【中学生が『技術士』へインタビュー】21総合技術監理部門|H27_Ⅰ-2:大阪万博編

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このインタビューは、
H27年度「21総合技術監理部門」必須問題Ⅰ-2を基にして構成しています。

😉登場人物紹介(👧👦👩‍💼)

👧美咲:
「生徒会副会長、美咲だよ!来年の生徒会長はアタシのもの!翔太には負けないんだから!特に理科は得意分野だし、街づくりにも興味津々。今日は純名さんに色々聞いて、生徒会活動に役立てるんだ!」

👦翔太:
「えっと…生徒会副会長の翔太です。美咲にはいつも言い負かされるけど、内心は負けないと思ってる!将来はモノづくりに関わる仕事がしたいから、今日のインタビューは良い勉強になるはず。特に農業分野の技術って、意外と奥が深そうだし…」

👩‍💼純名さん:
「皆さん、こんにちは!総合技術監理部門(農業)の技術士、純名です。日本の食料自給率を100%以上にして、日本を食料輸出国にするのが私の夢!今日は皆さんと一緒に、農業の未来について楽しく学んでいきたいと思います。難しい言葉は使わずに、分かりやすく説明しますね!」

🎤インタビュー開始!

(早乙女さんの会社にて)

👧美咲:
「こんにちは!早乙女さん、今日はお忙しいところ、インタビューのお時間をいただきありがとうございます!私、生徒会副会長の美咲です。今日はよろしくお願いします!」

👦翔太:
「こんにちは!同じく生徒会副会長の翔太です。早乙女さんの会社、すごく立派ですね!今日はいろいろ教えてください!」

👩‍💼純名さん:
「美咲さん、翔太さん、ようこそいらっしゃいました!遠いところ、ありがとうございます。今日はリラックスして、何でも聞いてくださいね。どうぞ、お茶でも飲みながら。」

(お茶を飲みながら)

👧美咲:
「あの、早乙女さんのような技術士さんって、具体的にどんなお仕事をされているんですか?日本の農業を良くするために、どんなことをしているのか、すごく興味があります!」

👦翔太:
「はい!僕も知りたいです。特に、日本の食料自給率を上げるために、どんな工夫をされているのか、ぜひ教えてください!」

👩‍💼純名さん:
「そうですね。私の仕事は、農業技術の開発や普及だけでなく、農家さんの経営改善や、新しい農業ビジネスの立ち上げを支援したりと、多岐にわたります。そして、食料自給率の向上は、まさに私たちの大きな目標の一つなんです。」

👧美咲:
「ニュースとかで見ると、日本の食料自給率って、なんだか低いって聞くんですけど…実際のところ、どうなんですか?」

👦翔太:
「そうそう!僕も気になってたんです。食料自給率が低いと、何か問題があるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「美咲さん、翔太さん、良い質問ですね!日本の食料自給率、実はカロリーベースで見ると、現在40%弱なんです。つまり、私たちが食べている食料の6割以上を海外からの輸入に頼っているということになります。」

👧美咲:
「えっ、6割も!?それって、すごくないですか?もし輸入がストップしたら、大変なことになりそう…」

👦翔太:
「なるほど…だから、食料自給率を上げることが重要なんですね。でも、どうしてこんなに低いんですか?」

👩‍💼純名さん:
「食料自給率が低い原因はいくつかあります。まず、日本の農業従事者の高齢化や後継者不足が進んでいること。それから、海外からの安い食料品との価格競争も厳しいです。さらに、耕作放棄地が増加していることも大きな要因の一つです。」

👧美咲:
「耕作放棄地って、ニュースでよく聞きますけど、もったいないですよね。何か活用する方法はないんですか?」

👩‍💼純名さん:
「耕作放棄地の活用は、まさに私たちが取り組むべき課題の一つです。例えば、スマート農業の技術を導入して、少ない人数でも効率的に農業ができるようにしたり、企業と連携して新しい農産物を開発したり、様々な方法が考えられます。」

