クレーム・苦情に「すみません」は要らないと思う

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コラム

言いたいことは言いましょう

私は特別養護老人ホームで管理栄養士として働いています。

先日、ご入居者様のご家族から「栄養ケア計画書を変更してほしい」との主旨の電話がありました。

そのご家族はフレンドリーな明るさに怒りを内包したような声で、
私の栄養ケアの内容を問題ありと指摘して、私の文章も問題点ありと指摘しました。

私はご家族の声を理解し、
今現在このような状態であり、今後このようなことが心配されますが、ご家族様のご意向に添うように変更して様子をみていきます。そして伝わりにくい文章ですみませんでした、以後気を付けます。

と、今の状態と変更した際の考えられるリスクを伝え、ご家族様の意向に添うような計画に変更すると伝え、話はまとまりました。

ご家族やご本人のお気持ち含め栄養ケア計画を立てていきますが、ご家族は施設に入る前のご本人の状態を前提に話されることが多かったり、今の状態を詳しくは知らなかったりするので、きちんと現在の状態とご家族のご意向を擦り合わせていくことが大切だと思っています。

話が一通りまとまった後ご家族は
「すみません。こんなうるさいこと言いたいわけじゃないんですけど。そちらの施設には本当に感謝してるので。良くしてくれてありがとうございます、私の親は本当に幸せですから。」

と、やっぱりフレンドリーな明るさに怒りを内包したような声で早口に述べ「これからもよろしくお願いします」と電話を切りました。

私はちょっと後味悪く感じました。
取って付けたような弁解のような「すみません、感謝してます」に違和感を覚えました。
「すみません」と言うのなら言わなきゃ良いのにと思いました。


苦情やご家族様からご指摘や指導を受けたことは何度かありますが、私としては「すみません」の言葉がない方が、違和感なく指摘されたことに向かいやすいです。

ご家族は「すみません」と謝る必要なんてなく、堂々と気持ちを主張すべきだと思っています。

ご入居者様のご家族は、自分の親や兄弟を「お世話してもらっている」ことの負い目を感じていることが多く、疑問に思うことがあっても望むことがあっても、そうそう口にはしません。

「口にして、迷惑がられて、施設を追い出されると困る」
「口にして、面倒くさく思われ、入居している本人が嫌な思いをするんじゃないか」と考えます。


その代わり「お世話してくれてありがとうございます」とだけは口にします。

では実際、ご入居した方が施設を追い出されることがあるのかというと、私が見てきた中では他のご入居者様に対する迷惑行為や職員に対する暴力行為など、そういったケースが土俵にあがるくらいで、
たいていは、精神科を受診するなどして問題ある行為を服薬でコントロールして(行動制限させる・動けなくさせる)、施設で生活できるようにします。

何か言って本人が嫌な思いをするんじゃないかとの心配も、私が見てきたところありません。
むしろ「手厚くみてくれる」との印象です。

今回の私の栄養ケア計画書に対する電話もクレームの一種で、施設の対応としては、そのクレームが大きくならないように火消しにかかるわけです。だから、繰り返さないように徹底しようとします。
ある意味特別扱いです。

家族の要望に添って、対策をとってくれて、経過もきちんと追ってくれて、常に要注意として目を光らせてもらえる。最高です。

施設から追い出されることもなければ、嫌な思いをすることもない。
ご家族はきちんと自分の思いを伝えた方が得なんです。


経営者側からしたら面倒だなと思われるかもしれませんが、
施設が良い方向に変わるのだから、それでいい、と思っています。




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