「うちは不動産があるから安心」
「とりあえず名義を変えれば大丈夫でしょ」
そんな声を、相続の現場で何度も耳にしてきました。
でも実際には、不動産がある家庭ほど相続は複雑で、揉めやすいのです。
なぜなら、現金のように分けられず、評価や使い方によって税金や分割の仕方が大きく変わるからです。
実際に、
・評価額の算定で想定外の相続税が発生した
・兄弟間で分け方の合意が取れず売却トラブルに発展した
・空き家のまま放置して固定資産税や維持費が重くのしかかった
──そんなケースは枚挙にいとまがありません。
しかし、正しい知識と準備をしておけば、相続は「揉めるリスク」を下げ、「税負担」をコントロールすることができます。
この記事では、相続で損をしないために押さえておくべき、不動産活用の3つの基本視点をお伝えします。
視点①：現金より“不動産”の方が有利になるケースがある
相続税の計算に使われる「評価額」は、実際の市場価格（時価）とは異なります。
たとえば、時価1億円の土地でも、路線価ベースの評価では7,000万円程度になることがあります。
つまり、現金で持つより不動産で持つほうが税務上の負担が軽くなるケースがあるということです。
また、土地の形状や立地条件、用途地域によっても評価は変わります。
同じ1億円の土地でも、
・間口が狭い
・奥行きが長い
・形が不整形
といった要素だけで、評価が数百万円単位で下がることも。
この“評価差”を理解しておくことが、相続で税金を抑える第一歩です。
ただし、「評価が低い＝良い物件」とは限りません。
市場価値も考慮しなければ、いざ売却時に「思ったより安くしか売れない」という落とし穴もあります。
👉 評価額と時価のバランスを理解し、「税金」と「実際の資産価値」の両方を見て判断することが大切です。
視点②：賃貸化・法人化で“税金を減らす”方法がある
空き家や使っていない土地をそのままにしておくと、固定資産税がかかるだけでなく、「特定空家」として行政指導の対象になることもあります。
このような資産は、「眠らせる」よりも「動かす」方が得策です。
たとえば──
✅ 賃貸化
入居者がいることで、建物の評価額が下がり、相続税の負担を抑えられます。
さらに、家賃収入を得ながら、将来的に再開発や売却も選択肢にできる。
「小規模宅地の特例」により、条件を満たせば土地評価が最大80％減額されることもあります。
✅ 法人化
一定以上の資産を持つ場合、不動産を個人から法人に移すことで、相続ではなく事業承継として整理できることもあります。
法人化によって節税効果が出る場合もありますが、
・法人維持費用
・所得分散の仕組み
・贈与扱いになるリスク
などを十分に理解して進める必要があります。
👉 ポイントは、「節税のため」ではなく「将来の承継を見据えた体制づくり」として考えること。
安易な法人化はかえってコストやトラブルを増やすこともあります。
視点③：分けにくい“不動産”をどう残すか
相続トラブルで最も多いのが、**「分け方」**です。
たとえば、実家が土地付きの一戸建てで、子どもが3人いる場合。
誰が住むのか、誰が持ち分を引き取るのか、売却するのか──
すぐに答えが出ないケースがほとんどです。
不動産は「等分できない」ため、感情のもつれが生まれやすい。
売れば現金化できるけれど、思い出のある家は手放したくない。
こうしたすれ違いは、事前の話し合いで防げます。
・「将来、この家をどうしたいか」
・「誰が管理していくのか」
・「税金や維持費をどう分担するのか」
👉 相続対策の第一歩は、“財産をどう残すか”ではなく、“どう話すか”。
早めの家族会議こそ、最大のリスクヘッジになります。
まとめ
不動産の相続は、評価・活用・分割の3つを正しく理解しておくだけで、損失もトラブルも大きく防げます。
✅ 評価の仕組みを知る（現金より有利になることも）
✅ 活用方法を考える（賃貸化・法人化など）
✅ 分け方を話し合う（早めに家族で共有する）
この3つを実践するだけで、「相続で揉めない家」はつくれます。
🔗 実践編はこちら
この記事で相続対策の全体像を理解された方は、
次のステップとして**「具体的にどう動くか」**を整理しておくことをおすすめします。
続編となる有料記事
▶ 『相続対策における“不動産活用”20の実践ポイント～不動産を活かす具体的ステップ』
では、
・評価を下げるための具体的な不動産活用法
・賃貸化・法人化などの実務ステップ
・相続人が揉めないための分け方・出口戦略
など、現場の実例と20のチェックポイントをまとめています。
おわりに
相続や不動産の問題は、誰にとっても“いつか”必ず関わるテーマです。
にもかかわらず、実際に起きてから慌てて動く方が大半です。
大切なのは、「知っておく」ことと「早く動く」こと。
それだけで、将来の選択肢も安心感もまったく違ってきます。
私自身、これまで多くの相続不動産の売却・整理に関わってきましたが、
「もっと早く相談しておけば良かった」と言う声を何度も耳にしてきました。
この記事が、そんな“最初の一歩”を踏み出すきっかけになれば幸いです。
もし「自分一人では判断が難しい」と感じた方へ。
そんなときに役立つのが、第三者の立場でチェックする “不動産のセカンドオピニオン” です。
私は、そんな方のためにこのサービスを始めました。
✅営業マンに聞きづらいことも、率直にお答えします。
興味がある方は下記リンクからご覧ください✅
