犬にタバコは危険!ニコチン中毒の症状から治療まで【獣医が解説】

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犬がタバコを加えたまま食べてしまった。

タバコが使っている水を飲んでしまった。

そう言った時にどういった状況になってしまうか、どうするべきか知りたい飼い主へ。

当記事では、犬がタバコを口にしてしまった時に起こる症状、病態、対処法に至るまでをまとめました。

限りなく網羅的にまとめましたので、タバコが犬に与える影響をご存知でない飼い主は是非ご覧ください。

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✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中! 

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

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✔︎本記事の内容

犬にタバコは危険!ニコチン中毒の症状から治療までを解説

犬が食べると危険なニコチンは何に含まれている?

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ニコチンはタバコ由来の植物アルカロイドです。

紙巻きタバコ、葉巻、刻みタバコ、かぎタバコ、電子タバコ及びニコチン置換療法用の製剤に含まれています。

一部のニコチン置換用製剤には人工甘味料(キシリトール)も含まれているため注意が必要です。

多くの紙巻きタバコで見られ、また、経鼻的摂取により原因となる。

他にはニコチンガム、ある種の植物(メスカル豆)、ある種の殺虫剤にも含まれています。

犬がニコチン中毒になった時の病態 ニコチンはコリン作動性効果を持ち、短時間のみ中枢神経系を刺激し、その後抑制します。

自律神経系の神経節、筋肉系の神経、筋接合部、中枢神経のシナプスにアセチルコリン様作用を示します。

一般的に中毒症状が出る量として、体重1kgあたり1~2mgのニコチンを食べてしまうと、症状が出ると言われています。

(致死量は、体重1kgあたり約8mgです。)

タバコにもよりますが、1本あたり0.5~2mgのニコチンが入っているので、体重4kgの子ではタバコ約2本で中毒症状が出ます。

犬がタバコを食べて、ニコチン中毒を起こした時の症状

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臨床症状は摂取後、15-90分で認めることが多いです。

代表的な症状は、嘔吐、唾液分泌過多、可視粘膜蒼白、運動失調、ふるえ、頻脈、頻回呼吸、高血圧です。

その他の症状には、徐脈、呼吸抑制、低血圧、発作、昏睡、心室性不整脈があります。

一連の症状は摂取後急速に現れます。

中毒動物は興奮か、活動的になり、呼吸促迫後にしばしば、放尿、流涙が認められることもあります。

高用量摂取、長期摂取により中毒動物は震え、筋肉の痙攣を起こし規律不能となり、呼吸浅速、頻脈、虚脱、昏睡、死へと繋がます。

犬がタバコを食べてしまい、ニコチン中毒を起こした時の対処

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対処法は3つに大別されます。

動物病院では、まず胃の内容物を吐かせて外に出し、その後、胃の洗浄をして、活性炭や下剤を投与するといった治療がおこなわれます。

中毒の症状や原因となるものを、体外に排出することが最優先されます。

そのまま様子を見る(勝手に吐く、あるいは、便で出るのを待つ or 毒物なら点滴して希釈する)
吐かせる
点滴などの対症療法

摂取後2時-4時間以内であれば、催吐薬の投与を行い吸着剤の投与を併用します。

催吐の効果が認められられない場合には、胃洗浄を行うこともあります。

通常1時間以内であれば胃の中にまだありますので、吐かせることができますが、3時間となるとはかせることは難しいため、症状が出た場合は点滴となります。

しかし、お近くに病院がない場合、また3時間以上経過すると胃袋になく、吐かせることができませんので、中毒が出ないように祈る以外、ご自宅でできる事はありません。

これは3時間経過していれば、病院でも同じです。

しかし摂取後時間が経過している場合は催吐薬の投与、洗浄は行わずに吸着剤の投与を行います。

時間が経過している場合は催吐、並びに胃洗浄は体への負担が生じるだけで効果が認められません。

多くの中毒と同様に嘔吐による脱水、電解質の補正のための輸液などの対処量を行います。

点滴治療で、症状を緩和することが目的となります。

犬がタバコを食べて、ニコチン中毒を起こした時の治療

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十分な水和(点滴)、制吐剤の治療が必要になります。

排泄促進

利尿させることで尿の酸化能により中毒動物の回復時間は短くなります。

これは中毒動物がアシドーシスの時には使用できないです。

禁忌

ニコチンはアルカリ性の胃からよく吸収されますので、制酸剤は避けます

処置

中毒動物の安静

気道確保、酸素吸入、換気
低血圧、脱水の治療:点滴
痙攣、昏睡の治療
メトヘモグロビン血症の治療

原因物質の除去

牛乳や保庇材の投与(摂取直後)
催吐処置(30分以内):殆どは自発的に嘔吐する可能性が高い
胃洗浄

解毒剤の投与、支持療法

製品ラベルのチェックを実施:他に存在する中毒の治療
電解質のモニター(高カリウム、リン、アンモニア)
嘔吐、胃炎の治療(メトクロプラミド、クロルプロマジン)
腹痛に対しての鎮痛薬 スクラルファートなどの胃粘膜保護剤

犬がタバコを食べた時の応急処置と対処法

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原則は病院の受診です。

病院で安全な催吐処置をしていただくことが最善です。

しかし、周りに病院がない場合、離島などで病院受診が困難な場合は自宅で吐かせるしかありません。

自宅でできる催吐処置は元々非常に危険で、それが原因で命を落とすこともあります。

炭酸ナトリウム 小型犬:0.5g/頭  中型犬以上:0.5-1g/頭  口腔内投与
3%過酸化水素(オキシドール) 1-2ml/kg

上記はあくまでも参考です。

決して気軽に自己判断で行わないでください。

犬がニコチン中毒を起こした時の予後

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誤って少しだけ口にしてしまった程度なら、体調の変化がないか、下痢や軟便にならないか経過を見てください。

アレルギーの持っていない犬が少し食べても、問題はありません。

しかし犬がアレルギーが無いか分からない場合や、摂取量が多い場合は病院で点滴をして頂いた方がいいです。

犬のニコチン中毒の予防

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犬を飼っている場合には、とにかく、これらタバコを犬の手の届かない所に置かない事が重要です。

犬が誤食する場合の殆どは、防ぐことのできる飼い主の不注意ですので、常に口にしてしまう可能性を十分に考え、絶対に犬が立ち入らない場所に設置します。
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