中小企業経営に役立つ情報発信ブログ8:DXに失敗する理由

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ビジネス・マーケティング
今日もご覧いただきありがとうございます。
昨日に引き続きDXについてです。
DXが大きな話題となり、その重要性に気づいている企業も多いのですが、DXを取り入れようとして失敗している企業も後を絶ちません。
1.DXのスムーズな進行を阻む5つの原因
 多くの企業がDXの導入を行おうとしながら、苦戦する要因は次の5つの大別できるように思います。
⑴経営者は掛け声ばかりで担当者不在
 トップが「DXを進めるぞ!」と意気込み、推進担当者も不明瞭なまま、企画部や社長室のサポート部門がDXを担当するケースです。企画部や社長室は調整が主な業務であり、リーダーシップを必要とする変革業務は不得手です。時間ばかりが過ぎ、全く何も進みません。
⑵専門部門を新設してもノウハウ不足
 デジタル推進部、新規ビジネス準備室などの新設部門がDXを担当するケースです。社内の各部署から精鋭人材が集められていますが、社内のルールを壊し新しいルールを作るという変革の経験が不足しており、停滞しがちになります。
⑶マーケティング部門が盛り上がるが、全社的には何も変わらない
 マーケティング部門がDXを担当するケースです。マーケティング部門はデジタルに精通しているように見えますが、事業やシステムへの理解が浅く、外部の広告代理店と共にコンセプトは作れますが、広告以外の業務は他部門に丸投げしてしまいます。
⑷システム部門に任せるため、開発・ツールが増加
 システム部門がDXを担当するケースです。システム部門は基本的には現場要件をシステム化するという受託型の仕事スタイルです。システム会社の提案は最新のシステムや流行しているものの提案が多くなり、システム部門は無条件にこれらの提案を受け入れコストがかかり現場を複雑化してしまいます。
⑸変革も長続きせず、全社定着に至らず自然消滅
 DXに取り組む場合、コンサル会社やシステム会社に丸投げしてしまうケースです。その結果費用がかさみ、長続きせず、自然消滅し、社内にノウハウも残りません。
2.DXが「他人任せ」になる理由
 上の5つの要因に共通しているのは、すべて「他人任せの意識」です。
 インターネットに詳しいエンジニアやマーケティング経験のあるマーケターであればDXを進めてくれると思い込み、エンジニアやマーケターを採用する企業が増えています。コロナ禍においてもエンジニアやマーケターの有効求人倍率は5倍を超え、高額な給料で採用されるケースも増えていると聞きます。本当に優秀な人材は一握りで、エンジニアやマーケターへの過度な期待がDXを停滞させる可能性があります。
 エンジニアやマーケターはDX人材ではありません。エンジニアはシステムの専門家、マーケターはプロモーションの専門家にすぎません。
 DXは「デジタル(D)+トランスフォーメーション(X)」のことで、トランスフォーメーションは変革・改革を意味します。
 デジタルについては情報システム部門やIT専門家に聞けば解決しますが、それだけでは変革を起こすことはできません。DXと言うのは単なるデジタルの導入ではなく変革を起こすためのものです。それを忘れているところに、多くの企業が失敗している原因があるのです。
 「DX人材」というのは、「業務・システムを熟知し、企業に変革を起こせる人」のことです。いくら専門的な知識やスキルがあっても、現状を変革するためのスキルを持っていなければ意味がありません。むしろ専門的なスキルではなく変革するスキルこそが重要なのです。
 本来、DXは、全社を巻き込み、トライ&エラーを繰り返しながら、前進していくことで達成できるものです。
 昨日も書きましたが、DXやデジタル化は手段であって目的ではありません。どんな企業にも経営理念やビジョンがあります。その企業理念やビジョンを達成するために各企業が抱える課題や問題を解決していかなければなりません。その問題や課題解決の手段の一つがDXなのです。そのためには、現状を変えて問題を解決するのだ、変革するのだという強い意志・意識が必要です。そのような強い意識を持てるのは経営陣しかいません。
 DXで変革を起こすものは、企業や各部門が抱えている課題や問題です。これらの問題は、情報システム部門や人事部門が単独で解決するには限界があります。
 したがって、経営陣が率先して取り組み、全社を巻き込むことが重要になるのです。他人任せにしていいはずはありません。
 だから、エンジニアやマーケターを採用しても、システム導入やWEB販促の表面的なことができても本来のDXは実現できないのです。
 重要なことは、DX人材は「会社の業務・システムを熟知し、企業に変革を起こせる」人ということです。こうした人材は社内で育てるしかありません。しかしDX人材を育てるといってもなかなか難しいことです。最初は外部の力を借りて、最終的にはノウハウが残るようにすることです。一気にDXが実現できるなどということはありません。一歩一歩確実に進めていくしかありません。自社の問題や課題解決のために、必要な範囲で取り入れながら、他人任せにすることなくDX人材を育てることです。




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