中小企業経営に役立つ情報発信ブログ1・ミッションの重要性

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初めまして。経営コンサル会社・経営コンサルタントです。
このブログでは、中小企業経営、中小企業経営者にとって役に立つと思う情報(経営理論、経営に関する本の紹介など)を適宜発信していきます。
今日は、企業のミッションについて書きます。
1.企業経営における「ミッション」とは
 企業経営において「ミッション」という言葉がよく使われますが、「ミッション」とは何でしょうか?ビジョンとの違いは何でしょうか?
 「ミッション」には「目的・使命・存在意義・役割」といった意味がありますが、企業経営においては「その組織や個人が果たすべき使命や役割」を意味します。
 企業理念を掲げるポイントとして、①ミッション ②ビジョン ③バリューの3つの構成要素がありますが、そのうちでミッションは、組織の方向性を決めるうえで極めて重要です。
ミッション 「組織が果たすべき使命」「社会にどのように貢献するか」
ビジョン 「実現を目指す」「理想とする姿の追求」
バリュー 「組織が共通して持つ価値観」
「ビジョン」が企業が目指すべき目的地であり、「バリュー」は目的達成のための手段であり、「ミッション」は「なぜ、企業がその目的を掲げその達成を目指すのか」という使命・存在意義を表します。
2.今、ミッションが重要に!
 今はVUCAの時代と呼ばれます。これはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもので、もともとは冷戦後の国際情勢を表す言葉でしたが、ビジネスシーンでも使われるようになっています。簡単に言えば、全く予測がつかない、何が正解かわからない時代のことです。
 コロナ禍でのテレワークもVUCAを象徴する変化の一つではないでしょうか。テレワークでオフィス勤務が少なくなり、様々な価値観や考え方で色々な働き方が出てくると、人と人との結びつきが希薄になります。コミュニケーションについては後日書きますが、コミュニケーションも少なくなります。そうなるとモチベーション(やる気)も低下し、エンゲージメント(愛着心)も低下していきます。VUCAの時代こそ、一層の求心力が求められるのです。組織にとっての求心力となるのがミッションです。
3.企業の目的は利益の最大化ではない
 私は、企業の目的が利益の追求であることは否定しません。企業が利益を上げられなければ、成長どころか存続すら危ぶまれます。利益を上げるということは、企業が存続するためにも重要な目的の一つです。
 「企業は何のためにあるのか?」という問いかけに「事業を通して社会をよくするためにある」という人もいます。これも一理あるでしょう。社会に貢献するというのも、立派な目的の一つです。しかし、利益を上げられなければ、社会に貢献できませんし、逆に社会に貢献できなければ利益を上げることはできません。利益と社会への貢献は車の両輪のようなものです。
 それぞれの企業には崇高なミッションがあり、ミッションを遂行するために存続しています。そのための手段として必要なのが利益です。
 稲森和夫氏も「人間中心の経営」を掲げながらも「稲森経12箇条」で「売上を最大化し費用を最小化する創意工夫が高利益を生み出す」としています。
4.ビジョン、バリューよりもミッションが特別な理由
 先ほども書きましたが、経営にとって必要なもの、ミッション、ビジョン、バリューの中で、ミッションが組織の方向性を決めるうえで最も重要なものです。繰り返しになりますが、ビジョンは「目指すべき目的地」であり、バリューは「企業の価値観、行動の判断基準」です。それに対してミッションは「企業の使命や存在意義、何故その目的を達成したいのか」です。
 ビジョンがWhat、バリューがHowであれば、ミッションはWhyです。
 登山を例に挙げれば、登山家のミッションは山に登ることです。山に登るのを止めてしまえば登山家ではなくなります。ビジョンは「5年後にエベレストに登頂する」というようなもので、バリューは山の登り方です。
 今は、事業環境が劇的に変化し、何が正解が分からない時代、VUCAの時代だからこそ、原理原則としてのミッションが重要で、色々な価値観や考えを持った社員が同じゴールに向かうためにミッションが必要になるのです。
5.個人も自分のミッションを持つべき
 ミッションは企業だけでなく、個人においても必要です。
 個人も「自分にとって、好きで、得意で、人のためになることは何か」を意識して考え続けることが大切です。
 「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」の中に、「飛躍した企業は、自社は世界一になれる部分、経済的原動力になれるもの、情熱を持って取り組めるものの3つ円が重なり合う部分に関する深い理解に基づき、この深い理解を単純で明快な概念にまとめ、この概念をすべての活動の指針とし、目標と戦略を設定しているのだ」と出ています。
 個人においても同じです。好きなことが「情熱を持って取り組めること」で、得意なことが「世界一になれる部分」で、人のためになることが「経済的原動力になるもの」なのです。
5.企業経営にとって重要なことは、WhatやHowではなく、Whyです。
 一般に、物事を考え整理するツールとして、5W1Hがあります。これは状況や情報を「Who(誰が)What(何を)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)」と6つの要素に分解して整理するものです。
 これに対して、トヨタ式5W1Hは「Why(なぜ)?Why(なぜ)?Why(なぜ)?Why(なぜ)?Why(なぜ)?How(どうやって)?」です。ひたすら「why?」と問いかけ続けるのです。それを検討することで解決方法Howが見つかるのです。
 トヨタでは「『なぜ?』を5回繰り返せば真因が見つかる」と言われれています。しつこく「なぜ?」を問い詰めることで、表面的な原因ではなく、真の原因(真因)が分かるのです。時間はかかります。しかし、あえて時間がかかっても「なぜ?」を問い続けカイゼンを行う方が、同じ間違いを繰り返すことはなくなり、仕事の質も向上するのです。
企業経営において重要なことは、WhatやHowではなくWhyなのです。そして、このWHyの最たるものがミッションです。
繰り返しになりますが、混迷するVUCAの時代には、どのような企業にもミッションは必要です。経営計画や事業計画を策定する際にも経営理念は重要な意味を持ち、そのうちのミッションを明確にすることが計画を実現するうえで必要不可欠です。
今一度自社のミッションを見つめなおし、経営理念を明確にして、社員と共有するようにしてください。

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