ちょっとマニアックな警察コメディ小説:SとM刑事(デカ)後編ep2+【朗読動画】

コンテンツ
写真・動画
 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ブログを閲覧いただきありがとうございます。

 youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。
 自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。
 たまに作者自身の北条むつき朗読もございます。
 今回ご紹介の朗読動画は、ちょっとマニアックな路線のSっ毛上司とMっ毛部下が繰り広げる警察コメディのお話の後編です。
 良かったら聴いていただけると嬉しいです。

・朗読動画もご用意しております。
・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。
◉SとM Servant & Me刑事(デカ)後編
 この変態ドM野郎! 全てはあなたの為
作 者:北条むつき
語り手:ムラサキリンコ

◉第4話これがある種

 目隠しをされたまま、後手に縛られて正座をさせられている。その腿の上には重りが乗せれている。ズシリとした重たさに声を挙げたいが、猿轡で呻くことしかできない。

 ましてや、目隠しをされたままの状態では、ここがどこかさえわからない。だが、先程入り口の鉄パイプが惹かれる様な古びた音で、ここが多分、牢屋かぐらいの検討はついた。

 服の上から亀甲縛りで、全身を縛られている状態では、動けば縄が身体に食い込んでいく。それが心地よいのだが、堪らない……。

「うぅ……」

 このままもっと酷い事が待ち受けていると思うと、鼓動が高鳴る。潮風に吹かれていたボート上のあの鞭女が、僕を待ち受けているのかと思えたが、ボートから降ろされて、無言で連れて来られたのは、牢屋みたいな空間。

 ここで、約小一時間、縄に縛られて悶える。

 否、放置。

 ん?

「うぅぅぅぅぅぅぅうう!」

 そう……。放置プレイなのだ。ある種これが……か・い・か・ん。
 僕はやはり、ドMだ。

◉第5話愛の鞭

「ううううううぅ」

 そう快感の坩堝にいると縄が食い込む。そんな声を鳴らしていると、鉄パイプが軋む音がする。それと同時にヒールと靴の音がする。合計四名で僕を甚振りにきたのかと思うと、身震いがした。

「どうだい? 気持ちが高ぶった声を挙げているじゃないか。Mにとって放置プレイは快感の極みだろう。フフフフフッ、どおれ、今度は直接お前をいたぶってやろう」

 パシーンと鞭を鳴らし、恐怖感を与えるかの音がする。否、僕にはそれは快感の音だった。

「くううううううん!」
「犬の様に吠えやがって。お前はどこまでもMなんだな? 馬鹿馬鹿しい。おい、お前たち、こいつに恐怖を与えてやれ! 快感とは程遠い奴をだ。お前たち二人が何を追っていたか吐くまで続けられるぞ。ちゃんと言わないと死んでも知らないからな!?」

「ハッ!」
 命令に忠実な、男二人の声がした。

 男たちは、僕の足に錘《おもり》を更に乗せたのか、太ももが重たくなった。
 一人の男が冷たい石の錘の上に手を当て、叩いている音が目の前で聞こえる。

 ググッと体重がかかる腿に、僕は悲鳴を挙げた。でも、それも全て快感の悲鳴……。

「まぁどこまで耐えられるか楽しみだな。嫌なら首を縦に振れ。それがお前の助かる道だ」

 そう促されたが、僕は首を横に降りまくった。重たさの快感が押し寄せての涙を流しながら……。

そんな僕を観ながら、鞭女は続けた。

「さぁ、吐け! お前たちはあの繁華街から港まで何を追っていた!?」

◉第6話快感へと

「ほぉーれ、ほれ! 早く答えないと足が使えなくなるぞ!? どうする?」

 そう言われても、僕にはこれが気持ちいいとしか思えない。笑みをこぼしていると、鞭女の舌打ちと声がする。

「チッ、特別に味わいな!」

 ヒュルッと鳴った鞭は、一瞬のうちに僕の肩から背中へと痛みが走る。

「どうだい? これも快感かぁ? ……やっぱりそうか。お前はどうしようもないM男だよお!」
「あああああ!」

 牢屋に快感の声をこだまさせた。

「くそっ。こんなM男より、あいつの方が効果的だ! あの女を連れてこい!」
「ハッ!」
 あの女? 楓先輩のことか?

「楽しみにしておけ! あの女は、お前以上に今、快感を味わっているぞよ!」
 快感? どういうことだ? 楓先輩は、Sっ気たっぷりな女性だ。それが快感ってどういう意味だ?

