おはようございます。こんにちは。こんばんは。ブログを閲覧いただきありがとうございます。
youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。
自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。
今回ご紹介の朗読動画は、「助け相手はご令嬢ep1」2018年エブリスタ大賞優秀賞受賞作品のエピソード6、店の準備に早出勤した恭吾の元へ来たのは?のお話です。
良かったら聴いていただけると嬉しいです。
・朗読動画もご用意しております。
・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。
◉連続小説ドラマ
助けた相手は御令嬢
作者 北条むつき
朗読 悠奈ゆかり
第6話 準備と挨拶
ご令嬢、三隅百合が現れなくなって一週間が経った。月も変わり、7月だと言うのに、まだ雨は続きジメジメとした暑さ。
夏がもうすぐそこなのに梅雨明けもまだ先だ。今日も朝から小雨が降り、電車を降りると傘の花が開く。
今日は朝早くに起きてしまい、時間が余ったので店近くの早く開く喫茶店で軽く朝食を採ろうと傘を折りたたみ、店内に入る。
すると少し大きめのテレビからニュースが流れていた。昨日の株価とあるニュースに目が止まった。
アナウンサー曰く、全国展開しているチェーン店が閉店に追い込まれていると言うニュースだった。それを見て少し驚いた。
聞き覚えのある名前の会社だったからだ。アナウンサーが言うには、モントロンダの取締役が代わり、あるカフェチェーングループに合併されると言うニュースだった。
モントロンダとはあの先日まで店に来ていたご令嬢、三隅百合の会社のはず。その会社が今、窮地に起たされていると報道されていた。何食わぬ表情でテレビを見ていたが、それには食べていたサンドウィッチのトマトを落とすほどの衝動があった。
「大変なんだなぁ」
一人、平然と呟く俺だったが内心は少しドギマギしていた。
そんな朝食を済ませ、いつもより早い時間帯に店に顔を出すと、アルバイトの菊池さんが早々に着替えを終えて店内の清掃を行っていた。
店は8時開店。今の時間はいつもなら森さんが準備をしているはずだが、本日は代休をとっていたため菊池さんが一人がんばっていた。
「おはようございます」
「あれ? 河野くんは?」
「いえ、まだですけど、あと10分ぐらいで来ますよ。それより今日はかなり早いですよね?」
「あぁ、うん。ちょっと寝付けなくてね」
「へぇ、副店長もそんなことあるんだ」
「何それ? バカにしてるん?」
「いえいえ……さぁ? 副店長も準備」
そう促されてドリンカーの清掃とキッチン周りの準備に取り掛かっていた。するとこの朝早くから来たことがない勝田店長が元気よく店に入ってきた。
「あれ? 店長珍しいですね?」
「おいおいそれは無いだろう。今日は初出勤の子を迎えにちょっとね」
「初出勤? またアルバイトの子を取ったんですか?」
「おいおい……シフト表ちゃんと見てるか?」
いつもならそんなの見なくても朝入るメンバー一緒だからと言う勝田店長が今日に限って少し機嫌斜めだ。
ご機嫌が麗《うるわ》しく無いと言うよりも少し緊張されているのかとも思えた。
「新しい子のユニフォームSだから取って来てよ?」
店長室に呼ばれて、慌てて準備も中途半端に物置へと入り、ユニフォームを取り店長室へ入る。
「遅い。何をしとるんだ」
勝田店長のお叱りの言葉を受けた。
が……。そんなことはどうでも良かった。
「おはようございます。今日からお世話になります三隅百合と申します!」
そうだ。このロングヘアーのちょっといい香りが漂う女性。そこには6月23日に神戸で出会い、助けたその女性、三隅百合がいたからだ。
さも俺の事は、初めて会う人の様な口ぶりで、三隅百合は俺に挨拶をした。
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