば、港湾地区で働く労働者は、会社単位の労働組合だけでなく、全国的な労働組合に加盟しております。その労働組合の中で、労働者は給料の増額や休日の増加等、会社に対して雇用環境の改善を要望していますが、会社側から納得のいく回答が得られない場合は、会社単位ではなく、全国的なストライキも実施されるからです。

ただ、2019年のような大規模なストライキは頻繁に行われるものではありません。

なぜならば、以下の副作用を伴うからです。
✓港湾倉庫のお客さんが内陸倉庫へシフトすることを加速させることになるから
✓ストライキの前後でストライキの日に行われるはずだった仕事をカバーする必要があるから

実際に、2日間に渡るストライキは、22年ぶりでした。

なお、日常生活に不可欠な荷物に関しては、例外的に作業が許されることもあります。

内陸倉庫の使われ方

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blog (98).png


内陸倉庫は、港湾倉庫の短所を補う一方で、港湾倉庫の長所はなくなった倉庫です。
1,286 (1).png

内陸倉庫とは、「大都市の郊外の内陸部」に立地している倉庫のことを指します。内陸の中でも、荷物を受け取ったり、送ったりしやすい高速道路の出入口近辺に位置していることが大半です。

財閥倉庫では港湾倉庫が大半を占めるため、物流不動産大手の大和ハウスを参照しますが、兵庫県内に3か所の内陸倉庫を保有しております。そのいずれもが高速道路の出入口から数㎞圏内です。
スクリーンショット 2023-01-21 141332.jpg


上の地図の赤色の点が大和ハウスの物流不動産、緑色の点が最寄りの出入口を指しています。

話が脱線しますが、なぜ財閥倉庫の倉庫の大半が港湾倉庫であるかについては、下記の記事をご覧頂ければご理解頂けるかと存じます。


概要だけ申し上げますと、内陸倉庫は近年「津波対策」と「EC需要の高まり」によって需要が急増し、そこに目をつけた物流不動産会社がこぞって参入したからです。

なぜ倉庫会社の大規模な参入がなかったのかについて、明確な理由は明らかにされておりませんが、「倉庫会社は倉庫運営も担うという考えがあるため急拡大が難しいこと」、「自社で倉庫運営されているようなメーカーや商社との強い繋がりがなかったこと」が原因ではないかと推測しています。

話を戻しますが、内陸倉庫は、メーカー等の国内工場から国内の小売店や一般消費者向けに荷物を出荷する(配送センター)業務を営む倉庫として利用されることが多いです。

国内で生産され国内で消費される荷物が大半であれば、港湾地区の倉庫を選ぶメリットが小さくなるからです。

近年、「津波のリスクを回避」するために、港湾倉庫を利用していた荷主が内陸倉庫に移る例が増えています。

前述した港湾倉庫と比較すると、「輸出入する荷物の運搬距離と費用がかさむ」というデメリットもありますが、輸出入の割合が低いためにそれほどの影響がないことが多いです。

都市倉庫の使われ方

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blog (100).png

都市倉庫は、港湾倉庫と内陸倉庫のように特徴が真逆の存在ではありません。また、港湾倉庫や内陸倉庫と比較すると倉庫の数も延べ面積も非常に少ないです。
1,286 (1).png

都市倉庫とは、メーカーや商社等の「荷主や売先との距離が近い都市部」に立地している倉庫のことを指します。

出し入れする荷物は多品種で、特に書類、磁気テープ(映像や音楽データを保存するテープのこと)等の一点物を扱う(トランクルーム)業務を営む倉庫として利用されることが多いです。

都市に倉庫が建設される場合、お客さんからの以下のようなニーズがあるためです。
✓在庫している荷物を頻繁に確認したい
✓売先へスピーディーに荷物を届けたい

一方で、当然ながら地価が高いために「保管に関わる料金は高くなる」というデメリットもあります。

港湾・内陸・都市、それぞれの倉庫での仕事と求められる力

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blogのコピー (2).png


立地による倉庫の使われ方がどちらかと言えば、倉庫を選ぶお客さん向けの記事であったのに対して、仕事と求められる力に関しては、物流業界・倉庫業界志望者向けの内容になります。

前章を読んで頂いた方はある程度想像がつくかもしれませんが、倉庫の立地によって業務内容や求められる力が異なります。

ざっとまとめると3種類の倉庫は、それぞれ下記の違いがあります。

スクリーンショット 2023-01-21 144651.jpg

下記でそれぞれ解説していきます。

港湾倉庫の仕事と求められる力

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blog - 2023-01-22T113457.177.png

都市倉庫の主な仕事は (1).png

港湾倉庫においては、輸出入する荷物を扱うことが多いです。

以下が代表例です。

✓石油・天然ガス・石炭等のエネルギー関連、衣類、食料品等輸入した荷物を倉庫で受けて、国内の工場などに出荷すること
✓自動車を国内の工場から受けて、港に向けて出荷すること

