【よくあるご質問】動画用イラスト(一枚絵・立ち絵など)の描き方につきまして

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デザイン・イラスト
ココナラで動画制作の出品をさせていただいております、イマッチと申します。
2Dアニメーション系の動画(MV、PVなど)を制作するためのイラストの描き方につきまして、よくあるご質問と回答をまとめました。
主に「絵師様に動画用イラストを依頼する発注者様」や「動画用イラストを制作する絵師様」にご参考にしていただきたい内容となっておりますので、是非ご一読いただければ幸いです。

*極端にお答えしますと、どのような形式のイラストからでも動画制作は可能でございます。
しかしながら、「このような描き方をしていただけると、より完成度の高い動画が出来上がりやすくなる」という基準がございますので、イラスト制作にあたってのご参考になればと思い、記事を書かせていただきました。

【Q1】イラストを入稿する際のファイル形式は何が良いですか?

A:動画用イラストのファイル形式(拡張子)は、透過PNG(.png)またはレイヤー情報入りの(全てのレイヤーを結合していない)PSD(.psd)でご入稿いただくのが理想的です。

JPG(.jpg)のイラストも対応可能ではございますが、透過情報やレイヤー構造を保存できないファイル形式ですので、映像での演出に制約が生じたり、追加でイラストの切り抜き作業が必要となる場合もございます。
また、JPG(.jpg)でイラストを保存すると画質が劣化してしまうこともあり、動画の素材用としては不向きなファイル形式です。できるだけ透過PNG(.png)かPSD(.psd)でご入稿いただきますようお願いいたします。

●映像制作ソフト「After Effects」の作業画面です。各レイヤーごとに分けて書き出した透過PNGはもちろん、PSDファイルのレイヤー構造をそのまま読み込んで編集することも可能です。
編集画面(AE).png

●映像制作ソフト「AviUtl」の作業画面です。「After Effects」とは異なり、特殊なプラグインを使用しないとPSDファイルを読み込むことができないので、「AviUtl」ではPNGで作業することが多いです。
編集画面(AviUtl).png


【Q2】一枚絵のレイヤー分けはどのようにすれば良いですか?

A:動画用の一枚絵を作成される場合は、背景・小物・人物(キャラクター)のレイヤーを分けて描いていただくのがおすすめです。

<完成イラスト>
動画イラスト(1).png
絵:よもひろ様
<レイヤー1>背景
動画イラスト(4).png
<レイヤー2>月
動画イラスト(3).png
<レイヤー3>オーロラ
動画イラスト(2).png
<レイヤー4>人物(キャラクター)
動画イラスト(5).png
<レイヤー5>人物(キャラクター)表情差分
動画イラスト(6).png
<完成動画>
こちらの動画では、上記のように一枚絵のレイヤーを分けて描いていただいたことで、
・キャラクターなし(夜空のみ)のカットを挿入する(00:00 - 00:25)
・陰のエフェクトを加えて、キャラクターをぼんやりと登場させる(00:25 - 00:50)
・遠近感(奥行き)のあるカメラワークを用いる
・キャラクターやオーロラをゆっくりと動かす
・歌詞に合わせてキャラクターの表情を変える(01:18 - 01:28)
・背景に流れ星を追加する(01:40 - 01:55)
などの編集ができるようになりました。

背景は「小物や人物で隠れている部分」まで描いていただくことで、このように表現のバリエーションを増やすことができます。

【Q3】一枚絵のキャンバスサイズはどのくらいで描いたら良いですか?

A:一枚絵のキャンバスサイズは、基本的に動画のサイズ(幅1920px、高さ1080px)の1.5倍~2倍程度を目安に、なるべく大きいサイズで描いていただくのが理想的です。
大体の目安としまして、「幅3840px、高さ2160px」くらいのサイズで作成していただけますと、高画質な動画に仕上げることができます。

解像度(dpi)は動画の画質に影響しませんので、任意の数値に設定してください。(72dpiでも、144dpiでも、300dpiでも動画の画質は変化しません。)デジタル画像サイズ(px=ピクセル)が大きいほど、高画質な動画に仕上げることができます。

●「カメラワークがない」動画の場合
以下に引用させていただく2本の作品ような、「カメラを動かさない」(画面を上下左右に動かしたり、絵をアップで映したりしない)動画の制作を予定している場合は、一枚絵は動画の画面比率と同じ縦横比「横16:縦9」のキャンバスサイズ(例:1920×1080px、2560×1440px、3840×2160px)で作成してください。
*一枚絵が1920×1080pxを超えるサイズの場合は、1920×1080pxに縮小(リサイズ)されます。
*一枚絵の縦横比が「横16:縦9」以外の場合は、絵の上下や左右がトリミングされます。
●「カメラワークがある」動画の場合
以下に掲載させていただく2本のような「カメラを動かす」動画の場合は、一枚のイラストを上下左右に動かしたり、アップで映したりすることが多くあります。
​その際、サイズの小さいイラストでは思うように動きを付けられなかったり、拡大時にモザイクがかかったように画質が悪くなってしまいます。
そのため、「カメラを動かす」動画用の一枚絵はとりわけ、幅と高さに余裕のある大きいサイズ(幅1920px、高さ1080pxの1.5倍~2倍程度で描いていただけると大変助かります。
また、動画の画面比率は原則「横16:縦9」になりますが、一枚絵自体の縦横比は必ずしも「横16:縦9」でなくても大丈夫です。正方形(例:3000×3000px)や縦長(例:2500×3500px)のイラストでも問題ございません。

