【考察】巫病と統合失調症の違いはそれこそ紙(神)一重②

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コラム
もう少しだけこのテーマに踏み込んでみたいと思う。
先祖には血統的に神んちゅにありながら、精神分裂病として他界した曾祖母もいる。
祖父の母だ。
このことが原因かはわからないが、祖父は受け継いできた里の御嶽を破壊し台湾に渡ったという。
その先は・・・いずれ話すとしよう。

私が関わった“統合失調症”

お客様にも同級生にも医師より「統合失調症」と診断された人を多く見てきた。
今でこそ「スペクトラム」というものがあり、症状や障害に色々あることがわかっている。
少し前に、そういう言葉がもっと社会に認知されていたなら、と思うほど大切な人たちの死をこの病で失ってきた。

ー「命令幻聴」の多かった友人K

友人Kは元々自意識過剰な節があり、学生時代にはこれをからかったりもした。
ただ、Kの美的センスは優れており、彼の描く絵は素晴らしく尊敬した。
彼はおかしくなっていく過程で、自分は宇宙人で神だと言った。
だから祈らないし、お前らがひれ伏せと。
そして数日後、斧で自身の体中の小指を切り落とした。
そうしろという声が聴こえたという(命令幻聴)。
そこから何故か、彼は自身を神とは言わなくなった。
Kがおかしくなった背景には宗教絡んでいたと後に知る。

ーユタになり損ねた母の友人

母の友人は、とある霊能者の言葉を信じユタ修行の途中でおかしくなった。
原因はユタにつぎ込んだお金が元で生活困窮に陥ったことだった。
確か別居中の夫のせいで生活苦にあったことは聞いていた。
この状況を神んちゅになるための試練と言われたことで、生活が楽になるのであれば、とすがる思いもあっただろう。
そのユタは母の知人でもあったので、自分とつなげたお前のせいだ、といって早朝母の家に押し入り、リビングの家具を斧でたたき割るという奇行に至った。
普段はとても物静かな印象で、例えるならカスミソウのようにはかない感じ。面立ちもスッとしていて綺麗な人だった。
あまり接点はなかったがかなり驚いたのを憶えている。
「え?あの人が?」みたいな。
ただ一点気になっていたのは、少々ナルシストというか夢がちな人だな、と少しの会話の中で感じたことだ。
この頃私はまだ20歳前後だったが、経験の浅い私でも感じたことなので、大人社会ではどこか風変わりな人に移っていたのかもしれない。
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ー完璧主義で洗練されたYさん

お客様のYさんは、美容師でおしゃれな人だった。
いつもきれいに整えていたネイルが印象的。
彼女の場合はあらゆる妄想に取り憑かれていた。
けれど彼女にとってはこれが現実で、良く知らない人達はこれに振り回された。
ある日、見えない世界を知れば良くなるかもと、私の開催した座談会に参加したい、と言ってきた。
Yさんは、患う前から当サロンのお客様で、彼女が苦しむ様をつぶさにみてきたので、私はこれを快諾した。
参加後のカフェタイムでは、安堵した様子で笑う彼女がいた。
久々に見ることが出来たキラキラした笑顔が嬉しかったが、その表情に一抹の不安を感じた。
その数日後、お母様から自死したと連絡があった。
聞けば、何度も自殺未遂を寸前で止めていたらしい。
「家族も、何より娘が楽になったと思います。」
お母様の言葉が忘れられない。

ー徹底的に自らを追い込んだヨギKさん

お客様Kさんは、スピリチュアルにかなり精通していて、彼女から吸収した世界も多い。
彼女はスピリチュアルジプシー(自己探求)でもあった。
とても聡明で、インドに渡ってヨガを極めたり、断食習慣は当たり前で、自身についてしっかりマネジメントしている姿はとても美しく、私の憧れでもあった。
職場の部署が移動となり、彼女は見る見るうちに変わっていった。
攻撃的になり、かと思えばずっと寝続けている。
ある日、自宅からいなくなったと家族から連絡を受け、一ヶ月間昼夜関わらず時間のある時は彼女のオーラを追い、探し続けた。
泳ぐのが好きだった彼女は絶対に海にいると感じ、心当たりのあるところを探し続けたが見つからなかった。
その年たくさんの大型台風が発生し、その後離島のビーチで遺体があがった。
個人的に大好きなお客様だったので、連絡をもらった電話口で泣き崩れてしまった。

ー自ら病を自覚し寛解となったIちゃん

最後にセッションのお客様でもありママ友でもあった方の娘さんIちゃん。
このお嬢さんはノロの家系に生まれ、私はその一族のセッション、拝み事を一気に引き受けるといった関係性にあった。
20歳を過ぎたところから様子がおかしくなった。
もちろん霊障もあったので、様子を見る意味でも一時期うちで面倒をみることにした。
というのは、羨む美貌を持ち合わせていたために、学生時代も就職先でも妬みややっかみを買いやすいタイプであることを知っていた。
この傾向は親族間でも起きており、大人の間で渦巻く思いを一気に背負ったことも要因にあるとわかっていたからだ。
ユタの修行を望む母親の希望を私は断った。
代わりに、雇う余裕などなかったが、バイトとして引き受けることにしたのだ。
私のオカルト徒然をエブリスタにあげてくれたのがこのIちゃんだ。
この小説を通して神仏の世界を教えた。
よく落書きで幾何学模様を描いていた彼女に、仏画の写経とその仏肌をタトゥー(幾何学模様)で塗り上げてみるよう指導した。
この時間を通して彼女が選んだ道は医療。
閉鎖病棟に入り落ち着きを取り戻した。

退院後感想を聞かせてもらった。
「とても静かで規則正しく、追い立てられない時間が安心しました。」
どこか悲しげでもありながらも、目には力を取り戻していた。
彼女が受けた診断は「統合失調型パーソナリティ障害」。
最後に連絡をもらったのは休業中だったが、理解のある彼(彼もまたお客様)とめでたく入籍したと報告をもらった。
「私はもう大丈夫です。ありがとうございました。」という言葉にまた涙した。
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統合失調症の遺伝的要素があったのはIちゃんだけ

彼女を側に置いたのは、そのことも一理ある。
私のアイデンティティと似ているからだ。
母方もまた由緒あるユタの家系にありながら、私の父方のように精神分裂症と片付けた背景。
彼女の祖母や伯父は自死により他界している。
父方は今でも自治体の祭祀を司るノロの家系だ。
私の母方に似ている。
Iちゃんの場合も、もっと父方が寄り添っていれば、何か違った世界があったのかもしれない。

この一件から思ったことは、遺伝的要素があったとしても神仏に触れるタイミング(宗教ではない)と、アニミズム、アイデンティティへ導く指導者(と本人が自動的に受け入れることが前提)との出会いが絶妙なシンクロニシティを織りなすならば、寛解の道が拓けるのかもしれない、と。
浅はかな考えかもしれないが。

統合失調には幻聴、巫病には幻視が多い。
これも私の経験でしかないが、先にあげた5名以外の患者さんを見ていても感じることだ。
幻視と言えば、私がこの道なく医者に掛かれば間違いなく、というか過去「飛蚊症」「光視症」「眼閃(がんせん)」と言われ治療したこともある。
発展途上中はとにかく目のトラブルで片付けていた。
長くなるのでこれについては別記事でとりあげる。

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