輸出入の仕事においては、一般的に倉庫の仕事で必要とされる能力とは別に、以下を把握しておく必要があります。

✓関税を徴収するためのルール
✓密輸を防止するためのルール

例えば、荷物を外国から輸入する際には、関税を支払う必要がありますが、港湾倉庫では関税が支払われていない荷物も保管することができます。

ただ、関税が支払われていない状態の荷物をお客さんが引き取っていくことはできません。

そのため、お客さんがそうとは知らずに「荷物Aを明日取りに行きますので、用意しておいて下さい」と頼まれて、当日引き渡してしまうとルール違反になります。

また、関税が支払われていない状態で、倉庫で荷物を保管できる期限は原則最長2年です。

それを失念していて2年以上経過してしまうとルール違反違反です。

ルール違反の内容や回数によって、営業停止になることもあるため、上記のような知識を習得し、実際の業務で活かせるようにしておく必要があります。

内陸倉庫の仕事と求められる力

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blog - 2023-01-22T113517.310.png

都市倉庫の主な仕事は.png

内陸倉庫では、小売店や一般消費者に荷物を出荷する配送センターを営むことが多いです。

アマゾンの倉庫と言えばイメージが付きやすいでしょうか。
港湾倉庫での輸出入の仕事と比較して、出荷先が多岐に渡り、出荷件数が非常に多くなります。そのため、倉庫の中から荷物を用意してきて、箱詰めして、運送会社に渡すという作業が膨大になります。

配送センターの仕事においては、一般的に倉庫の仕事で必要とされる能力とは別に、以下が必要です。

✓膨大な作業を効率よく行えるようにするための創意工夫

創意工夫の一例としては下記があります。

✓通路の幅や扱っている荷物の大きさに合った使用しやすい台車を選定する。
✓人の手の届く所に出荷頻度の高い商品を置き、出荷頻度の低い商品は人の手の届かない、脚立を使わなければならない所に置くようにする。
✓作業員の方が極力倉庫を歩き回らなくて済むように、荷物の配置を変更したり、ピッキングの順番を指示したりする。

創意工夫のメインの対象の1つはピッキング作業ですが、下記の記事では、ピッキングに特化した内容になっておりますので、ご興味が御座いましたらご覧下さい。
他には、マクロを使った事務処理の自動化も御座います。どのような仕事が自動化できるのかについてご紹介しておりますので、こちらもご興味が御座いましたらご覧下さい。


このような方法を検討し、実際に事務員の方や作業員の方に実践してもらうことが求められます。

都市倉庫の仕事と求められる力

はてなブログ アイキャッチ画像 はてブ Blog - 2023-01-22T113544.706.png

都市倉庫の主な仕事は (2).png

都市倉庫では、書類、磁気テープ等を保管するトランクルームを営むことが多いです。

トランクルームでは、商品に以下の特徴があります。
✓代えが効かない1点物であることから在庫の種類が膨大
✓長期に渡って保管することが想定される

前述しましたが、港湾倉庫や内陸倉庫で同一商品を沢山扱うのとは異なり、破損や紛失は他の倉庫以上に防ぐ必要があります。

そのため、トランクルームの仕事においては、一般的に倉庫の仕事で必要とされる能力とは別に、以下が必要です。

✓丁寧な取扱いと正確な在庫管理

例えば、下記の動画のように荷物を落とすようにしておいたり、綺麗に積めるように荷物の上に乗ったりするようなことはありません。
上記の動画は、あくまでも荷物によって扱い方が違うということをご説明するためのものであって、決してこの作業が悪いということではありません。

また、書類の保管期限が切れたために廃棄することがありますが、誤って意図しない書類を保管しないように、貼られたバーコードで照合したり、複数人でチェックしたりと誤り防止に取り組んでいます。

仕事内容ではないですが、盗難防止のために、守衛を常駐させたり、倉庫内に入るためのセキュリティを厳重にしたりもしています。

最後に

立地によって異なる倉庫の使われ方、仕事内容、求められる力についてご紹介致しましたが、いかがでしたでしょうか。

ブログでは書けないような踏み込んだ内容に関しては、以下のサービスにてご質問頂ければ何でもお答え致します。


特に、就活生や転職希望者の皆さんが人事には聞きづらいと感じるような内容を聞いて頂ければお力になれるのではと存じます。

また、採用試験を受ける予定の方で、履歴書・ESを書いてみたけれどこれで良いのか不安だという方は一度添削を受けてみませんか。
財閥倉庫の内定にグッと近づく履歴書・ES添削します

就活生の方の中には、会社HPを見て事実誤認したまま履歴書・ESを書いていたり、人事から好印象を受けないであろう内容に仕上がっていたりすることがあります。

就活生の皆さんでも気軽にご購入頂ける料金設定にしていますので、まずはお気軽にご相談ください。

ピッキングの効率化やマクロの導入等にご興味を持って頂き、実践したいと考えて下さった方は、以下のサービスでご対応致します。
お気軽にメッセージ下さい。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す