夜に彼からのLINEの後届いた贈り物に感激する誕生日を迎えた女性の小説:バースデイLINEが届く時+【朗読動画】

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 youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。
 自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。
 たまに作者自身の北条むつき朗読もございます。

 今回ご紹介の朗読動画は、夜に彼からのLINEの後届いた贈り物に感激する誕生日を迎えた女性のお話です。
 良かったら聴いていただけると嬉しいです。

・朗読動画もご用意しております。
・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。
◉バースデイLINEが届く時
作者:北条むつき
朗読:徳留璃沙

 11月18日。帰宅中に付き合っている彼、秋介《しゅうすけ》からLINEが入った。

『百合愛《ゆりあ》、お誕生日おめでとう。今日はごめんな。折角の誕生日なのに、俺が出張で。今度、御馳走するから、とりあえず、おめでとうだけ言わせてくれ』

 ありがとう秋介。その気持ちだけで十分。
 自宅のアパートに着く。郵便受けに、何やらチラシ広告と請求書の封筒が入っていた。まあ、誕生日と言っても、友達が多いわけではない私は、こんなものかと、意気消沈しながらも部屋に入る。

 上着をハンガーに掛け、化粧も落とさず、電気をつけずに、1人のバースデイ感覚を味わおうと、帰り際にハンズに寄って買ってきたキャンドルに火を灯した。
 ひとり寂しく、今日は夕食は外食で済ませ、ケーキだけ買って、キャンドルライトの中、一人寂しく23歳のバースデイを祝おうと思い、テーブルに置いたショートケーキの箱を開けようと思った時だった。

 インターホンのチャイムが部屋に響いた。

 誰だろう……。
 今日、誰かと待ち合わせなどないはず。宅配かと思い、インターホンの画面越しに返事をする。

「ゼフィランサス生花です。お届け物です」

 この夜の時間に花屋が来るのかと思ったが、帽子を被った男の頭が揺れ、玄関前に立っている。顔ははっきりとしなかった。

 少々、怖かったが、鍵を開け、ドアを開けた。

「はい、荷物ですか?」
「お届け物です。白咲百合愛《しらさきゆりあ》様ですね?」

 そこには、大学生だろうか、好青年っぽい男性が笑顔で立っていた。

「午後九時に、大貫秋介《おおぬきしゅうすけ》様より、誕生花のお届けです。お代はいただいておいりますので、この鉢のまま、お飾りください。では。ありがとうございました」
「うわあ、すごい!」
「そうそう、言い忘れるところでした。大貫様よりメッセージです」
「えっ!?」

 少し驚いたが、男性がメッセージと言い、11月18日、誕生花。ユリの花言葉を話し出した。

「純潔、純愛、飾らぬ美。いつまでもお美しくいてください。と大貫様からの言葉です」

 大学生っぽい男性は、少し顔を赤らめながら、私に真顔で言った。

「あっ、ありがとうございます」私も少し照れ隠しで俯く。

 男性は、そのままの勢いで、言葉を諭すようにゆっくりと言う。

「カードを一緒に入れております。代わりにですが、大貫様よりハッピーバースデイとお伝えくださいと言われておりましたので、お誕生日おめでとうございます」

 男性は、深々と頭を下げた。

「あっ、あっ、ありがとうございます」
「では、ゼフィランサス生花でした。ありがとうございました」

 花屋の男性は、メッセージを言うとすぐさま笑顔で引き上げていった。
 それにしても、先ほどの大学生なのかは、わからないが、好青年ぽくハキハキとした男性だったなと思った。
 付き合って初の誕生日。詫びかもしれないが、少しの演出と送られたユリに感慨しながら、私は部屋に入り、メッセージカードを開けた。

 鉢をテーブル脇に置き、どれどれ、どんな内容か、送ってくれたメッセージカードに目を通す。

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 百合愛《ゆりあ》へ。

 誕生日おめでとう。
 出張が決まったのが、11月17日だから、今日18日に、君の誕生日を一緒に祝うことが出来ずにすまん。
 代わりに、この花と花言葉を送ります。

 純潔・純愛・飾らぬ美で、いつまでも美しくいてくれ。僕の愛する百合愛。
 一緒に先日、デートで欲しがっていた物を入れておく。僕自身の手でつけてあげたかったけど、今度のデートはお粧し、してきてくれ。

                         秋介より
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 ほぼ1ヶ月前、デート時に立ち寄ったジュエリーショップのネックレスが同封されていた。

 メッセージを読むと、本当は手渡しをして、自分の手で私の首にかけてあげたかったと、書いてある。
 ありがとうと言葉を口に出しながら、ネックレスを鏡越しに、自分で首にかけた。
 結構な金額なのに、まだ大学を卒業して数ヶ月の彼の懐事情もあるだろうに。でも、無理をしたんじゃないかと、思いながらも目を瞑り、秋介に頭を下げるようにネックレスを首にかけた。

 綺麗!

 思わず、口にした。キラキラと輝くダイヤが散りばめられたネックレス。あまり化粧映えしない私の顔もこれをつければ、映えるかもと思い、普段あまり化粧気のない私だったが、今度彼とのデート時には、しっかりとこのネックレスが映えるように、顔を作ろうと決めた。

 そして、ありがとう秋介と、誕生ケーキを一口フォークで切れ目を入れて、口に運んだ。
 その時、ちょうどスマホにLINEのメッセージ音が部屋に鳴り響いた。秋介からだった。

『ハッピーバースデイ! 贈り物は届いたかな? 僕のお姫様』


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