技術士R06【01機械部門】必須問題Ⅰ『解答論文例』例1:産業用ロボット

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 機械を小型化することで、省スペース化、省エネルギー化、省資源化等が図れるだけでなく、従来の機械が働けない場所での作業を行うこと等、新たな用途の拡大が期待できる。機械の小型化に伴い代表寸法を小さくすると、働く力や作用等の大きさ・比が変わり、挙動が変化する。幾何学的に相似な物体において、この代表寸法と挙動の関係を近似的に示したものをスケール効果と呼ぶ。表1に代表的なスケール効果の例を示す。

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 本問は、機械を小型化する際に、スケール効果に基づく機械工学の知見を踏まえて、その性能や効率、設計、製造等がどのように変化するかを問うものである。機械製品を1つ想定し、以下の問いに答えよ。
(1)想定した機械製品とその概要を説明せよ。その機械製品に関して、構造を変えず相似的に100分の1程度に小型化することの実現性を検討する。その際の主要な課題を、技術者としての立場で多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その課題に対する複数の解決策を、機械部門の専門技術・手法を用いて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても残存しうる若しくは新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。

「日本技術士会」HP

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1.機械製品の小型化における課題
 〇機械製品の概要
  ・垂直多関節型産業用ロボットの特徴
  ・用途と制御システム
 〇観点1:構造・強度面の課題
  ・強度低下による影響
  ・応力集中部の破損リスク
 〇観点2:アクチュエータ・制御面の課題
  ・トルク低下と動作制限
  ・制御精度への影響
 〇観点3:トライボロジー面の課題
  ・摩擦増大とエネルギー損失
  ・潤滑性の低下
2.最重要課題およびその解決策
 ▼最重要課題とその選定理由
  ・構造、強度の重要性
  ・他課題との関連性
 ▽解決策1:高強度材料の活用
  ・新素材の採用効果
  ・材料選定の考慮点
 ▽解決策2:最適化設計の実施
  ・構造解析による強度向上
  ・トポロジー最適化の適用
 ▽解決策3:新構造の導入
  ・高強度構造の採用
  ・製造面での課題
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
 ◇リスク及び対策1:コスト増加への対応
  ・コスト上昇の要因
  ・VE/VAによる最適化
 ◇リスク及び対策2:制御系複雑化の解消
  ・アクチュエータ応答性の問題
  ・高度制御技術の導入
 ◇リスク及び対策3:信頼性低下の防止
  ・小型化による信頼性課題
  ・信頼性工学の適用
4.業務遂行に必要な要件
 ☆技術者としての倫理の観点
  ・安全性の確保と対策
  ・透明性とステークホルダー対応
 ☆社会の持続可能性の観点
  ・省資源化と環境負荷低減
  ・製品長寿命化への取り組み

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 日本の製造業は高性能かつ信頼性の高い製品を大量かつ安価に生産することで、時は世界市場を席巻することができた。しかし近年は他国における技術力の向上、生産性及び品質の向上、価格競争等の影響から世界的な競争力を失いつつあり、国内資源が乏しく加工貿易を軸にしてきた日本全体の経済活動を今後持続していくための戦略が必要とされている。対応策としてイノベーションを推進すること等が提唱されているが、より具体的な策として、他国製品に対して大きな競争力となる新たな付加価値をつける、あるいは現在の付加価値を他の追随を許さないほどに強化することが考えられる。現在の日本を取り巻く様々な状況(人口、教育、経済、環境保護等)を踏まえたうえで、以下の問いに答えよ。
(1)機械製品を1つ想定し、その製品に対して機械技術者の立場から考えたときに有効と考えられる付加価値を1つ提案せよ。さらに、その付加価値の実現のためにどのような課題が考えられるか、多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考えるものを1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その課題に対する複数の技術的な解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても残存しうる若しくは新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に則して述べよ。

「日本技術士会」HP

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1.機械製品の付加価値とその実現に向けた課題
 〇機械製品の付加価値
  ・深層強化学習AI搭載
  ・多品種少量生産対応力向上
 〇観点1:制御工学
  ・【課題】複雑環境下での高速高精度制御
 〇観点2:センシング技術
  ・【課題】多様な対象物に対する高精度なリアルタイム環境認識
 〇観点3:安全性・信頼性工学
  ・【課題】AI自律判断の安全性と信頼性確保
2.最重要課題およびその解決策
 ▼最重要課題とその選定理由
  ・安全性確保の最優先
 ▽解決策1:多層安全制御システム
  ・複数上位システムの多層的導入
 ▽解決策2:デジタルツイン安全性検証
  ・高精度シミュレータでの詳細シミュレーション
 ▽解決策3:適応型フェールセーフ機構
  ・安全動作の自動選択・実行システム開発
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
 ①多層化によるシステム複雑化とブラックボックス化
  ・モジュール化設計と標準化インターフェース
  ・自己診断機能とAR技術活用
 ②シミュレーションと実環境の差異
  ・動的適応型デジタルツイン構築
  ・エッジコンピューティング活用
 ③AIの偏った学習による誤動作
  ・多様性データセットと定期的再学習
  ・説明可能AI(XAI)技術採用
4.業務遂行に必要な要件
 ☆技術者としての倫理の観点
  ・高度な専門知識と倫理観、責任感
  ・AI判断プロセスの透明性確保と説明責任
 ☆社会の持続可能性の観点
  ・エネルギー効率の高いロボットシステム設計
  ・ライフサイクル全体での環境負荷低減考慮

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