👦翔太:
「スマート農業って、ドローンとかAIとかを使うやつですよね!それなら、僕みたいな若い世代でも農業に興味を持ちやすくなるかも!」

👩‍💼純名さん:
「そうなんです。スマート農業は、まさにこれからの農業を変えていく可能性を秘めています。例えば、ドローンで農薬を散布したり、AIで最適な水やりや肥料のタイミングを判断したり、ロボットで収穫作業を自動化したり…。」

👧美咲:
「へえー!なんだかゲームみたいで面白そう!でも、そういう最新技術を導入するのって、お金がかかりそうですよね?農家の人たちは、みんな導入できるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「良いところに気が付きましたね、美咲さん。確かに、初期投資は必要になります。そこで、国や自治体からの補助金や助成金を活用したり、農家同士で共同購入したり、リース契約を利用したり、様々な方法で導入を支援しています。」

👦翔太:
「リース契約って、車のリースみたいな感じですか?」

👩‍💼純名さん:
「そうです、翔太さん。必要な時に必要な期間だけ機械を借りることができるので、初期費用を抑えられますし、メンテナンスもリース会社が担当してくれるので、農家さんの負担を軽減できます。」

👧美咲:
「なるほど!それなら、私たちみたいな若い世代でも、農業に挑戦しやすくなるかもしれませんね。」

👩‍💼純名さん:
「ええ、まさにその通りです。これからの農業は、若い世代の新しい発想と技術力が必要不可欠です。皆さんが農業に興味を持ってくれることが、日本の食料自給率向上への大きな一歩になるんですよ。」

👦翔太:
「そうか!僕も、将来はモノづくりに関わる仕事がしたいと思っているけど、農業機械の開発とか、スマート農業のシステムを作るとか、そういう道もあるんだ!」

👩‍💼純名さん:
「素晴らしい発想ですね、翔太さん!ぜひ、視野に入れてみてください。これからは、農業とIT技術を融合させた、新しいビジネスチャンスもたくさん生まれてくるはずです。
 日本の農業の未来は、皆さんのような若い世代の力にかかっていると言っても過言ではありません。ぜひ、色々なことに興味を持って、積極的に学んでいってくださいね。」

👧美咲:
「ありがとうございます、純名さん!すごく勉強になります!あの、ちょっと質問を変えてもいいですか?」

👩‍💼純名さん:
「ええ、どうぞ。遠慮なく聞いてください。」

👧美咲:
「純名さんは『総合技術監理部門』の技術士さんなんですよね?農業分野で、総合技術監理って、具体的にどんなことをするんですか?今までのお話は、どちらかというと農業技術の話が中心だったと思うので…」

👦翔太:
「そうそう!僕も気になってました。総合技術監理って、なんだか難しそうな名前だし…。」

👩‍💼純名さん:
「良い質問ですね!総合技術監理は、簡単に言うと、複数の専門分野を横断的に見て、プロジェクト全体を成功に導くためのマネジメント技術のことです。農業分野で言えば、例えば、新しい農産物の生産から加工、販売までの一連の流れを、技術的な面だけでなく、コストや安全面、環境への影響など、様々な角度から評価して、最適な戦略を立てる、といったことになります。」

👧美咲:
「えっと…例えば、具体的にはどんなプロジェクトがあるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「例えば、ある地域で特産品として新しい野菜を栽培するプロジェクトを考えてみましょう。まず、その野菜の栽培に適した土壌や気候条件を調査します。次に、栽培技術を確立し、収穫量を最大化するための方法を検討します。そして、収穫した野菜をどのように加工し、販売するか、販路を開拓するための戦略を立てます。さらに、生産コストを抑え、利益を最大化するための経営計画を立て、安全性を確保するための品質管理体制を構築する必要があります。」

👦翔太:
「それって、農業技術だけじゃなくて、経営とかマーケティングとか、色々な知識が必要になるんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです。総合技術監理では、それぞれの専門家と連携しながら、プロジェクト全体を俯瞰的に見て、リスクを管理し、目標を達成するための道筋を示す必要があります。例えば、もし栽培中に病害虫が発生した場合、迅速に適切な対策を講じなければ、収穫量が減少し、プロジェクト全体の収益に影響が出てしまいます。そういったリスクを事前に予測し、対応策を準備しておくことも、総合技術監理の重要な役割です。」