カメラワークのある動画を制作する場合は、一枚絵の「縦横比」よりも「サイズ」と「描画範囲」が大切になります。大きいキャンバスサイズかつ、キャラクターや背景の描画範囲が広い(引きの構図である)ほど、カット割りや画作りのバリエーションを増やせるので、映像の完成度を高めることができます。
(少なくとも、キャラクターの頭頂部が切れない描画範囲にしていただけますと、カメラを動かしやすくなり大変助かります。)

こちらの動画用イラストは、一枚絵「幅3840px、高さ2160px」、リンゴ「幅1100px、高さ1100px」で作成していただきました。
キャラ+背景.png
(完成イラスト)
背景.png
(背景)
キャラ.png
(キャラクター)
影.png
(影のエフェクト)
リンゴ.png
(リンゴ)
絵:ロミ助様
<完成動画>
こちらの動画用イラストは「幅3000px、高さ3000px」で作成していただきました。
1.jpg
(完成イラストA)
2.png
(背景A:レイヤー1)
3.png
(背景A:レイヤー2)
4.png
(背景A:レイヤー3)
5.png
(キャラクターA)
6.png
(キャラクターA:表情差分)
7.jpg
(キャラクターB)
8.jpg
(キャラクターC)
9.jpg
(キャラクターD)
10.jpg
(キャラクターE)
11.jpg
(キャラクターF)
絵:よもひろ様
<完成動画>

【Q4】一枚絵のエフェクトはどのように加えたら良いですか?

A:「縁取り」「ドロップシャドウ」「ぼかし」「色収差(色ずれ)」「ノイズ」「モーションブラー(残像)」「フレア」等のエフェクトや「雨」「雪」は動画制作の段階で追加できますので、一枚絵を仕上げる段階で、このようなエフェクトは加えなくても大丈夫です。
一枚絵を仕上げる段階で上記のようなエフェクトを加える場合は、キャラクターや背景とは別のレイヤーで作成し、レイヤーを結合せず保存してください。
(エフェクトのレイヤーが結合されていると、エフェクトがキャラクターや背景と一緒に動いてしまうので、キャラだけを個別に動かしたり、奥行きなどの表現ができないことがあります。)

PSD(.psd)で一枚絵をご入稿いただく場合、エフェクトのレイヤーモードにつきましては、「加算」や「オーバーレイ」など、「通常」以外の設定で保存していただいても問題ございません。
PNG(.png)で一枚絵をご入稿いただく場合は、「エフェクトのかかっていないレイヤー」と「エフェクトのみのレイヤー」を分けた透過画像をご用意ください。(例えば、キャラクターに縁取りが掛かっている場合は、「縁の付いていないキャラクターのみの画像」と、「縁部分のみの画像」の2枚に分けてお送りください。)

【Q5】等身キャラ(立ち絵)やSDキャラの描き方について、注意点やサイズの指定はありますか?

A:等身キャラ(立ち絵)は長辺2000px~4000px程度(キャンバスサイズ)、SDキャラは長辺1000px~2000px程度(キャンバスサイズ)を目安に、なるべく大きいサイズで描いていただけますと、動画も高画質に仕上げることができます。
完成した立ち絵やSDキャラを書き出す際、ファイル形式はPNG(.png)PSD(.psd)で、必ず背景は透過してください。

一枚絵と同じく、立ち絵やSDキャラも解像度(dpi)は動画の画質に影響しませんので、任意の数値に設定してください。(72dpiでも、144dpiでも、300dpiでも動画の画質は変化しません。)デジタル画像サイズ(px=ピクセル)が大きいほど、高画質な動画に仕上げることができます。

複数の立ち絵(またはSDキャラ)を作成する場合は、立ち絵(またはSDキャラ)1体ごとに別々のファイルに分けてご入稿いただけますと大変ありがたいです。
また、画像の端になるべく空白ができないように、キャラクターの描画範囲ぴったりのサイズでトリミングしていただけると助かります。

●描画範囲につきまして
動画でキャラの全身を映したい場合や、カメラワークのある動画を作りたい場合は、体の端(頭、髪の毛、手、足など)が途中で切れないように描いていただく必要がございます。

×
動画用イラスト(7).png

動画用イラスト(8).png
絵:いらすとや様

例えばこちらの合唱動画では、左から3番目の立ち絵の上下(頭、足)が描かれていないため、不自然な見た目になってしまっています。
このような立ち絵を使用するタイプの合唱動画では、全てのキャラクターを全身、端まで切れないように描いていただくのがおすすめです。

