自己理解で広がる心の余白 40歳のあなたへ vol.1”私”を探す~アイデンティティ理解~

記事
学び

1. なぜこのシリーズを始めたのか

 人生の中で、成し遂げたい欲求は年齢とともに変化します。人生の“正午の時”と言われる40歳になると、私たちは様々な悩みや課題に直面します。それはキャリア、家族、人間関係、自分自身の在り方など、多岐にわたります。
 なぜならば、ある時は、配偶者であり、ある時は親として、ある時は子として、ある時は管理職をはじめとする職場の中心として、ある時は地域活動の中心として、ある時は保護者として等、自分自身の社会的役割が多く、悩みやすい時期であるとも言えます。毎日、忙しい忙しいと感じますよね。
 また、仕事や家庭生活での安定を求めつつも、自己成長や新たな挑戦への欲求が葛藤する時期ではないでしょうか。特に30代後半~40代では「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」を経験することがあると言われています。
 私自身も、成し遂げたい欲求に変化がありました。安定を求めて、安定した生活をしていた自分に「それでいいのか?それでどうした?」等と自分自身の生き方に疑問を持つようになり、働いていても、本質的では無い業務をやらされると、アクセルを踏んでもほとんど前進しないバスに乗せられているような感覚になりました。いつしか、アクセルを踏めば踏んだ分だけ前に進むバスに乗りたいと思うようになっていました。
 人は、思考・発言・行動の3つが一致しないとストレスを感じます。心理学では”認知的不協和”と言って、不一致の場合は、調整する機能が働きます。例えば、お酒が体に悪いのは理解しているけど、今日くらいは飲んでいいかと飲んだ場合は、思考と行動の不一致が発生しています。そこで、調整機能が働いて、”今日はお祝いだから特別”とあたかも正当な理由付けをすることで、この不協和を解消しようと調整します。ですが、これは一時的な”処置”であって、問題の根本にアプローチする”対策”ではありません。そのため、無意識のうちにストレスが蓄積されます。
 私もこの蓄積された不協和に耐えられず、本当の自分の欲求に従う方法を模索して、15年勤めた組織を退職して、研修講師として起業する道を選んだのです。
 お陰様で、今では不協和が解消され、”嬉しい”や”楽しい”、”ありがたい”と思えることが日常的に見つけることができるようになりました。
 そこで、このシリーズでは、同じような悩みを抱く40歳のあなたの悩みを受け止め、和らげ、心の余白をつくって、人生を楽しむ環境を整えるお手伝いをしたいと思っています。人生のカーナビゲーションだと思っていただけたら幸いです。また、私自身の思考の整理にもなりますので、お互いにゆっくり、心の余白をつくって、歩いていけたら嬉しく思います。
 これらの悩みを解決するには、まず自分自身を理解することが必要です。あなたは、自分自身が何者であるか、すぐに説明できますか?
 このシリーズでは、自分を深く理解し、心に余裕を持つためのヒントや方法を一緒に考えていきましょう。
 ここでは、読者の皆さんを、「あなた」と呼ばせていただき、より近くにいるイメージで進めていきます。

2. このシリーズが向かう先

 悩みと言うのは、マイナスをゼロにしたいという悩みと、ゼロをプラスにしたいという悩みがあるかと思います。共通しているのは、今どこで、どこまで行きたいのか。どうやって行けば良いのか。という事が分からないから、悩んでいます。
 皆さんは、悩みがあるということをどう捉えていますか?私はネガティブに捉えていた時期もありましたが、今はラッキーくらいに思っています。
 と言いますのも、実は、悩んでいることのメリットを見つけたからです。それは、「分析力が格段に上がる」という事です。
 人は、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)から情報を得ます。しかし、五感の情報を全て得ようとすると、脳がパンクします。脳は、「安全・満足・快楽」が大好きなので、パンクは回避しようと働きます。現に、今あなたは「座っている」というお尻の触覚は無かったのではないでしょうか。 
 これは、脳の中にどの情報を優先するかを判断する機能があるからです。具体的には、脳幹網様体賦活系という部分が、それを判断しています。今のあなたは、視覚情報を優先しています。

