中小企業経営に役立つ情報発信ブログ2:ビジネス・交渉的テクニック

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ビジネス・マーケティング
今日は、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションや交渉術について書きます。魚住りえ著「1秒で心をつかめ。一瞬で人を動かし100%好かれる超え、表情、話し方」(SBクリエイティブ)という本の第2章「ビジネス・交渉の1秒 信頼される」から、ポイントをピックアップしながら、私なりの考えを加えていきたいと思います。魚住氏は元日本テレビアナウンサーです。
ビジネススキルの中で重要なものはコミュニケーションスキルであると言われます。コミュニケーションというのは、言葉のキャッチボールで成り立っています。そして、ビジネスは、人と人との人間関係・信頼関係で成り立ちます。それは、上司と部下、同僚といった社内の人間関係だけでなく、取引先・顧客・株主といったステークホルダーとの関係でも同じです。
この本では、「特別な1秒」に焦点を当て、周囲の人に好印象を残す方法が語られています。出会いがしらの1秒、会話の途中の1秒など、ほんのわずかな時間が相手に与える印象や相手から受ける印象を大きく変えてしまいます。これまで好意を抱いていた人の一瞬の表情や一言、態度から印象がガラッと変わったという経験をした人も多いでしょう。一瞬の印象で「人と人とのつながりの結び目が強くなるのか、ほどけてしまうのか」が決まるのです。
これはビジネスシーンでもいえることです。上司と部下とのより良い人間関係構築につながるか、取引先との商談に成功するかも「会話での一瞬の印象」で決まると言っても過言ではありません。上司と部下など社内の人間関係の構築なら、失敗しても次の機会がありますが、商談は一回限りです。一瞬の印象で良い印象を残せなければ次がないかもしれません。
1.商談の始まりは「いまここ」の1秒に集中する
 ビジネスにおけるコミュニケーション、特に取引先などの社外の人とのコミュニケーションにおいては最初の印象が極めて重要です。会話の始まりの「今ここ」の1秒に集中することです。
・目の前にいるお客さまは、何を求めてここに来ているのか
・商談相手は何がしたくて、何がしたくなくて、ここにいるのか
・ミスをした部下はどういう気持ちで報告にやってきたのか
・不機嫌そうな上司にどのように接すればこちらの提案に乗ってくれるのか
 このように、会話が始まる直線の1秒だけ、相手の立場から「いまここ」を眺めてみることが大切だというのです。こうした直前の1秒が「私が」「こちらが」「弊社が」といった自分がしたいことを優先した会話の話し方から、「どうされましたか」「お困りごとはありませんか」といった相手を気遣う会話へと変わるのです。
 ビジネスというのは、売りたいもの(商品やサービス)を売るのではなく、顧客が買いたいもの(商品やサービス)を買ってもらうことです。売りたいものを強引に売りつけるのではなく、顧客のニーズやをウォンツを捉まえて、顧客に合った商品やサービスを提案できてこそ真のビジネスなのです。
 大切なのは「自分が話すよりも相手の話を聞くこと」です。コミュニケーションにおいて重要なのは相手を知ること、相手の情報を聞き出すことです。相手を知ることができてこそ、より良い人間関係・信頼関係が構築できます。
 ビジネスにおけるコミュニケーションは、雑談であっても単なる世間話ではありません。相手の話を聞くこと、そのために質問することです。コミュニケーションスキルで重要なのは「聞く力」と「質問力」です。岸田首相は「聞く力」が自分の長所と言っていますが、リーダーに相応しい「聞く力」を身につけているかは疑わしいところです。まあ、政治の話はやめておきます。
 要は、コミュニケーションで重要なのは、自分が話したいことを話すのではなく、「いまここ」の1秒に集中して相手の話を聞く意識を持つことが大切なのです。
コミュニケーションは、「質問する→聞く→質問する→時々自分の話をする」このサイクルで回していけばいいのです。
2.リーダーシップに必要な「聞く」とは?
 「聞く=理解する」と考えているリーダーがいます。部下に話を聞かせれば、部下は自動的に話を理解すると思い込んでいるのです。これは勘違いです。このような思考が会話をおろそかにし、部下たちの心が離れていく原因になります。
 コミュニケーションは言葉のキャッチボール、人と人との関係で成り立っています。一方的に話を聞かせてそれで成り立つものではありません。繰り返しになりますが、「聞く」というのは相手を知ることです。質問をして相手の情報を得て、さらに掘り下げて質問をして聞くということです。
 大辞林には、「聞く」は「音・声を耳で感じ取る。耳で感じて知る」「人の言うことを理解し、受け入れる。また従う。聞き入れる」と書かれています。
 「聞く」というのは「対人という文脈における情報の取得、処理、保持」です。「聞く=従う」という認識も間違っています。部下が上司の話を聞いたらそれに従わないといけないというのは、本当の意味での「聞く」ではありません。「話を聞いて理解し、納得して行動に移す」のが本当の意味での「聞く」なのです。つまり、そこにあるのは相互理解と共感、信頼です。
3.一瞬で心をつかむ「お会いできてうれしいです」
 人間誰でも「認めてもらいたい」という承認欲求を持っています。この本では、相手とより良い関係を構築するには、相手の承認欲求を満たすことが早道だと言っています。相手の承認欲求を満たすためには、「相手の話を親身に聞いて、共感すること」です。
・相手の話を聞き、受け止め、素直に疑問に思ったことを聞く
・相手の話に「それは違う」と思ってもすぐに遮ったり否定しない
・最後まで聞いて「そういう考えもありますね」と一旦受けとめ、質問する
・批判したり自分の考えを押し付けたりしてはいけない
 この流れを忘れなければ、ビジネスで上手くコミュニケーションが取れるはずです。ただ、こちらが「聞く」という意識を持っていても、口下手な人やシャイな人、たまたま機嫌が悪い人などいます。その時には距離を置いて、ビジネストークに徹するのも一つの方法です。それでも、つながりを持ちたいのであれば、最初の一言、相手をノックアウトできる言葉が必要です。
 その言葉が「お会いできてうれしいです」「ご一緒できる機会を楽しみにしていました」といった言葉です。まずは「こちらが話したい」「会いたかった」という気持ちを素直に表現することです。これにより相手の緊張だけでなくこちらの緊張もほぐれ、その後のコミュニケーションが深く豊かになり、お互いの印象が良くなります。
4.「でも」「しかし」「いや」など否定語に注意
 「でも」「しかし」「いや」「逆に」などの否定語を使うのが口癖になっている人もいます。否定しているのではなく、同じ意見を言っているのに、口癖で、こうした否定語から入るのは気を付けた方がいいでしょう。いきなり最初から否定語が使われると、相手は気分を害します。こうした言葉が積み重なっていくとじわじわと印象を悪くしてしまいます。もし、こうした否定語を使うのであれば、「そうですね」「そういう考えもありますね」と言っていったん受け入れたうえで、次に流していけばいいのです。いったん受け入れることで、それがクッションになり印象が変わります。
この本では、最初の1秒の印象を重視していますが、最後の1秒の印象も極めて大切です。人は最後の印象が一番意識に残ります。最後は笑顔やユーモアを交えた会話で終われれば、楽しい時を杉下という余韻が残ります。これがその後の相手とのより良い関係を築いてくれるはずです。
最初の1秒だけでなく、最後の1秒も大切にしましょう。


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