人間の傾向に基づいて2000万個も商品を売ったレター

記事
ビジネス・マーケティング
コピーライティングでは次のように教えられます:

「ベネフィットを売れ」と。

ですが、これは「正しい」のでしょうか?

言い換えると、ベネフィットを打ち出すことで本当に売れるのでしょうか?

確かに、商品・サービスの特徴を並べるよりはまだマシです。

実際、上の教えは省略部分まで書くと、「特徴ではなくベネフィットを売れ」と言われています。

ですが、ベネフィットを売っているにも関わらず、売れない場合が少なくありません。

(このレポートを読んでいるということは、もしかしたら

・既に何冊かコピーライティングやマーケティングの本を読んだ
・実践もしてみた
・だが思ったほど売れなかった

という経験をお持ちかもしれません。)

では、なぜベネフィットを売っても売れないのでしょうか?

理由は何通りもの説明の仕方がありますが、恐らく最も大きな理由はこれです:

人間は快楽を求めるのではなく、痛みを避けようとするから。

この傾向はプロスペクト理論という名で知られており、ノーベル経済学賞も与えられています。

つまり、快楽よりも痛みを2倍ほど強く感じるのです。

なぜか?

その理由は生物の進化の過程を思い出せば納得できるでしょう。

全ての生き物は、生き残る為に進化してきました。

したがって、目の前に美味しい食料と捕食者がいたら、前者から得られる快楽はそっちのけで逃げ、死という痛みを避けたのです。

幸いなことに、今となっては人間は捕食者から逃げる必要はありません。

ですが、我々の脳や身体はほとんど当時のままなので、快楽より痛みに強く反応するようになっています。

では、そんな人間に対して快楽を見せたらどうなるでしょうか?

上の原理から、快楽はあまり刺さりません。

痛みと比較されると無視されるほどです。

というのも、そこまで緊急ではないから。

例えば、ダイエット商品を売っていたとしましょう。

「痩せたらモテる」と快楽を見せたところで、生存には直結しない為、今すぐの行動にはどうしても繋がりにくくなります。

一方で、痛みに関連付けたらどうでしょうか?

「痩せないと糖尿病に罹る確率がX%上がり、寿命がX年縮みます」と痛みを見せたら、生存に直結する事態となります。

その結果、「今すぐにどうにかしないと」と感じて、行動してくれやすくなります。

これは単なる机上の空論ではありません。

実際に痛みに訴えることで、2000万個もの商品を売ったセールスレターがあります。

しかも、数100円で買うこともできる商品を、(2020年の平均為替レート1米ドル107.82円で計算して)1万7419円もの「高額」で売ったレターです。

この記事では、そんな人間の性質に基づいて書かれたセールスレターの邦訳と、その私なりの分析を載せています。

分析では、一文一文、レターを書いたコピーライター(このレターだとJS)が

・なぜその文を書いたのか?
・なぜその単語を使ったのか?
・なぜその順番で語ったのか?
・他にも語り得ることは色々考えられるが、なぜそれらは書かなかったのか?

などを考えています。

したがって、この分析に書かれている考え方を応用すると、売れるレターを書くコツが掴めるでしょう。

コピーライティングの書籍を何冊も読んでみたけど、まだイマイチ売れるレターが書けないという方は、書籍で学んだ「原理」が実際に使用されている利用例を見ることになります。

その為、使い方の感覚が掴め、自力で売れるレターを書けるようになるかもしれません。

あるいは、「コピーライティングは配慮からできている」という私の持論を採用するならば、ビジネスに限らず、普段のコミュニケーションにも応用できることになります。

(実際、個人的な話ですが、私は売れたレターの分析から得た配慮の仕方を異性とのやりとりに応用し、結果も出しました。)

なお、これらの分析は、ロバート・コリアーが彼の本の中で提唱している6フレームを私なりに解釈した枠組みに基づいて行っています。

その過程では、世界的コピーライター達が書いたコピーライティングの本にも書かれていないような「原理」も発見しています。

(私流の6フレームにはこれらの「原理」も反映されており、私のコピーライティング理論が深まるにしたがって修正を加えています。

そしてもちろん、このフレームワークを、私はレターの執筆の際にも利用しています。)

私がこのような「原理」の発見ができるのは、本業では理論物理学者をしており、分析的に観察する訓練を積んでいるからです。

また、そうして培った研究方法を応用して、私は独自に言葉の研究を行なっており、普段から1つ1つの言葉が相手に与える影響を観察・研究しているからです。

なお、私は普段は元の英語のレターを分析していますので、ここに書いた分析も英語のレターの分析です。

したがって、英語が得意でしたら、元の英語のレターと見比べながらこの記事を読むことを強くお勧めします。

英語が得意でなくとも、この記事を読めば、コピーライターが配慮していたこと(の中で私がこのレターを分析した際に読み取れたもの)は理解できるようになっているはずです。

では、JSが、一語一語に何重もの意図を込めた、芸術的レターをお楽しみください。
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