中小企業経営に役立つ情報発信ブログ3:部下の育成方法

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ご覧いただきありがとうございます。
今日は、部下の育成方法、「褒め方」「叱り方」について書いていきます。
部下の育成方法の基本は「認めて、任せて、褒める」です。しかし、ミスをした時などは「叱る」ことが必要な場合があります。「失敗は成功の糧」ですが、そのためには、失敗の原因を探ってそれをその後に活かし成功に導く必要があります。ここでの「叱る」は「責める」ことではありません。「叱る=責める」では、反感を買うだけで、部下の成長もありません。叱った後は、しっかりとしたフォローが必要になります。
1.褒めるべきか、叱るべきか
 この2つの対応は、職場だけでなく家庭でも、学校でも、古くから問題になっています。若者の中には、「自分は褒められて成長するタイプだ」と公言する人もいますし、管理職に当たる世代ではは「自分らの世代は叱られて成長してきた」と言います。どちらが正しいというわけではなく、両方を上手く使い分けることが大切です。
 日本は、ベネディクトが「菊と刀」で言ったように、欧米の「罪の文化」ではなく「恥の文化」に支配されています。つまり、日本の社会は、正しいのか正しくないのか(正か邪か、善か悪か)ではなく、恥ずかしいか恥ずかしくないのかという価値観に支配されているのです。親が子供を叱る時にも「悪いからやめなさい」ではなく「恥ずかしいからやめなさい」的は叱り方をします。良し悪しは別として、欧米にはキリスト教的な価値観が根付き、善悪の基準が明確になっていますが、日本には明確な善悪の基準がないのです。今の若者だけでなく、昔から日本人は曖昧模糊とした甘えの中で生活しているのです。
 「叱る」というのは、相手のことを思って行うものでなければなりません。しかし、上司や親、教師が、叱られる相手のことを思って叱っているとは思えない場合が多いのです。叱っている本人は、相手のことを思った気になっているのかもしれませんが、心底相手のことを思っているのではなく、背後には自己満足や驕りが見え隠れしています。相手のことを思っていなければ、それは怒りに任せた感情の発露にしかすぎません。
 「叱る」というのは、相手に対してどのような思いや感情をこめて言葉を発するのか、「この一言で、相手の持つ可能性が大きく開花して大きく成長してほしい」と思い、真剣に相手の心に響かせなければなりません。ある意味「命がけ」です。
 このことは「褒める」にも当てはまります。口先だけ、うわべだけの褒め言葉など相手の心に響きません。「褒める」ときも、相手のことを思い、相手が大きく花を咲かせ成長してくれることを思って、褒める必要があるのです。
だから、「褒める」ことも「命がけ」です。
 組織心理学の研究によれば、ネガティブなフィードバック(叱るなど)よりもポジティブなフィードバック(褒めるなど)の方が、モチベーションなどポジティブな心理的・行動的な反応をもたらすとされています。
 例えば、ポジティブなフィードバックを受けた人は、フィードバックの内容を「的確である」「役に立つ」と評価し、それを受け入れて肯定的な自己イメージや自己効力感やモチベーションを高めます。また組織に対するエンゲージメントを持ち、役割外の仕事や創造的な活動に積極的に取り組んで、会社を辞めようという気持ちが低いことが報告されています。一方で、ネガティブなフィード-バックを受けた場合、フィードバックの内容に反感を抱き素直に受け入れられなくなるのです。人間は誰しも、多かれ少なかれ「成果は過大視し、責任は過小視する」認知バイアスを持っているのです。
 また、脳科学の研究では、金銭的報酬がもらえるときに賦活する脳の部位が、褒められるなど社会的報酬が与えられた時にも同様の反応を示すことが明らかになっています。つまり、他者から褒められるということは、お金をもらうのと同じくらいの喜びや満足を得るということです。
2.能力を褒めるか、努力を褒めるか
 褒め方によっても効果が違うことが明らかになっています。
 ある問題を与えて、解けた者に対して①能力を褒める ②努力を褒める ③全く褒めない の3パターンのグループに分け、そのあと別の難しい問題を与えたところ、②努力を褒めたグループの成績が①能力を褒めたグループより向上していたのです。
 「努力を褒められたグループ」は「能力を褒められたグループ」よりも問題を解くことを楽しみ、新しいことを学びたいという意欲が高まっています。
 このことから、褒める場合には、達成できた成果を褒めることも重要ですが、その過程での努力・頑張りを褒めることがより重要だということが分かります。
 こうしたことから、部下の育成方法は、最初に書いたように「認めて、任せて、褒める」です。しかし、褒めてばかりいたのでは思い上がりや過度の自信過剰が生まれ、小さなミスを生みそれが重なると大きなミスにつながってしまいます。時には、ブレーキをかける意味で「叱る」ことも必要です。
 認めて、任せて、褒める ⇒ 時々叱る ⇒ アフターフォローをする
というのが一番良いのです。このサイクルを回していくのが最も良い部下の育成方法ではないでしょうか。
 その前提として、「褒める」ときも「叱る」ときも、相手を思いやる心が一番大切です。そのためには、相手とのより良い人間関係や信頼関係の構築が大前提になります。コロナ禍で、難しい面はありますが、お互いが共感できるように対話や雑談に心がけましょう。それがより良い人間関係や信頼関係を築いてくれます。



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