そうだ 京都、行こう。

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小説

※⑴ 過去に掲載したものを、改正して再投稿。【短編集より】

[本文]

去年こっちの学校から転校して以来
半年振りに帰ってきた

半年しか経っていないのに
すごく懐かしい

駅前を通りかかると
向こうから見覚えのある
女の子が歩いてきた

彼女とはクラスも違ったし
あまり話したこともなかったけど
どことなくエキゾチックな雰囲気で
ハーフのような顔立ちの可愛い子だった

ひさしぶり

と声をかけると
彼女も

本当、ひさしぶり

と言ってくれた


何してるの

別に・・・









何を思ったか僕は不意に




京都行こうか?

と言っていた




うん

何故だか彼女もそう言った

その駅から河原町までは
1時間弱で行けた

僕らは鴨川沿いを
何を話すでもなく
ゆっくりと歩き
下鴨神社から上賀茂神社まで行き
又、同じコースを帰ってきた
駅まで戻ってくると夕方だった

その時間の特急電車は空いていた







ボックス席の
彼女は窓側に坐り
僕は隣の通路側に並んで坐った





窓の外の夕焼けが綺麗だった
二人でずっと夕焼けを見ていた












もうすぐ着いちゃうな
って思っていると

彼女がこっちを振り向き
僕の目をじっと見る

















引き寄せられるように


そっとキスをした




電車が駅に着くまで

ずっと・・・









線路沿いに
セイタカアワダチソウの
黄色い花が揺れていた。


おしまい  
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