●等身キャラ(立ち絵)の描き方につきまして
複数の立ち絵それぞれに身長差をつけて描く場合(等身キャラ)は、全キャラクターの「頭の大きさ」を揃えて、背の高さや年齢に応じて「頭身」を変えて描くことで、映像内で立ち絵を横一列に並べた際に、適切な遠近感の画にすることができます。
*等身=人の身の丈と等しい高さ。
*頭身=「身長」と「頭部の長さ」との割合。身長が頭4つ分なら「4頭身」
一つの目安としまして、大人は6~8頭身、子供は4~6頭身くらいが適当です。

2.jpg
絵:無印かげひと様

キャラクターごとに「頭の大きさ」が違いすぎると、映像内で立ち絵を横一列に並べた際に、遠近感のおかしな画になってしまいます。
映像制作の段階で、下の図のような立ち絵を「正しい身長差」にリサイズするのは難しく、「身長設定160cmのキャラを170cmのキャラよりも大きく表示してしまう」ような編集ミスが起こる場合もあります。
そのため、できる限り「頭の大きさ」を合わせて制作、ご入稿いただきますようお願いいたします。
(例えば、1人目のキャラクターの頭の大きさを「幅・高さ500px」で描いた場合は、2人目以降のキャラクターも「幅・高さ500px」くらいの頭の大きさで描いていただけると助かります。)

×
1.jpg
絵:無印かげひと様

●SDキャラの描き方につきまして
複数のキャラクターを2頭身や3頭身などのデフォルメで描く場合(SDキャラ)も、全てのキャラクターの「頭の大きさ」を揃えて制作、ご入稿いただけますと大変助かります。
SDキャラは動画制作の工程で横一列に並べる際、身長がほぼ同じになります(すなわち、キャラクターの身長差をSDキャラで表現することはできません)。
3.png
絵:無印かげひと様

【Q6】キャラクターをアニメーションさせることはできますか?(差分アニメーションについて)

A:キャラクターの動かしたいパーツ(例えば目や口)の差分や、中割り(動きを表現するための中間の絵)をご用意いただくことで、アニメーションさせることが可能です。

●「口閉じ」と「口開き」の差分で作成した口パクの見本です。口パクの速さはセリフ・歌詞等の音に合わせて調整できますので、キャラクターが喋ったり歌ったりしているように見せることができます。
マンガ動画(6).png

マンガ動画(7).png
絵:「学ラン男子立ち絵(怒) 」 / 羊毛種様(イラストAC)
●「目開き」と「目閉じ」の差分で作成した、まばたきの見本です。中割りを2枚加えることで、動きをより細やかにしました。
1.png

2.png

3.png

4.png
●髪の広がり方・体の縦軸の位置を若干ずらした差分2枚で、ぴょこぴょこと揺れる動きを作りました。
a.png
b.png
c.png
その他にも、ポーズの差分でキャラクターが踊っているように見せたり、髪や服の差分で風になびいているように動かしたりなど、様々なアニメーション作成が可能です。

●アニメーション素材をご入稿いただく際のファイル形式につきまして
キャラクター単体のアニメーションで、絵の枚数が多い場合(おおむね4枚以上)は、連番の透過PNG、アルファチャンネル付きAVI、クロマキー付きMP4などのファイル形式でご入稿をお願いいたします。
枚数が少ない場合(差分1~3枚程度)はPSD(.psd)でお送りいただいても大丈夫です。
背景のアニメーションなど、透過情報を含めることができない素材の場合は、透過情報を含まない連番PNG・AVI・MP4などでご入稿いただいても問題ございません。

●After Effectsのパペットアニメーションにつきまして
キャラクターの動かしたいパーツを分けて描いていただくと、1枚ずつ差分を描かなくても、映像制作ソフトの機能でアニメーションを作ることができる場合がございます。

絵:指先をあわせる女の子 / 仄月ゆづは様(イラストAC)
こちらのサンプルは、映像制作ソフト「After Effects」の「パペット位置ピンツール」という機能を使用して作成しました。
大まかに「のっぺらぼうの顔と体(下地)」、「髪の毛」、「目」の3つにパーツを分けており、このうち「髪の毛」と「目」に制御点を打って動かしています。
01.png
02.png
05.png


【7】まとめ

動画用イラストを描く(もしくは、絵師様に描いていただく)際は、以下7点を参考にしながらご準備いただければ幸いでございます。
1. ファイル形式は透過PNG(.png)かPSD(.psd)で
2. 一枚絵は背景・小物・人物・エフェクトのレイヤーを分け、背景は「小物や人物で隠れている部分」も描く
3. 「カメラワークのない動画」用の一枚絵は、「縦横比」を動画の画面比率と同じにする
4. 「カメラワークのある動画」用の一枚絵は、できるだけ「キャンバスサイズ」を大きく、「描画範囲」を広くする
5. エフェクトはかけなくてもOK(かける場合はレイヤーを分ける)
6. 立ち絵やSDキャラの背景は必ず透過で、「描画範囲」と「頭の大きさ」、「頭身」に注意
7. 差分や中割り、パーツ分けされたイラストによるアニメーション作成も可能

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