【王者陥落】三菱商事の第1四半期決算

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こんにちはYasuです!
前回、総合商社5社の2020年度第1四半期決算発表について書かせていただきました。
ご参考までに記事のURLを貼っておきます。


今回は、少し突っ込んで三菱商事の決算発表にフォーカスしてお話していきたいと思います。

第1四半期決算にて、かつて不動の王者であった三菱商事は5商社中、純利益4位とかなり芳しくない結果でした。

年間純利益見通しでも2,000億と、伊藤忠商事の4,000億から大きく差をつけられている状況です。

しかし、正直なところ今回の発表を受けて
「2位すら怪しいのでは?」
と疑問に思ってしまいました。


三菱商事の第1四半期決算の概要

修正版見通し.png

こちらが5大商社の第1四半期決算と年間見通しを比べた表です。純利益で4位というのは、三菱商事にとってかなり屈辱的かもしれません。

しかし、決算発表ではいくつか気になる点があり、もしかすると1,800億円の見通しを発表している三井物産よりも厳しい結果に終わる可能性もあるのではないかと思っています。

今回は、三菱商事の「決算発表・見通し」における3つの疑問点について書いていきます。


疑問点①決算のタイミング

決算発表日.png

今回の決算発表のタイミングになります。
7月31日の三井物産の発表に続くように、丸紅、伊藤忠、住商が発表を行いました。

しかし、三菱商事はそこから遅れること1週間後の8月13日の発表でした。

なぜ他社と同じ時期に決算発表を実施しなかったのでしょうか。

◇あくまで推測ですが、競合他社が出す数字に合わせて減損額や見通し額をコントロールする必要があったようにも思えます。
→グループ会社の減損を出す時期は会社に任せられていますからね。

◇競合の三井物産より多い年間純利益の見通しを設定しようと、予め決めていた可能性もあるのではないでしょうか。

自然体での決算であれば、他商社と同じタイミングで発表したのではないかと思いました。


疑問点②配当性向が驚異の99%


みなさんは、「配当性向」という指標をご存知でしょうか。

”配当性向とは、その期の純利益(税引後利益)の中から、配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したものです。配当性向は投資を行う際に企業を評価する指標のひとつです。”(SMBC日興証券ホームページより抜粋)

純利益の何パーセントを配当金として支払っているかを表す指標で、
1株当たりの当期純利益/1株当たりの配当金額
で簡単に計算できます。

今回の決算では、三菱商事の配当性向がとんでもないことになっていました。
三菱商事 配当性向.png


134÷135.47=98.7%!!?

◇簡単に言うと三菱商事は利益の99%を株主の配当に充てているということです。

コロナ禍で厳しい状況の中、「株主を考える良い企業」とも捉えられますが、この数字は黄色信号と考えて良いと思います。
これだけ株主に還元していたら、新規事業への投資額も少なくなってしまいますよね。

更に、この数字から私が疑っていたのは、
「第1四半期の367億円の純利益は配当性向を意識して操作されたものなのではないか」
ということです。

仮に配当性向が100%を上回ってしまうと、
「配当金分も稼げていないのか」
というネガティブな印象を与えてしまうため、「99%」という極めてギリギリの数字にコントロールしたのではないでしょうか。

あくまでも予想ですが、
「本当はもっと減損を出したいのに、今は配当性向の数字的に無理だな」
と経営陣が考えていたのであれば、第2四半期決算以降もだらだらとした減損が続いてしまう可能性があります。

引き続き、配当性向は注意してチェックする必要がありますね。


疑問点③進捗率の低さ


◇最後に気になるのは、三菱商事の見通し対比進捗率の低さです。

一番上の表をみてもらえると分かると思いますが、各商社今後のコロナの影響を鑑みて、20年度の見通し額を慎重に設定しております。
その結果、伊藤忠商事、三井物産、丸紅の3社は第1四半期の純利益進捗率で25%を越す結果となりました。丸紅にいたっては、進捗率58%という保守的な数字です。

◇これに対し、三菱商事の進捗率は18%でした

グループ会社の三菱自動車が既に最終赤字3600億円を発表、天然資源の不調が懸念される中、この進捗率は少し不安です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61945140X20C20A7I00000/

年間を通じて見通し額まで、盛り返せるのか疑問に思っています。


まとめ


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三菱商事はこれまで資源・非資源でバランスの良いポートフォリオを築いてきましたが、昨年伊藤忠商事に純利益、株価、時価総額の3冠を許し、今年も年間見通しで大きな差がついてしまう見込みです。

2020年度第1四半期決算では、
◇他商社より遅い決算発表のタイミング
◇異常な配当性向の高さ
◇年間見通しに対する進捗率の低さ
が気になりました。

2020年度、三菱商事がどこまで挽回できるか期待がかかります。


◇筆者ってどんな人?◇

現在新卒2年目の会社員です。
就活期は総合商社や外資コンサル・金融、大手広告代理店を中心に6社から内定をもらうことが出来ました。
この経験を活かし、ココナラで新卒向け就職活動のアドバイザーをやっております。
ESの添削や面接対策など、ご協力できることがありましたら、是非ご連絡ください。
宜しくお願いします!









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