📝H27年度「21総合技術監理部門」必須問題Ⅰ-2

 2020年には東京でオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるが、このような国際会議、国際文化・スポーツイベント、国際展示会・見本市などの国際的なイベントは、我が国の課題である活力ある経済社会の構築、安全・安心社会の実現、地域の活性化や観光振興等を推進していく上でまたとない機会であり、これら国際的なイベントに直接的にあるいは間接的に関係するプロジェクトでは、この機会の有効な活用が期待される。またこれらのプロジェクトの成果は、それが有形であっても無形であっても、一過性のものに留まらず、例えばオリンピック・レガシー【注1】で謳われているように、良い遺産(positive legacy)として後世に引き継がれていくことが望ましい。
 その一方で、プロジェクトやプロジェクトの成果を取り巻く環境には多くの不確かさが存在し、それらはプロジェクトを推進していく上で、あるいはプロジェクトの成果を引き継ぎ管理・運営していく組織にとって、さまざまなリスクの源となる。これらのリスクをあらかじめ認識し、適切なリスク対応を取りながらプロジェクトを計画し、実行することは、総合技術監理部門の技術士に要求される重要な業務の1つである。
 そこで、あなたがよく理解しているプロジェクトを取り上げ、さらに、近い将来我が国で開催される国際的なイベントを想定して、その国際的なイベントをそのプロジェクトに関連付けた上で、プロジェクトを推進していく際のリスクマネジメントについて、総合技術監理の視点から(1)~(3)の問いに答えよ。ここでいう総合技術監理の視点とは、「経済性管理」、「安全管理」、「人的資源管理」、「情報管理」、「社会環境管理」の5つの視点をいう。
 なお、あなたが対象とするプロジェクトと想定する国際的なイベントについては、以下の(ア)~(エ)のとおりとする。
(ア)「国際的なイベントをプロジェクトに関連付ける」とは、その国際的なイベントの開催を契機にして(あるいは利用して)、そのプロジェクトの成果が、我が国や地域社会のさまざまな課題の解決のために、貢献できるよう工夫することをいう。
(イ)あなたが対象とするプロジェクトは、国際的なイベントの開催期間末までには終了する。
(ウ)そのプロジェクトの成果は、プロジェクト終了後に適切な組織に引き継がれ、将来にわたって管理・運営されていく。
(エ)プロジェクト終了後にその成果が引き継がれ管理・運営されている期間に発生する可能性のあるリスクについても、プロジェクト期間中に可能な範囲で対応策をとる。
 リスクマネジメントについては、その用語や考え方を整理した国際規格 ISO 31000:2009 及びその翻訳版である JIS Q 31000:2010 が制定されている。問いに対する解答論文(あなたの答案)を作成するに当たっては、この新しい ISO / JIS 31000 の枠組みに基づいて作成してもよいし、従来一般に用いられてきたリスクマネジメントの枠組み(例えば、JIS Q 2001:2001や『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系(第2版)、日本技術士会』で紹介されている枠組み)に基づいて作成してもよい。
(1)本論文においてあなたが対象とするプロジェクトと国際的なイベントの内容を、次の①~⑤に沿って記せ。この際、以後の問い(2)、(3)の解答に必要な内容を含めて記すこと。なお、あなたの立場は、当該プロジェクトの総括責任者あるいはそれと一体となってプロジェクトを推進する総合技術監理部門の技術士であり、プロジェクトの責任を他に転嫁できないものとする。
 ① 想定する国際的なイベントを設定せよ。
 ② 対象とするプロジェクトの名称、目的、事業期間及び予定される成果を記せ。
 ③ プロジェクトの置かれている背景状況ないし環境を記せ。
 ④ そのプロジェクトに国際的なイベントを関連付けよ(そのプロジェクトの成果が国際的なイベントの開催を契機に、我が国や地域社会のどのような課題に対して、どのような工夫をすることによって、どのように貢献できるかを記せ。)。
 ⑤ 国際的なイベントの終了後(この時点ではプロジェクトも終了している。)にプロジェクト成果が置かれていると予想される状況を記せ。
(2)対象とするプロジェクトの主要な作業ステップを①に従って記せ。また、プロジェクトを推進していく上での主要なリスクを「4つ」取り上げ、②に従って記せ。ただし、取り上げる4つのリスクのうち「少なくとも1つ」は、国際的なイベントの終了後に発生する可能性のあるものとする。
 ① プロジェクトの主要な作業ステップ及びその作業ステップにおける留意点を記せ。
 ② 取り上げる主要なリスク4つのそれぞれに対して、(a)リスク源(ハザード、危険因子)、(b)事象(ある一連の周辺状況の出現又は変化)、(c)その事象により生じうる結果、について説明せよ。また、(d)そのリスクが①の作業ステップのどの段階で出現する可能性があるかを示せ。なお、国際的なイベントの終了後に発生する可能性のあるものについては、その時期を記せ。
(3)問い(2)で取り上げた4つのリスクのうち、対象とするプロジェクトに大きく影響を与えるリスクを「2つ」取り上げ、それぞれのリスクに対して、次の①~③に沿ってリスク分析とリスク対応について説明せよ。ただし、取り上げるリスクのうち「少なくとも1つ」は、国際的なイベントの終了後に発生する可能性のあるリスクとする。
 ① そのリスクに対して、(a)起こりやすさ(確率の程度)と、(b)プロジェクトへの影響(あるいはプロジェクトの成果を管理・運営していく上での影響)の程度について想定し、記せ。また、(c)そのように想定した理由を簡潔に述べよ。
 ② リスクに対する具体的な対応策(プロジェクト期間中にとる対応策)を提案せよ。なお、対応策は、当該リスクへの対応のみならず、より広い視点からのものであることが望ましい。
 ③ 上で提案した対応策の提案理由を述べよ。提案理由には予想される効果と対応策実施上の留意点を含めること。また、他の懸念に対する配慮、総合技術監理の管理分野を踏まえた視点からの考察、生じる可能性のあるトレードオフ、その対応策を採用することによる新たなリスクの発生等についての考察を含めることが望ましい。
【注1】『オリンピック憲章』には「オリンピック競技大会の有益な遺産を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する(to promote a positive legacy from the Olympic Games to the host cities and host countries)」(第1章、第2項の14号)とあり、この「オリンピック開催を契機として社会に生み出される持続的な効果」は、一般に「オリンピック・レガシー」と称される。
「日本技術士会」HP