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 悩みがある時は、脳幹網様体賦活系がその悩みに係る情報の優先度を上げてくれます。例えば、車を買い替えたいなと思えば、車のCMが目に付いたり、道路を走っている車が気になったりしませんか?しかし、その悩みが始まる前は、そんなことを気にしていませんでしたよね?
 また、音楽を聞いたり、映画を観たり、夕日などの素敵な景色を見るにしても、悩んでいる時とそうでない時では、受け止め方に差があります。失恋した時に、感情的なメロディーを聴いて、胸に刺さったという経験はありませんか?映画を観て、泪が自然と出た時、悩んでいることがありませんでしたか?
 このように、悩みは、普段気にしていなかった情報や自分自身の内に秘めた感情に気付けるようになります。その結果、「分析力が格段に上がる」のです。
 言い換えれば、今まで”無意識”で見過ごしていたことが、”意識化”されたことにより、物事を多角的に捉えることが可能となり、今までと違った答えを導き出せる可能性が高まっている状態にあります。無色透明だったものが、悩んだことで、見えるようになったのです。ラッキーですね。
 この分析力を使って、まずは、現在地を確認しましょう。それができたら、目的地を、それができたら、目的地までの道のりと必要な準備を一緒にしていくイメージで伴走させていただきます。


3. このシリーズを読むことで何が得られるのか

このシリーズを通じて、読者の皆さんは以下のようなメリットを得ることが期待できます。
・自分の立ち位置を明確にする方法を学べる
・問題解決の視野を広げるヒントを得られる
・自分の価値観や目標を再確認し、前向きに進む力を養える

4. 本編導入メッセージ

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 皆さんは、自分自身の現在地をしっかり把握できていますか。現在地を理解している人は、自分に合った努力ができます。今いる場所が大雪ならば、温かい裏起毛の長くつを準備します。今いる場所がホテルのラウンジなら、革靴を履きます。今いる場所が分からなければどうしますか?とりあえず、長くつ、革靴、スニーカー、ランニングシューズ、パンプス、どれかは当たるだろうと思って手当たり次第に準備しますか?それはコストも時間もかかることに繋がります。40歳のあなたは、家庭、職場をはじめとして社会的責任が重くのしかかり、多忙な毎日を過ごしている事でしょう。そんなあなたには、手あたり次第準備する時間はきっと無いでしょう。
 そこで、まずは自分がいる場所を確認しませんか?そうすれば、何をどうしたら良いかきっと分かるはずです。
「現在地を知らなければ、目的地への道のりを計画することはできません。」この言葉は、私たちが人生を歩む上で非常に重要な教訓を含んでいます。カーナビが目的地への道のりを示すためには、まず現在地を特定する必要があるのと同じように、私たちも自分自身の現在地を知ることが必要です。では、どうすれば自分の現在地を把握できるのでしょうか?そのヒントの一つが「アイデンティティ・ステータス」という理論にあります。

5. 目的地までの到着予想時間

 例えば、どこにいるか分からない状態でカーナビに「目的地はここです」と示されても、そこまでどれくらい時間がかかるのか、どのルートが最適なのかはわかりません。同じように、自分が今どのような状態にいるのかを理解していないと、未来への道筋や選択肢を考えるのは非常に難しくなります。
 人生における現在地を知るためには、まず自分が何に価値を置き、どのような課題を抱えているのかを客観的に見つめる必要があります

6. 現在地を探す方法としての、アイデンティティ・ステータス理論


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 アイデンティティ・ステータスとは、心理学者ジェームズ・マーシャが提唱した、「自己の現在地を明確にし、より良い人生の選択を導くための道標となること」を目的とした理論です。人が自分の価値観や目標を模索し、確立していく過程を「危機(迷い・模索)」と「傾倒(コミットメント)」の2つの基準を分類したものです。
 この理論では、達成(模索し傾倒している)、モラトリアム(危機中だが未確定)、早期完了(危機未完了、外部の価値観を受け入れている)、拡散(危機も傾倒も未完了)の4つの状態に分けられます。
 それぞれが成長や課題を持ち、人間の自己形成に深く関わっています。

