家族で都内〇〇島に、夏の旅行に出掛けた。
快晴の日でも、津浪注意報が出され、
島内遊泳禁止。
6~7mの大波が堤防と、岩場を打ち付けていた。
近くに40代の男性と、若い女性の旅行のカップルがおり、
大きな荷物を地面に置いて、二人でその前にしゃがみ込んでいた。
丁度・そのカップルを、後ろ背にして、
我々家族は、記念写真を撮っていた。
立入禁止の札と、鎖があるのを無視した弟が、
あまりにも優雅で美しく、
虹が出来るシャワーのような大波と景色に魅せられて、
堤防へと向かって行った。
私も弟も、冒険心とチャレンジ精神が、旺盛だったのだが、
なんだか、妙な予感があり・・
私は弟と一緒に、堤防には向かわなかった。
弟の後を追うように、
そのカップルが大波シャワーの中を、気持ち良さそうに歩き、
堤防の方へと坂を降りて行ったのでした。
すると、
地元の漁師達が、私の前に現れて、
「あそこは危険だ」と、訴えてきたので、
私も分からぬまま、漁師達と一緒になり、
大声を張り上げ、弟に戻れと指示をした。
何事もなく、弟は私の前に戻ってきた。
叱る漁師達に弟は
「あのカップル達には、戻るように言わないの」
と、岩場の陰の方を指差したのだった。
焦る漁師達がすぐに、
海岸レスキュー隊に応援を求めたが、
時は遅し!
30分くらいした後、
応援の沖網漁船が、カップルの遺体を引き上げた。
私たちは地元の警察へと行き、調書を取らされた。
都内から訪れた、会社役員のカップルであったと
その時、知らされた。
今でもそのカップルを、
私たちは心の中で祈る想いで、生活をしています。
その時の記念の、家族写真には、
確実に後ろに写りこんでいたはずの、カップルは写っておらず、
大きな荷物だけが、無造作に写っていました。