豊かな人間関係を作るヒント その③ 【後編】

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コラム
前回の続きです。
豊かな人間関係を築く上でのヒント【相手の立場に立つ】について、
私の体験談を紹介しましょう。何か参考になれば幸いです。


私の両親は先月、新型コロナウイルスに感染し入院しました。

感染経路は不明でしたが、母が体調を崩した後に父にも同様の症状が現れたため、母からの家庭内感染が疑わしい状況にありました。

幸いにも母は軽症で、1週間の治療で無事退院できました。
一方で父は、治療を開始しても肺炎の勢いが収まらず、更なる呼吸状態悪化が認められれば人工呼吸器を使うことになると医師より伝えられました。

私は救命科での理学療法士経験があり、亡くなる可能性がある事も覚悟しました。
面会も叶わず、連絡手段はメールと電話のみです。
もし人工呼吸器を使用すると、当然声は出せなくなり、疼痛を和らげるために鎮静剤を使用する事が多いのでメールでのやり取りも難しくなるでしょう。

退院した母は「電話で話すとお父さんが苦しくなるかもしれないから連絡をしていない。」とのことでした。
私は、もう2度と父との連絡が取れない可能性を考慮し、母にその旨を告げた上で「今は個室に1人でいて心細いだろうから、連絡をとって欲しい。どこかで励みになると思う。」と伝えました。

それから数日経っても呼吸の状態は改善の兆しがなく、父は「心配されてもコロナは治らない」と抑うつ状態と思われる発言が多くなりました。

母と連絡を取っているか尋ねると、
「お母さんのメールは重たい。お父さんなら絶対に大丈夫だとか、自分の知り合いでECMOを使うぐらい悪くなった人がいたけど今は元気だとか。こんな連絡なら送って来ないで欲しいと思ってる。放っておいて欲しい。」
と愚痴をこぼしました。

前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

母に状況を尋ねると、「良かれと思って励ました」「私が励ました方が良いと言うから思いを伝えた」と口調を強めました。

ここで私は【母の立ち場に立ち】、改めて状況を整理しました。
私の考察では、
母は自分がコロナを移したと考え、父に万が一の事があれば自分の過失として自責の念に駆られてしまう可能性が高いのではないか。
そうならないためにも、元気になってもらわなければ困ると、頭のどこかにあるのではないか。
それならば、励ますことに力が入ったのも無理はないだろう。
というように考えました。

そして母に言いました。
「確かに励まして欲しいと伝えたね。あの時点では今後話せない可能性も考えるとそうした方が良いと思ったんだけど、自分のアドバイスが間違っていたかもしれない。もし俺がお母さんの立場だったら、やっぱりお母さんと同じようにしたと思う。
でも、今は状況が更に進んでいて励ますのは逆効果の様でそうっとしておいて欲しいみたい。本人を尊重しようと思うんだけど、どう思う?」
と話すと、母はまた落ち着きを取り戻したようだった。

ここでのポイントは
○自分の非と思われる事を素直に間違っていると認めたこと
○自分が相手の立場なら、やはり同じようにしたと伝え、相手の正当性を認めたこと
○相手を尊重した上で、相手の意見を求めたこと
かと思います。
これらの点が、相手の重要感を損なうこと無く、怒りを鎮めるに至ったと解釈しております。

心理学を学んでいない以前の私であれば恐らく、
「そうは言ったかもしれないけど、今みたいに落ち込んでいる時に押し付けるような話をしたら嫌になるに決まってるじゃん。」なんてぶっきら棒に言って母をヒートアップさせていたかもしれません。


後に、両親共に「頼りになって助かった。色々とありがとう」と感謝してくれたので、決して悪い関わり合いではなかったと信じています。


長文に付き合っていただきありがとうございました!
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