7.アイデンティティ・ステータスで期待できること

(1)自己理解の向上
自分が今どのステータスにいるかを理解することで、現在の迷いや課題を冷静に捉えられる。
自己成長のために、次に何をすべきかが明確になる。
(2)他者理解の促進
家族や友人、同僚の状態を把握し、適切な支援やアドバイスができる。
例えば、模索中の「モラトリアム」にいる人には、無理に決断を迫らず寄り添う姿勢が取れる。
(3)健康的な自己形成のサポート
模索や試行錯誤が成長の一部であると理解できるため、不安や焦りを減らせる。
自己肯定感を高め、柔軟な選択や行動がしやすくなる。
(4)教育やカウンセリングに役立つ
学生の進路指導や若者のキャリア支援において、どのようなアプローチを取るべきかを判断しやすくなる。
アイデンティティの発達をサポートする具体的な指針として活用できる。
(5)対人関係や職場での応用
同僚や部下の成長段階を理解し、それに応じたサポートや期待値を設定できる。
チームビルディングやリーダーシップにも応用可能。
(6)人生の選択に自信を持てる
ステータスごとに必要なアクションが分かるため、人生の選択や転機に対して主体的に向き合える。
模索することや迷うことも成長のプロセスであると安心できる。

8.2つの基準

危機(迷い・模索)
自分の価値観や目標を探求する過程。
新しい体験や選択肢を試すこと。
傾倒(コミットメント)
価値観や目標に対する確信。
明確な選択や行動を通じて、自分の立場に責任を持つこと。

9. アイデンティティ・ステータスの4つの分類


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(1)達成(Identity Achievement)
特徴:
「危機」を経験したうえで、自分の価値観や目標に対する「傾倒」がある。
自分の選択に責任を持ち、安定した自己感を持っている。
例:
職業選択について模索し、最終的に教師になることを選んだ。
心理的特徴:
自己肯定感が高く、安定した対人関係を築ける。
自立しており、柔軟に変化に対応できる。

(2)早期完了(Foreclosure)
特徴:
「危機」を経験せずに、外部(親や社会)の価値観や期待に基づいて「傾倒」している。
自分の意思で選択した感覚が少ない。
例:
親が医者になるように勧め、それに従って医師を目指している。
心理的特徴:
一見安定しているように見えるが、ストレスや環境の変化に弱い。
自己主張や独立性が低い場合がある。

(3)モラトリアム(Moratorium)
特徴:
「危機」を経験しているが、まだ「傾倒」に至っていない状態。
自分の価値観や目標を模索中で、不安定な状態にある。
例:
大学進学後にいくつかの分野を試しているが、まだ進路を決められない。
心理的特徴:
不安や葛藤を抱えることが多いが、最終的にはアイデンティティを達成する可能性が高い。
探求心が強く、新しい体験に積極的。

(4) 拡散(Identity Diffusion)
特徴:
「危機」を経験しておらず、「傾倒」もない状態。
自分の価値観や目標についての関心が低い。
例:
職業や将来について考えるのが面倒で、その場しのぎの生活を送っている。
心理的特徴:
自己肯定感が低く、周囲とのつながりが希薄なことが多い。
自分に対する責任感が薄く、ストレスへの対処能力が低い。

10. もしも4つのステータスの友人に私が声掛けするとしたら

 ここらか先は、有料記事とさせていただきます。私が友人であるあなたへ、それぞれのアイデンティティ・ステータスに応じた声掛けをさせていただきます。
 カフェでコーヒーを飲んでリラックスするのと同じくらいの心地よさを提供できたらと考え、500円にさせていただきました。是非、心の余白を感じていただけば嬉しいです。

(1)アイデンティティ達成(危機あり・傾倒あり)
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