それぞれ異なるシナリオにおいて利点を持ちます。
処理速度、記述の簡潔さ、メモリ使用量の観点から見たとき、両者の間には顕著な違いがあります。
特に動作速度が違います。以下に同じ動作するプログラムで動作時間を計測しました。
Rangeオブジェクトの操作:0.390625 秒
配列変数の操作: 0.01953125 秒(約20倍速い)
’------------------Rangeオブジェクトの操作-------------
Sub range_test()
Dim T As Double
T = Timer '0時からの時間を取得
Dim a As Range
For Each a In ActiveSheet.Range("A1:A10000")
a.Offset(0, 2).Value = a.Offset(0, 0).Value + a.Offset(0, 1).Value
Next
Debug.Print Timer - T & " 秒" '計測した時間を表示
End Sub
’------------------ 配列変数の操作 -------------
Sub hairetu_test()
Dim T As Double
T = Timer '0時からの時間を取得
Dim a() As Variant
Dim c(1 To 10000, 1 To 1) As Variant
Dim i As Long
a = ActiveSheet.Range("A1:B10000").Value
For i = 1 To 10000
c(i, 1) = a(i, 1) + a(i, 2)
Next
ActiveSheet.Range("C1:C10000").Value = c
Debug.Print Timer - T & " 秒" '計測した時間を表示
End Sub
Rangeオブジェクトの操作
定義: RangeオブジェクトはExcelシート上の一つ以上のセルを表します。
このオブジェクトを操作することで、セルやセル範囲に対して直接的な
読み書き、書式設定、数式の設定などが可能です。
利点:
直感的: Excelシート上で見える範囲を直接指定して操作できるため、
理解しやすい。
柔軟性: セルの範囲を動的に指定することができ、
範囲に対する複雑な操作が可能。
欠点:
速度: 大量のデータに対して個別のセル操作を行う場合、
特に処理速度が遅くなりがちです。
リソース消費: Excelオブジェクトモデルを頻繁に呼び出すことで、
システムリソースを大量に消費する可能性があります。
配列変数の操作
定義: 配列変数は、同一データ型の値をメモリ上に連続して格納するため
の変数です。Excel VBAでは、セル範囲から配列への
一括読み込みや、配列からセル範囲への一括書き込みが可能です。
利点:
速度: 配列を介してデータを操作することで、Excelシートとの間での
データのやり取りを最小限に抑え、大幅な処理速度の向上が
期待できます。
効率的なメモリ使用: 大量のデータ操作において、メモリ使用量を
効率的に管理できます。
欠点:
柔軟性の欠如: 配列では、レンジオブジェクトのようにセルの書式設定
などを直接操作することはできません。
複雑さ: 特に多次元配列を扱う場合、コードの理解とデバッグが
より複雑になる可能性があります。
比較
処理速度: 大量のデータを扱う場合、配列を使用した方が
Rangeオブジェクトを直接操作するよりも速く処理できます。
操作の柔軟性: Rangeオブジェクトは、セルの書式や数式の設定など、
より複雑な操作が可能ですが、配列は純粋にデータを
効率的に扱うためのものです。
コードの複雑さ: 小規模なデータや単純な操作にはRangeが適している
場合が多いですが、大規模なデータや高速処理が必要な
場合は、配列の使用が推奨されますが、コードが複雑に
なる傾向があります。
適切なアプローチは、扱うデータの量、必要な処理速度、
そして開発の複雑さに応じて選択することが重要です。