書評|『言葉ダイエット』橋口幸生(宣伝会議)

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コラム
電通のコピーライター・橋口幸生さんが伝授する文章術。
「企画書やメールを読みやすく書きたい」「人事の印象に残るエントリーシートを書きたい」
そんな悩みを抱えるビジネスパーソン、就活中の学生に向けて書かれている。
読みやすい文章を書くスキルは、すべてのビジネスで必要だ。
しかし人は、とくにビジネスにおいて、書きすぎてしまう。
この本を書こうと思ったのは、仕事で接する文章が長くて読みづらいと、ずーっと感じていたからです。

たとえば、仕事で受け取るオリエンシート。 
どんな広告が作りたいのかが記されているはず。
ところが、多くの場合は一読しただけでは何を書いてあるのか全然わからない。
100ページ以上あるのに結局何がしたいのか不明なんてことがザラにあ
――世の中は、グダグダの文章であふれているのだ。

[目次] 
第1章|なぜあなたのメールや企画書、エントリーシートは読みにくいのか?
第2章|言葉ダイエットで短く書こう
第3章|言葉ダイエットを、実際にやってみよう
第4章|読みたくなる文章の書き方
第5章|言葉ダイエット実例「読みやすいとは、こういうことだ」

第4章のあとには『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)の田中泰延さんとの特別対談が収録されている。

言葉ダイエットによって、読みにくい文章を読みやすくするテクニックが第3章まで。 
第4章からは「読みたくなる文章」の書き方を教えてくれる。

どんなに読みやすくても、内容がつまらなかったら意味がありません。

では、つまらなくない文章、つまり「おもしろい」文章とは何か? 
笑える、とか、オチャラけている、という意味ではない。
「おもしろい」と「かたくてマジメなこと」は両立可能。
「読みたい」と思ってもらえるビジネス文章を書くことはできるのだ。

「おもしろい」とは「発見」があることを指すのです。 

コピーライター流「発見」の探し方。 
「発見」のあるコピーが完成するまで。
紙上シミュレーションを通じて、ノウハウを伝授してくれる。
文章を短くすればいいってもんじゃない。

伝わりやすく、簡潔に。
興味を持ってもらえるように、おもしろく。
読んでいて、思い出した言葉がふたつ。

ひとつは「KISS」。
Keep It Simple Stupid.
(シンプルにしとけ、愚か者め)

そしてデイヴィッド・オグルヴィの『「売る」広告』(海と月社)を読んで、線を引き、教訓としているところ。
「人を退屈させておいて、モノを買わせることはできない。興味を持ってもらって初めて買ってもらうことができる」

言葉ダイエット。実践して仕上がるのは、痩せた文章ではなく、研ぎ澄まされた文章だ。 

ですから、ビジネスパーソンが企画を、就活中の学生が自分を、売り込みたいと考えた、そのときに役に立たないはずがないのです。
それゆえに、この本を読んでいただければ、そして、そこに書かれていることを試していただければ、きっと効果を実感していただけるのではないでしょうか。

慇懃無礼という言葉通り、あまりに丁寧過ぎると、かえって感じが悪くなります。

気をつけよう。読んでほしいなら。
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