🌎問題文の前提1:オリンピック・レガシーってなに?

 [1] 🤝 国際イベントの意義

👧美咲:
「純名さん、問題文の最初に『国際会議、国際文化・スポーツイベント、国際展示会・見本市などの国際的なイベントは、我が国の課題である活力ある経済社会の構築、安全・安心社会の実現、地域の活性化や観光振興等を推進していく上でまたとない機会であり』って書いてありますけど、これってどういうことですか?なんか難しくて…」


👦翔太:
「うん、僕もよくわかりません。国際イベントが、そんなに色々なことに役立つんですか?」

👩‍💼純名さん:
「美咲さん、翔太さん、良い質問ですね。国際イベントは、単なるお祭り騒ぎではなく、国や地域にとって大きなチャンスなんです。例えば、オリンピックを考えてみましょう。オリンピックを開催するためには、新しいスタジアムや道路を建設したり、交通システムを改善したりする必要がありますよね。これによって、建設業が活性化したり、地域のインフラが整備されたりします。」

👧美咲:
「なるほど!街が綺麗になったり、便利になったりするんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです。また、海外から多くの観光客が訪れることで、宿泊施設や飲食店などのサービス業も潤います。そして、日本の文化や魅力を世界に発信する絶好の機会にもなります。さらに、国際会議や展示会などを開催することで、新しい技術や知識が日本に導入され、経済の発展に繋がることも期待できます。」

👦翔太:
「確かに、色々な効果があるんですね!でも、イベントが終わったら、それらの効果もなくなってしまうんじゃないですか?」

 [2] 🏆 オリンピック・レガシーとは?

