文章のクオリティは、書き始める「前」に決まる

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ライターの長嶺と申します。
物書き歴はおかげさまで15年を超えましたが、いまだに難しい仕事だなと思わされることが多いです。

原稿の執筆は、意外と体力を使います。若い頃に1日で書けていた分量が、3日経っても書けないこともあります。歳をとるにつれて、疲れが取れなくなっていますね……。

それでも、納品した原稿に対して、ご依頼主から高く評価され、感謝していただけると、またやる気が湧いてきます。

それにしても、文章を書く力とは何でしょうね?
日本語の語彙が豊富とか、美しい文章を書けるとか、もはや、そういうことではないと思っています。
昭和の時代、ボキャ豊富で美文を綴る作家たちは、なんとなく偉そうに振る舞えていました。特権階級を気取っていたように感じます。

あとがきなんかで、たとえば「昭和50年8月吉日 箱根の露天の朝風呂を臨み、浴衣姿のほてった耳でウグイスの声を聞きつつ筆を置く」……みたいな、読者からしたら「どういう状況? 知らねーよ」とツッコみたくなるキザなフレーズを、ちょいちょい挟んでも許されていた時代です。

しかし、時は令和。文章というメディアは、年々明らかに読まれなくなっています。作家よりも、YouTuberのほうが稼げそうです。

実際、一部のYouTuberさんは、昭和の作家よりもずっと偉そうに振る舞っていますし、自己満動画も発信していますね。
無理もありません。メディアの世代交代、新陳代謝のときが来ているんだと思います。

動画での解説がもてはやされている昨今ですが、性質上、なんだって動画にできるわけでもありません。

ある程度、流し読みすれば、動画を観るより本を読んだほうが早かったりもします。

SEO対策によって、ご依頼主の企業の公式サイトをGoogle検索で上位表示させるという重要な任務もありますし、文章は、まだまだ求められています。

だからこそ、動画に負けないぐらい「負担なく読めて、わかりやすい文章」こそが求められる時代になっているのだと思います。
あるテーマについて何も知らなかった人が、1つの記事を読んだだけで、スッと理解できる……というのが理想的です。
そして、わかりやすい文章を生み出すには、出だしから結論までをうまく組み立てる構成力と、高品質の情報を短期間に大量に集められるリサーチ力が求められるのだと信じています。

きっと、構成力とリサーチ力によって、文章のクオリティの8割以上は決まるでしょうね。書く前に大半が決まってくると思います。
私は、文章を執筆するのはまあまあ辛いと感じるのですが、子どもの頃から調べ物が大好きなので、ライターは転職だと思っています。
現在、私はリサーチのため、都内の4つの図書館を使い分けています。
・蔵書は膨大にあるが、手続きがやや面倒な図書館
・蔵書はまあまあで、手続きも簡単だが、室温28℃で昼間ずっと暑い図書館
・蔵書は少なめだが、PCを自由に使えて、夜10時まで開いている図書館
・蔵書が膨大な図書館にもない資料があるが、有料の私立図書館
また、原稿料が比較的高い案件でしたら、ネット上の有料データベースを使って調べる「オマケ」を勝手に付けることもあります。感謝の意味を込めて。
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