中小企業経営のための情報発信ブログ11:稲盛経営12箇条

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ビジネス・マーケティング
今日もご覧いただきありがとうございます。
今年8月の日経ビジネスに稲盛和夫氏とジャック・マー氏の対談が載っていました。稲森氏は京セラ、KDDIの創業者、ジャック・マー氏はアリババの創業者です。
稲盛氏もマー氏も、「どんなに美しい言葉であっても、そこに魂が宿っていなければ、人の心に響かない。トップは常に会社の健康状態に気を配り、危機に際しては全身全霊で社員に語り掛け、不況を次の成長の糧に変えていかなければならない」と言っています。
いくら口下手であっても、言葉が稚拙であっても、全身全霊で自分の思いを伝えるということ、そうすることで、どんなに稚拙で幼稚な言葉でも魂が宿り、人の心に響き人の心を惹きつけるものになるのです。政治であってもビジネスであっても、リーダーは常に全身全霊で打ち込む魂を込めた言葉を発しなければなりません。
京セラの経営の原点12箇条というのがあります。これは京セラの創業者稲盛和夫氏が経営に携わる中で自らが会得した実践的な経営の原理原則を12箇条にまとめたものです。「稲森経営12箇条」とも言われます。
順次紹介していきます。
第1条 事業目的・意義を明確にせよー公明正大で大義名分のある目的を立てる
 言うまでもありませんが、経営には事業目的・意義を明確にすることが必要です。事業の目的はできるだけ次元の高いものでなけれななりません。従業員に懸命に働いてもらおうとするならば大義名分がなければなりません。崇高な目的、大義名分がなければ、人間は心から一所懸命になれないものです。
 企業を経営する真の目的は、現在はもちろん将来にわたって従業員やその家族を守ることにあります。同時に経営とは経営者が持てる全能力を傾け従業員が物心両面で幸福になれるように最善を尽くすことであり、企業は経営者の私心を離れた大義名分を持たなければなりません。
 公明正大な目的や意義があってこそ、従業員の心からの共感を勝ち取り、全面的な協力が得られます。また経営者も堂々と胸を張り全力投球できるのです。
第2条 具体的目標を立てるー立てた目標は常に社員と共有する
 経営者は、組織が何を目指すのかというビジョン、目標を高く掲げ、集団に指し示さなければなりません。組織をどういう方向に導くのかという方針を出し、その先にどのような未来があるのかという展望を描き、さらにその実現に至るまでの具体的方策まで指し示し、人を導くことが求められます。
 どんな障害が立ちふさがろうとも、強い意志で組織を一つに束ね、その思いと力を結集して目標を達成するのです。
 ビジョンは夢のあるものでなければなりませんが、同時に実現するための計画を具体的に立てなければなりません。大切なことは、それが空間的、時間的に明確なものであるということです。現場の最小単位に至るまで明確な目標数字があって、さらに一人ひとりの社員が明確な指針の下で、具体的な目標を持たなければなりません。また1年の通期目標だけでなく、月次の目標も明確に設定しなければなりません。
第3条 強烈な願望を心に抱くー潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つ
 物事は心に描いたとおり成就します。何としても目標を達成したいという願望をどれだけ強く持つことができるかが成功の鍵です。特に、潜在意識を駆使すれば、経営を大きく伸ばすことができます。
 潜在意識を自在に活用するには、繰り返し強く思い続けることが必要です。自分が立てた経営目標を、朝起きてから寝るまで四六時中考えることで、そのように強く持続した願望は、その人の潜在意識に入り、自分をその方向に自然と向かわせます。目標が難しく、高ければ高いほど、実現するためには強く持続した願望を抱き続ける必要があるのです。
第4条 誰にも負けない努力をするー地味な仕事を一歩一歩堅実に弛まぬ努力を続ける
 「自分なりの努力」では駄目です。競合企業がそれ以上の努力をすれば、競争に敗れてしまいます。「誰にも負けない努力」でなければならないのです。
 「誰にも負けない努力」は、日々絶え間なく続けなければなりません。どんな偉大な仕事も一歩一歩の弛まぬ努力の積み重ねからできているのです。
第5条 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑えるー入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。利益は後からついてくる
 「売上を増やせば経費も増える」というのは誤った常識です。
 売上を最大限にして、同時に経費を最小限に抑える創意工夫を徹底的に続けていく姿勢こそが高利益を生みます。「売上最大、経費最小」を実践するには、業績が組織ごとにリアルタイムに明確にわかり、かつ全員が経営に参加できる管理会計システムがなければなりません。組織の業績向上に貢献するシステム、仕組みを構築することも、経営者の大切な役割の1つです。