👩‍💼純名さん:
「そこが重要なポイントなんです。問題文にも書いてある『オリンピック・レガシー』という言葉をご存知ですか?」

👧美咲:
「オリンピック・レガシー…?聞いたことはあるような気もするけど、よくわかりません…。」

👩‍💼純名さん:
「オリンピック・レガシーとは、オリンピックの開催をきっかけに、社会に残される良い遺産のことです。例えば、新しいスポーツ施設や公園、改善された交通システムなどが挙げられます。これらの施設は、オリンピックが終わった後も、地域の住民が利用することができます。」

👦翔太:
「つまり、オリンピックを開催することで、一時的な盛り上がりだけでなく、長期的に地域社会に貢献できるようなものを作り出すことが大切なんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん!オリンピック・レガシーは、有形のものだけでなく、無形のものも含まれます。例えば、ボランティア精神の高まりや、国際交流の促進、スポーツへの関心の向上なども、オリンピック・レガシーと言えます。」

👧美咲:
「なるほど!オリンピックを単なるイベントとして終わらせるのではなく、未来に繋がる良い遺産を残すことが大切なんですね!なんだか、生徒会活動にも通じるものがある気がします!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、美咲さん。生徒会活動でも、イベントを開催するだけでなく、その活動を通して、生徒たちの成長や学校の活性化に繋がるような、良い遺産を残すことを意識することが大切です。」

👦翔太:
「よし、僕もオリンピック・レガシーを意識して、何かモノづくりに関わるような、未来に繋がる活動を考えてみよう!」

 [3] 🌏 未来を見据えた国際イベント

👩‍💼純名さん:
「オリンピック・レガシーの考え方は、オリンピックに限らず、他の国際イベントにも当てはまります。たとえば、日本で開催されるG7サミット、大阪万博、アジア大会なども、地域社会や日本全体に良い影響を与える絶好の機会です。」

👧美咲:
「G7サミットって、ニュースでよく聞きますけど、どんなイベントなんですか?」

👩‍💼純名さん:
「G7サミットは、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの主要7か国の首脳が集まって、世界経済や国際情勢について話し合う会議です。日本が議長国を務める際には、日本の政策や技術を世界にアピールするチャンスになります。」

👦翔太:
「2025年には大阪万博も開催されますよね!万博って、どんなイベントなんですか?」

👩‍💼純名さん:
「万博は、世界中の国々がそれぞれの技術や文化を紹介する博覧会です。大阪万博では、『いのち輝く未来社会のデザイン』をテーマに、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するような、未来社会の姿を提示することが期待されています。」

👧美咲:
「SDGsって、学校でも勉強しました!地球温暖化とか、貧困問題とか、色々な課題を解決するための目標ですよね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、美咲さん。大阪万博は、SDGsの達成に向けて、世界中の知恵と技術を結集する場となるでしょう。そして、2026年にはアジア大会も日本で開催されますね。」

👦翔太:
「アジア大会は、アジアの国々が集まって、色々なスポーツで競い合う大会ですよね!」

👩‍💼純名さん:
「そうです、翔太さん。アジア大会は、スポーツを通して、アジアの国々の友好関係を深めるだけでなく、日本のスポーツ振興にも貢献するでしょう。これらの国際イベントを成功させるためには、開催都市だけでなく、日本全体が一丸となって取り組む必要があります。そして、イベントが終わった後も、その成果を持続可能な形で引き継いでいくことが重要です。」

👧美咲:
「これらのイベントを通して、日本の技術力や文化を世界にアピールできるだけでなく、地域経済の活性化や観光振興にも繋がるんですね!」

👦翔太:
「よし、僕も未来の社会に貢献できるような、モノづくりに挑戦してみよう!」

🌎問題文の前提2:プロジェクトのリスクってどんなもの?

 [1] 🌪️ プロジェクトを取り巻く「不確かさ」

👧美咲:
「純名さん、問題文に『プロジェクトやプロジェクトの成果を取り巻く環境には多くの不確かさが存在し、それらはプロジェクトを推進していく上で、あるいはプロジェクトの成果を引き継ぎ管理・運営していく組織にとって、さまざまなリスクの源となる』って書いてありますけど、この『不確かさ』って、具体的にどんなことですか?」

👦翔太:
「うん、僕もよくわかりません。プロジェクトって、計画通りに進まないこともあるってことですか?」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん。プロジェクトは、常に変化する状況の中で進めていく必要があります。例えば、天候の変化、経済状況の変動、技術革新のスピードなど、様々な要因がプロジェクトに影響を与える可能性があります。これらの予測できない要素を『不確かさ』と呼びます。」

