「『ai』『jpg』『png』……なんだか似たようなファイルがたくさん入っているけれど、一体どれを使えばいいの?」 「『ai』というファイルだけ、自分のパソコンで開けない!」
実は、これらには一つひとつ明確な「役割」があります。 この使い分けを間違えてしまうと、せっかく作ったロゴがホームページで粗く表示されてしまったり、印刷屋さんに「このデータでは印刷できません」と断られてしまったりするトラブルに繋がります。
今回は、納品されるデータの「拡張子(ファイルの種類)」について、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。 これさえ知っておけば、名刺作成も、看板発注も、Web更新も怖くありません。
1. 最も重要な「Aiデータ」=「原版(ネガ)」
まず、一番最初にお伝えしたいのが、拡張子が「.ai」となっているファイルについてです。 これは「Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)」という、プロのデザインソフトで作られたデータです。
【特徴】
・多くの一般家庭やオフィスのパソコンでは「開けません」(専用ソフトが入っていないため)。
・しかし、これが最も価値のある「マスターデータ(原版)」です。
【何に使うの?】 主に「印刷会社」や「看板屋さん」「グッズ制作業者」に渡すためのデータです。 このデータは「ベクター形式」と言って、どれだけ拡大しても画質が劣化しない魔法のような性質を持っています。 看板のように数メートルに引き伸ばしても、線がクッキリと綺麗なままです。
【注意点】 「自分のパソコンで開けないから、壊れているのかな?」と思って削除してしまわないでください。 例えるなら、写真は見られるけれど、その元となる「ネガフィルム」は特殊な機械がないと見られないのと同じです。 ご自身で開けなくても、制作会社にそのまま転送すれば、彼らは必ず開くことができます。 将来のために、絶対に捨てずに保管しておいてください。
2. 背景が透明な「PNGデータ」=「切り抜き素材」
次によく使うのが、拡張子が「.png(ピング)」のファイルです。
【特徴】
・背景が「透明」になっています。
・画質が劣化しにくい画像形式です。
【何に使うの?】
・Webサイトのヘッダーに、ロゴをポンと置きたい時。
・PowerPointやWordの資料で、写真の上にロゴを重ねたい時。
・YouTube動画の隅に、透かしとして入れたい時。
背景が透明なので、どこに配置しても四角い白い枠が出ず、綺麗に馴染みます。 「デジタルの世界」で使うなら、基本的にはこのPNGを選んでおけば間違いありません。
3. 最も一般的な「JPGデータ」=「普通の写真」
一番馴染みがあるのが、拡張子が「.jpg(ジェイペグ)」のファイルでしょう。
【特徴】
・どんなパソコン、スマホでも確実に開けます。
・データ容量が軽いです。
・背景は自動的に「白」になります(透明にはなりません)。
【何に使うの?】
・SNS(InstagramやXなど)のプロフィール画像。
・社員証の顔写真の横に添えるロゴ。
・とにかくスマホで手軽に確認したい時。
汎用性は高いのですが、何度も保存を繰り返すと画質が少しずつ劣化する性質があります。 また、背景が必ず「白」になるため、色付きの背景の上に置くと、ロゴの周りに白い四角い枠が出てしまいます。
4. 誰でも見られる「PDFデータ」=「確認用」
拡張子が「.pdf」のファイルです。お仕事で書類のやり取りによく使われますね。
【特徴】 ・Aiデータと同じく、綺麗に印刷できる能力を持っています。 ・専用ソフトがなくても、スマホやブラウザで閲覧できます。
【何に使うの?】 ・社内でロゴのデザインを回覧・共有する時。 ・一部のネット印刷通販で入稿する時。
「Aiデータが開けない!」という方は、まずこのPDFを開いてみてください。中身のデザインはAiデータと全く同じです。
まとめ:シーン別「どれを使えばいい?」早見表
いろいろ説明しましたが、迷った時は以下のリストを参考にしてください。
▼ 看板、Tシャツ、名刺を「業者」に頼む時 → 【Aiデータ】 を送ってください。 (業者さんから「イラストレーター形式で入稿してください」と言われたらこれのことです)
▼ 自分でワードやエクセル、パワポに貼る時 ▼ Webサイトや動画に使う時 → 【PNGデータ】 を使ってください。 (背景が透けるので綺麗に馴染みます)
▼ インスタやLINEのアイコンにする時 → 【JPGデータ】 または 【PNGデータ】 を使ってください。
最後に:データの「バックアップ」をお願いします
私たちデザイナーは、納品時にお客様のご要望に合わせて、これら全ての形式(または必要な形式)をセットにしてお渡ししています。
しかし、納品から数年経って、 「パソコンを買い替えたらデータが消えてしまいました。再送してもらえますか?」 というご相談をいただくことがあります。
納品データを受け取られましたら、
・パソコン本体
・USBメモリや外付けHDD
・クラウドストレージ(GoogleドライブやDropboxなど) など、最低でも2ヶ所以上にコピーして保存されることを強くおすすめします。
ロゴデータは、あなたのビジネスの大切な「資産」です。 通帳や印鑑と同じように、大切に保管してあげてくださいね。
データ形式のことで分からないことがあれば、いつでもお気軽にご質問ください。 難しい専門用語も、分かりやすく翻訳してサポートさせていただきます。