第6条 値決めは経営ー値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である
 値決めは、製品の価値を正確に判断したうえで、製品1個当たりの利幅と、販売数量の積が極大値となる一点を求めることです。その一点は、お客様が喜んで買って下さる最高の値段にしなければなりません。
 こうした熟慮を重ねて決めた価格の中で、最大の利益を生み出す経営努力が必要となります。仕様や品質など、与えられた要件をすべて満たす範囲で最も低いコストで製造する努力を徹底して行うことが不可欠です。
 値決めは経営者の仕事であり、経営者の人格がそのまま表れるものです。
第7条 経営は強い意志で決まるー経営には岩をも穿つ強い意志が必要
 経営とは、経営者の「意志」が現れたものです。こうありたいと思ったら、何が何でもその目標を達成しようとする、強靭な意思が必要です。その時大切なことは、従業員の共感を得ることです。もともと、経営目標は経営者の意志から生まれるものですが、同時に、その目標が、従業員の「やろう」と思うようなものにする、経営者の経営目標という意思を、全従業員の意志に変えることが重要なのです。
 経営には岩をも穿つ意思が必要ですが、まず、この強い意志を持たなければならないのは経営者です。経営者でなければ岩をも穿つ意思は持てないでしょう。経営目標というのは経営者の意志を体現するものですが、強い意志は四六時中頭から離れないような強さが必要です。
 「何としても目標を達成する」という強い意志とともに、「本当にそれを実行する」という行動が必要になります。経営者自身が目標達成に向けた具体的な行動を率先して示すことが必要なのです。
第8条 燃える闘魂ー経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要
 小さな企業であっても、経営者は従業員を守るため、すさまじいばかりの闘魂、闘志をもって企業間競争に臨まなければ、勝負になりません。そういう「絶対に負けるものか」という激しい思いが必要不可欠です。
第9条 勇気をもって事に当たるー卑怯な振る舞いがあってはならない
 「勇気」は物事を判断するときに必要になります。「人間として何が正しいのか」という原理原則で判断すれが間違いはありません。もちろん原理原則で結論を下したことで、自分に災難が降りかかってくることや誹謗中傷を受けることもあり得ます。それでも会社のために最も良かれと思う判断を断固として下す、それが真の勇気を持った経営者の姿です。
第10条 常に創造的な仕事をするー今日よりも明日、明日よりも明後日と、常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる
 現在の自分の能力で、できるできないを判断していては、新しいことなどできるはずはありません。「今はできないものを何としてもやる遂げたい」という強い思いからしか、創造的な事業、創造的な企業が生まれることはありません。強い思いのもと、日々連綿と重ねる絶えざる創意工夫の道の先にこそ、創造的な事業があり独創的な企業があるのです。
第11条 思いやりの心で誠実にー商いには相手がある。相手を含めてハッピーであること、皆が喜ぶこと
 思いやりは「利他の心」です。つまり、自分の利益だけを考えるのではなく、自己犠牲を払ってでも相手に尽くそうという、美しい心です。ビジネスの世界においてもこの心が一番大切です。思いやりは巡り巡って自分に返ってきます。相手を大切にし思いやる「利他」の行為は、自分たちが損をするように見えても、長いスパンで見れば必ず素晴らしい成果をもたらします。
 近江商人の経営哲学に「三方よし」というのがあります。これは、「商売において入り手と買い手が満足するのは当然のこと。社会に貢献できてこそ良い商売である」ということです。「利他」とは単に取引の相手だけでなく、すべてのステークホルダー、さらに社会も含めて皆が喜ぶもでなければならないと思います。
第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で―宇宙の意思と調和する
 明るさを秘めた、前向きでひたむきな努力は、長いスパンで見れば必ず報われます。美しい心と思いやりに満ち、謙虚で感謝を忘れず、素直な心を持って努力を重ねる。そのように善きことを思い、善きことに勤める人々の運命は必ず開けます。
稲盛経営12か条を見ると、そのどれにも経営者の強い意志や思いが根底にあり、それに従業員が共感することが大切なのだということが分かります。経営に最も必要なものは強い意志です。
しかし、単なる精神論だけではありません。経営に必要なことが簡潔にまとめられています。企業経営の参考になることばかりです。 
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