中小企業経営に役立つ情報発信ブログ9:人材と人財

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ビジネス・マーケティング
今日もご覧いただきありがとうございます。
今日は「ジンザイ」について書きます。
経営資源は「ヒト、モノ、カネ 情報」であると言われますが、その中で最も重要なのが「ヒト」です。
最近、「人材」ではなく「人財」という漢字が使われているのをよく目にします。「人材」ではなく「人財」という漢字を使う意図はどこにあるのでしょうか?
ビジネスや商売の本質は「お客様を喜ばせて、しっかりと儲けること」につきます。そのために働いてくれる社員・従業員が必要ですし、その事業の価値を信頼して「買いたい」と思ってくれるお客様に支えられています。
企業経営というのは、ゴーイング・コンサーンで、永続するものでなければなりません。仕事をしてくれた従業員に給料を支払い、事業に出資してくれた株主に配当金を支払い、残った利益を積み上げて、それを使って事業を拡大・発展させていくものです。企業の発展の原動力となりうる知識や知見は人件費として扱われ、人件費を抑制すると優秀な人材が知識の集積を会社に残すことなく退職することになり、会社にとって大きな損失になります。いかに人を育て会社の財産にするのかということが重要なのです。だから「人材」ではなく「人財」なのです。
1.「人材」と「人財」の意味
 「人材」というのは、大辞林によれば、「才能のある人。役に立つ人物」となっています。「材」には「才能」という意味もあって、実務を適切に処理できる実力のある人を表していると言っていいでしょう。
 一方で、「人財」は、「人は会社の経営資源である財産」という意味を持つ言葉です。会社にとって利益を生み出す貴重な存在であることを意味します。
 両者の意味を見れば、どちらも会社にとって大切な人であることに変わりはありません。しかし、「人材」の「材」には材料の意味があることから、使い捨てのイメージがわき、「人材」という漢字を使うのが嫌われるのです。一方で「人財」の「財」は「お金」という意味を表しており「人をカネとしか見ていない」という批判もあり得ます。
2.ジンザイのその他の漢字 
人罪・・・企業にとってのお荷物。トラブルばかり起こす人、実績がなく成長も見込めない人のことです。人を雇うということはコストがかかります。コスト以上の成果がないなら企業にとってマイナスの人と言えます。
人在・・・会社にただいるだけの人。過去に実績があっても、それ以上成長が期待できず、仕事を回してもらえないような人です。
3.新入社員は人材の卵
 新入社員は人材の卵といった位置付けです。やる気を出して仕事を覚え、実績を積み上げることができれば、人材や人財に成長します。何年たっても成長せず、実績を上げることができず、トラブルばかり起こしていれば、人在や人罪になってしまいます。
 強い組織をつくるには、人を育て、社員一人ひとりの成長を促し生き生きと活動できる環境を提供することです。また、社員は、人材もしくは人財と認められるために、日ごろからしっかりと仕事をして、成果を上げるとともに、自分を成長させることです。きっちりと成果を上げてこそ評価されるのです。自分がどのジンザイなのかを定期的にチェックし、目指す人材や人財になれるように努力することが大切です。会社は、人が成長できるようにサポートし、人材育成を行うことが重要です。
4.採用で「人財」を使うメリットと問題点
 先ほども書きましたが、「人材」には否定的な意味はありません。しかし、使い捨ての人材(材料)と取られることを恐れてか、「人材募集」ではなく「人財募集」という語が使われることが多くなっています。
 確かに、人財という表記が好印象を与えていることが多いのですが、一部で否定的な意見もあります。そもそも人を大切にしている企業なら、わざわざ「人財」と書かなくても人は集まります。敢て「人財」と書いて社外にアピールする必要があるのは、従業員を大切にしない実態・風土をごまかして少しでも印象を良くしようとしているのではないかと勘繰られてしまうのです。
 重要なのは表記の仕方ではなく、実態です。実態が伴わなければ、逆に不信感が強まります。
 しかし、人材という言葉を選ぶことで、従業員のモチベーションが上がったり、経営者が人を大切にするという目的を忘れないようになったり、会社に人を大切にするという風土ができるのであれば、「人財」という言葉を使う意義はあるでしょう。
 要は、大切なのは実情であるということです。人を大切にするということは短絡的な経営資源ではなく、長期的な経営資源と考えて人材を育成し活動の機会を提供するということです。人が最大限に輝いて生き生きと活躍できる企業は組織力も強いのです。
5.人財で勝つ企業を目指す
 企業が持続的成長を進めるためには、「人事制度から働き方・組織文化まで一体となった変革を推進し、『人財で勝つ企業』を目指す」べきです。
 具体的取り組みとしては
多様な個の意欲・思いに真摯に向き合うこと
個々のキャリア開発・評価・育成に対する労力を惜しまないこと
組織運営や働き方の無理、無駄をなくし、人材マネジメントに時間を充てる
などが挙げられます。
 コロナ禍で、在宅勤務、リモートワークが一般化し、個人が自らの意志で働き方を選べるようになると、会社側もその存在意義や価値を明確に発信し、求心力を高めていく必要に迫られます。その中で重要なのが「人財」であり、様々な取り組みを通じて「人財に勝つ企業」を作り上げなければなりません。
最初に書いたように、「ジンザイ」には様々な漢字が当てられます。生き生きと働く「人財」、粛々と仕事をこなす「人材」、ただいるだけの「人在」、トラブルを起こす「人罪」です。
強い組織を創るには、社員個人の成長を促し、社員一人ひとりが生き生きと働く「人財」になること、そのように社員を育成することが重要です。できるだけ早くギャップを埋めて「人財で勝つ企業」を作りましょう。


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