「ひゃーーーーーーひゃひゃひゃ!」

 遠くから楓先輩の様な唸り声が聞こえてきた。そしてそれともう一つ。男と女の悲鳴。鞭女が僕の目隠しを取ると、目の前にはボンテージ姿の煌々と異様な目つきの楓先輩が、僕たちが追っていた、男を鞭で痛めつけている。

 その横には男の連れである女が「止めてあげて!」と悲鳴を挙げている。

「止めるものか。お前たちのせいで私は今こうなっている。お前たちの売りさばいた薬がどういうものなのか身をもって体験してる!」

 そう唸りながら男を痛めつけている楓先輩。すると鞭女が、楓先輩に声をあげる。

「楓、お前の部下である此奴《こやつ》にもわからせてやれ」
「楓せんぱーい! 楓先輩に何をした。何をしたんだ。お前たち!」

 僕は叫んだ。鞭女に叫びまくった。すると鞭女は丁寧に僕に教えた。

「楓は、お前たちが捕まえた男に仕返しをしている。だが、楓も刑事だ。男が捕まった時に、逃げた情報屋の話はひた隠しにしている。そいつのことが分かれば我々は、この島を牛耳れるというのに……」
「止めろ。楓先輩は何もしていない。知らない」
「じゃあお前が話せ。あの街で何を探していた。ドラッグの情報屋の痕跡じゃないのか!? 答えろ!」
「……」僕は黙ってしまった。
「図星か!? じゃあ情報屋はどこへ消えた? 答えなければ、楓は男を痛め続けるだけだ。そのうちその男も痛みで死ぬだろうよ? 刑事が殺人を犯せばわかるよなぁ? 多田野よ」
「クッ……くそっ!」

「ひゃーーーーひゃひゃひゃひゃ。お前ら、ゆるさんぞぉ!」

 叫ぶ楓先輩の姿に僕は我を失った。沸々と湧き上がるドMの魂しい。それが僕の怒りに火を付けた。身体中から縛られている縄の間から煙の様な蒸気が沸き立ち、そして神々しく輝いたかに思えた。

「フォオオオオオオ!」

 動けない体が動いて、ボンテージ姿の楓先輩の前にひざまづいた。そして……。
「我にその鞭をください!」と楓先輩に叫んだ。

「馬鹿か? 此奴は……。ドラッグを使っているその楓に、そんなことを言ってみろ。只じゃすまんぞ?」

 鞭女が言ったが、僕はそれでも目の前に立ちはだかった。
 そして楓先輩の厳しい鞭を何度も何度もドラッグが切れるまで打ち続けられた。時間としては二時間以上か。
 痛みは快感の絶頂を味わいっていた。動けない状態で大好きな楓先輩の鞭は僕の心を解き放った。

 し……あ……わ……せ。

 ドラックが切れる二時間後、楓先輩は我に帰り、Sっ気たっぷりに言う。

「多田野! よく耐えた! 感動した!」

 楓先輩は、持っている鞭を鞭女と部下の男たちに向けて降り出していた。僕も戦いへと興じる。

 痛みを快感へと変える様に、部下たちのパンチキックをまともに受けるという、受け流し攻撃で、男たちの体力を奪っていった。

 腰に下げていた楓先輩が、インカムで本部に応援を呼ぶ。鞭女たちは、Sっ気たっぷりの楓先輩の無鉄砲な攻撃と、僕の自滅的な受け流し攻撃に体力を使い果たし、その場に崩れ落ちた。

 パトカーのサイレンが聞こえた時には、僕の意識は遠くなっていた。楓先輩の胸に抱かれながら……。

 気づけば警察病院のベッドの上だった。事件は解決し、楓先輩の言葉が嬉しい。

「お前がいなければ、事件は解決していなかった。今までいろんな奴と組んだが、お前は一番のバディだよ」

 僕は全治一ヶ月の重症だったが、僕にはそれが心地良かった。だって、大好きな楓先輩と元の生活に戻ることができるのだから。

「ところで、鞭女たちはどうなったのですか?」と僕は楓先輩に聞いた。
 ニコリと笑うと楓先輩は、ベッドで寝ている僕の包帯で巻かれている手をグッと握った。
「野暮なこと聞くな。好きなのは鞭女か?」
「い……痛いっす……」
「でもそれが快感なんだろ?」
「はっはい……」
「多田野……好きだよ」

 楓先輩のその言葉が、快感に変わった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 ここまで本文を読んでいただき、ありがとうございます。いかがでしたか?
 動画内容もしくは、小説がよければ、いいねを押してください。励みになり大変喜びます。
◉youtubeを運営しております。
その他動画も多数ご用意しております。
チャンネル登録お願いいたします。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す