👧美咲:
「なるほど!確かに、計画を立てても、その通りに進むとは限らないですよね。例えば、文化祭の準備をしていても、急に雨が降って、予定を変更しなければならなくなることもあります。」

👩‍💼純名さん:
「良い例えですね、美咲さん。プロジェクトでは、このような『不確かさ』を事前に予測し、対応策を準備しておくことが重要になります。それを『リスクマネジメント』と言います。」

👦翔太:
「リスクマネジメントって、なんだか難しそうな言葉ですね…。」

 [2] 🛡️ リスクマネジメントの重要性

👩‍💼純名さん:
「難しく考える必要はありませんよ。リスクマネジメントは、プロジェクトを成功させるための保険のようなものです。例えば、もし文化祭の準備中に雨が降った場合、屋内でできる企画を用意しておけば、イベントを中止せずに済みますよね。それと同じように、プロジェクトで起こりうるリスクを予測し、事前に対応策を準備しておくことで、プロジェクトをスムーズに進めることができます。」

👧美咲:
「なるほど!リスクマネジメントって、すごく大切なんですね!でも、どんなリスクがあるのか、どうやって予測すればいいんですか?」

👩‍💼純名さん:
「リスクを予測するためには、まず、プロジェクトの目標を明確にし、目標達成を阻害する可能性のある要因を洗い出す必要があります。例えば、農業プロジェクトであれば、天候不順、病害虫の発生、資材価格の高騰などが考えられます。これらのリスクを洗い出した上で、それぞれのリスクが発生する可能性や、プロジェクトに与える影響の大きさを評価し、優先順位をつけて対応策を検討します。」

👦翔太:
「リスクを予測して、対応策を準備するって、なんだか大変そうですね…。」

👩‍💼純名さん:
「確かに、リスクマネジメントは手間のかかる作業ですが、プロジェクトを成功させるためには不可欠なプロセスです。特に、大規模なプロジェクトや、多くの関係者が関わるプロジェクトでは、リスクマネジメントをしっかりと行うことで、予期せぬトラブルを回避し、プロジェクトを円滑に進めることができます。」

 [3] 👓 総合技術監理の視点

👩‍💼純名さん:
「問題文には、『総合技術監理の視点』という言葉が出てきますが、これは、プロジェクトを様々な角度から見て、総合的に判断することを意味します。具体的には、『経済性管理』、『安全管理』、『人的資源管理』、『情報管理』、『社会環境管理』の5つの視点があります。」

👧美咲:
「経済性管理、安全管理、人的資源管理、情報管理、社会環境管理…うーん、難しそう…」

👩‍💼純名さん:
「一つずつ説明しますね。『経済性管理』は、プロジェクトのコストを抑え、利益を最大化するための管理です。『安全管理』は、プロジェクトに関わる人々の安全を確保するための管理です。『人的資源管理』は、プロジェクトに必要な人材を確保し、育成するための管理です。『情報管理』は、プロジェクトに関する情報を適切に管理し、共有するための管理です。そして、『社会環境管理』は、プロジェクトが社会や環境に与える影響を最小限に抑えるための管理です。」

👦翔太:
「なるほど!色々な視点からプロジェクトを考えることが大切なんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん。総合技術監理の視点を持つことで、プロジェクトをより成功に導くことができます。皆さんも、生徒会活動でプロジェクトを進める際には、ぜひこれらの視点を意識してみてください。」

🌎問題文の前提3:国際イベントを農業プロジェクトにどう活かす?

