自動車産業の未来を占いました

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ビジネス・マーケティング
2021年11月14日(日)のNHKスペシャルは
『EVシフトの衝撃~岐路に立つ自動車大国・日本~』
でした。
視聴したうえでの一考察であって、根拠に基づいた予測などではございませんので予めご了承いただけますと幸いです^^

EVシフトを推し進めるEUの思惑

前半はEUにおける官民一体となったガソリン車の新車販売規制とEVへの転換の現状についてフランス・ルノーへの取材を中心に紹介されていました。
その後、台頭著しい中国にモーターの供給シェアトップを勝ち取った日本電産の話題とドイツのメーカーのEVシフトによるエンジンメーカーの工場閉鎖と従業員解雇が紹介されました。

日本メーカーの戦略

早くからはハイブリッド技術に注力していた日本のメーカーについては、トヨタとホンダの戦略の違いを対比させていました。
日本勢は全社出遅れたなか、栃木にある工場を閉鎖してバッテリーの自社開発を進めるなど、EVへ集中して巻き返しを狙うホンダと、EV・FCV(燃料電池車)はヨーロッパ市場、北米・東南アジアはハイブリッド、新たな選択肢としての水素エンジンの開発と、まだ正解を見いだせないトヨタが紹介されていました。

EVへのシフト=産業構造のシフト

ホンダにエンジン部品を製造している若き社長率いる100人規模の会社は、新規事業を模索し、カップ焼きそばの生産ラインの製造に乗り出し、世界のメーカーから高評価を得ていたエンジン製造装置メーカーは廃業を選択したということです。
EVの開発の指揮にあたる本多技術研究所の大津啓司社長は、「内燃機関開発に携わった者として個人的には内燃機関に残ってほしいが、経営者としては、それは全く考えていない、社会が変わった、技術も変わらなければならない」と話す一方、トヨタについては、豊田章夫社長自ら水素エンジン車のハンドルを握り耐久レースに参戦するCMでおなじみの映像にかぶさるナレーションでは水素エンジンについて「『ほぼ』二酸化炭素を排出しない」と気になる表現があるなど、何か意図を感じる構成でした。

EVシフトは脱炭素とともに雇用の減少をもたらす

豊田社長は「EVは産業構造の変化をもたらす難しい問題」と社員の前で説明していました。
トヨタが世界の潮流に逆らってまで警鐘を鳴らすのは、雇用とエネルギー政策です。
ドイツでもホンダのサプライチェーンでも協力会社の仕事は減っています。試算ではガソリン車に比べて部品数が圧倒的に少ないEVの生産では、数百万人の雇用が失われる試算もあるとのこと。オーナー社長では断行が難しいのかもしれないと感じました。
また、脱炭素を進めるためのEVに供給する電力を作り出すときに発生する二酸化炭素は、現在の火力発電ではEVが増えれば当然増えます。
「自動車メーカー1社がEVをつくってもしょうがない」という豊田社長の本音ととれる発言で諦めるのではなく、官民一体となって進める必要を感じました。

2025年が分かれ目

EUが打ち出しているガソリン車の新車販売規制の開始は2025年です。あと3年しかありません。規制が本当に実行されるのか、だれがゲームチェンジャーになるのか全く見えない混沌とした状況ですが、放送を見ていて鍵と感じたのは、「風」です。
ホンダは同社初の量産EVの航続距離が他社に比べて著しく低く販売不振であることから、大容量電池とともにF1で培った「空力」による航続距離向上を目指していました。本田技研・大津社長の言う「社会が変わった」というのは土の時代から風の時代に変わり、技術を積み重ねるプロダクトアウトではなくマーケットインに合わせて新技術を開発するモノづくりへの移行が本格的になったことを示唆していると感じた次第です。
では、21世紀に入り、あらゆるサイクルが早くなる中で「風」を読めばよいのか。ということですが、私は、「風」を「生み出す」ことが重要と感じています。
現状では、やはりフランスを中心としたEUが風を作っていますが、日本人は幾度となく「神風」に助けられてきました。

風が生みだされる場所

風は陸続きの場所より、陸と海の境界で生み出されやすいのではないでしょうか。島国日本は絶えず風が吹いています。たまに、べた凪ということもありますが。
ガラパゴスと揶揄されることもある日本の「家屋は土と紙で作られている」などと驚愕を以て欧米に紹介された独特の文化は、より一層独自の変化を遂げ近年「クールジャパン」ともてはやされ、近隣諸国の技術を吸収してより良いものを作り出して世界市場を席捲したメイドインジャパンは風となってジャパンアズナンバーワンとなりました。
二酸化炭素を排出する石油を使わなくなる代わりにレアアースの消費は増えます。有限な資源に変わりはありません。やがて世界で争奪戦となるでしょう。
全ての課題の解決策を見出して地球と人に優しい風を生み出す場所が日本であったら、うれしいな。と感じた次第です。

最後に

日夜しのぎを削っている自動車メーカー、変化への対応を余儀なくされているサプライチェーン、関わるみなささまへの畏敬の念を抱かずにはいられません。
最後までお読みいただき恐縮ですが、タイトルに反して何も占っておりません。期待されていた方がいらっしゃいましたらお詫び申し上げます。


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