 [1] 🤝 国際イベントとプロジェクトの連携

👧美咲:
「純名さん、問題文に『国際的なイベントをプロジェクトに関連付けるとは、その国際的なイベントの開催を契機にして(あるいは利用して)、そのプロジェクトの成果が、我が国や地域社会のさまざまな課題の解決のために、貢献できるよう工夫することをいう』って書いてありますけど、これってどういうことですか?国際イベントと農業プロジェクトって、どうやって関連付けられるんですか?」

👦翔太:
「うん、僕もイメージが湧きません。例えば、オリンピックと農業って、どう繋がるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「良い質問ですね!国際イベントを農業プロジェクトに関連付けるというのは、国際イベントをきっかけに、農業の課題解決や、地域社会への貢献を目指すということです。例えば、オリンピックであれば、選手村で使用する食材を地元の農産物で賄ったり、外国人観光客向けに日本の食文化を体験できるツアーを企画したり、様々な方法で農業と関連付けることができます。」

👧美咲:
「なるほど!オリンピックをきっかけに、地元の農業を盛り上げることができるんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、美咲さん。また、大阪万博であれば、『いのち輝く未来社会のデザイン』というテーマに合わせて、持続可能な農業技術を開発したり、食料問題の解決に貢献するようなプロジェクトを推進したりすることができます。」

👦翔太:
「持続可能な農業技術って、どんなものがあるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「例えば、有機栽培や、再生可能エネルギーを利用した農業などが挙げられます。これらの技術は、環境負荷を低減しながら、食料を安定的に生産することを可能にします。」

 [2] ⏳ プロジェクトの期間と成果の引き継ぎ

👩‍💼純名さん:
「問題文には、『あなたが対象とするプロジェクトは、国際的なイベントの開催期間末までには終了する』と書かれています。これは、プロジェクトの成果を国際イベントで最大限に活用するためです。また、『そのプロジェクトの成果は、プロジェクト終了後に適切な組織に引き継がれ、将来にわたって管理・運営されていく』と書かれています。これは、プロジェクトの成果を持続可能な形で活用していくためです。」

👧美咲:
「プロジェクトの成果を引き継ぐって、具体的にどんなことをするんですか?」

👩‍💼純名さん:
「例えば、新しい農業技術を開発した場合、その技術を普及させるための研修会を開催したり、マニュアルを作成したり、技術を導入した農家を支援したりすることが考えられます。また、地域ブランドを確立した場合、そのブランドを維持するための品質管理体制を構築したり、販路を拡大したりする必要があります。」

👦翔太:
「つまり、プロジェクトが終わった後も、その成果を活かしていくための努力が必要なんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん。プロジェクトの成果を持続可能な形で活用していくためには、プロジェクト終了後の計画をしっかりと立てておくことが重要です。」

 [3] ⚠️ プロジェクト終了後のリスク対策

👩‍💼純名さん:
「最後に、問題文には、『プロジェクト終了後にその成果が引き継がれ管理・運営されている期間に発生する可能性のあるリスクについても、プロジェクト期間中に可能な範囲で対応策をとる』と書かれています。これは、プロジェクト終了後も、リスクに備えておく必要があるということです。」

👧美咲:
「プロジェクトが終わった後も、リスクって発生するんですか?」

👩‍💼純名さん:
「はい、発生する可能性があります。例えば、新しい農業技術を導入した農家が、技術をうまく使いこなせない場合や、地域ブランドが確立された後、品質管理が不十分でブランドイメージが低下してしまう場合などが考えられます。」

👦翔太:
「それって、大変ですね!どうすれば、プロジェクト終了後のリスクに対応できるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「プロジェクト期間中に、リスクが発生した場合の対応策を準備しておくことが重要です。例えば、技術指導を行うための専門家を派遣したり、品質管理体制を定期的に見直したり、様々な対策を講じることができます。」

👧美咲:
「なるほど!プロジェクトは、始める前から終わりまで、しっかりと計画を立てて、リスクに備えておくことが大切なんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、美咲さん。総合技術監理の視点を持って、プロジェクトを成功に導きましょう!」

🌎問題文の前提4:リスクマネジメントの国際基準って?

 [1] 🌍 リスクマネジメントの「共通言語」

👧美咲:
「純名さん、問題文に『リスクマネジメントについては、その用語や考え方を整理した国際規格 ISO 31000:2009 及びその翻訳版である JIS Q 31000:2010 が制定されている』って書いてありますけど、この『ISO 31000』って何ですか?なんだか暗号みたい…。」

👦翔太:
「うん、僕も初めて聞きました。国際規格って、どんなものなんですか?」

👩‍💼純名さん:
「良い質問ですね!ISO 31000は、リスクマネジメントに関する国際的なルールブックのようなものです。世界中の企業や組織が、リスクマネジメントを行う際に、共通の用語や考え方を使えるようにするために作られました。」

👧美咲:
「共通の用語や考え方を使うと、何が良いんですか?」

👩‍💼純名さん:
「共通の用語や考え方を使うことで、国際的な協力がスムーズに進められるようになります。例えば、ある企業がISO 31000に基づいてリスクマネジメントを行っていれば、海外の企業もその企業のリスク管理体制を理解しやすくなります。」

👦翔太:
「なるほど!世界共通の基準があることで、コミュニケーションが円滑になるんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん。ISO 31000は、リスクマネジメントの世界的な共通言語と言えるでしょう。」

 [2] 📚 リスクマネジメントの「教科書」

👩‍💼純名さん:
「ISO 31000は、リスクマネジメントの基本的な考え方や、リスクを特定、分析、評価、対応する方法などが詳しく解説されています。リスクマネジメントを学ぶ上で、非常に役立つ教科書のような存在です。」

👧美咲:
「教科書ってことは、難しいことがたくさん書いてあるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「ISO 31000は、専門的な内容も含んでいますが、リスクマネジメントの基本的な考え方を理解する上で、非常に役立ちます。例えば、リスクを特定するためのチェックリストや、リスクを評価するためのツールなどが紹介されています。」

👦翔太:
「リスクを評価するためのツールって、どんなものがあるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「例えば、リスクマトリックスというツールがあります。リスクマトリックスは、リスクの発生可能性と影響度を評価し、リスクの優先順位を決定するために使用されます。」

 [3] ⚙️ ISO 31000に「縛られすぎない」

👩‍💼純名さん:
「問題文には、『問いに対する解答論文(あなたの答案)を作成するに当たっては、この新しい ISO / JIS 31000 の枠組みに基づいて作成してもよいし、従来一般に用いられてきたリスクマネジメントの枠組み(例えば、JIS Q 2001:2001や『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系(第2版)、日本技術士会』で紹介されている枠組み)に基づいて作成してもよい』と書かれています。」

👧美咲:
「えっと…つまり、ISO 31000を使わなくても良いってことですか?」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、美咲さん。ISO 31000は、あくまでリスクマネジメントを行う上での参考となるガイドラインです。必ずしも、ISO 31000に完全に準拠する必要はありません。自分自身の知識や経験に基づいて、最適なリスクマネジメントの方法を選択することが重要です。」

👦翔太:
「なるほど!ISO 31000は、あくまで参考書のようなものなんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん。リスクマネジメントは、教科書通りにやるだけでなく、自分の頭で考え、工夫することが大切です。皆さんも、生徒会活動でリスクマネジメントを行う際には、ISO 31000を参考にしながら、自分たちなりの方法を考えてみてください。」

 [4] 📚 ISO以外の選択肢

👧美咲:
「あの、純名さん、問題文に出てくる『JIS Q 2001:2001や『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系(第2版)、日本技術士会』で紹介されている枠組み』って、ISO 31000と比べて、どんな違いがあるんですか?」

👦翔太:
「うん、僕も気になります。ISO 31000以外の方法でも、リスクマネジメントができるんですか?」

👩‍💼純名さん:
「良い質問ですね!JIS Q 2001は、品質マネジメントシステムに関する規格で、リスクマネジメントの要素も含まれています。一方、『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系』は、技術士という資格の試験で問われる知識体系をまとめたもので、リスクマネジメントについても解説されています。」

👧美咲:
「品質マネジメントシステムって、何ですか?」

👩‍💼純名さん:
「品質マネジメントシステムは、製品やサービスの品質を継続的に改善するための仕組みのことです。JIS Q 2001は、この品質マネジメントシステムを構築するための国際規格です。リスクマネジメントは、品質マネジメントシステムの一部として、製品やサービスの品質に影響を与えるリスクを管理するために用いられます。」

👦翔太:
「なるほど!品質を管理するために、リスクも管理する必要があるんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、翔太さん。JIS Q 2001は、品質を重視する企業にとって、非常に重要な規格です。一方、『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系』は、技術士という資格を目指す人にとって、必要な知識を体系的に学ぶための参考書です。リスクマネジメントだけでなく、経済性管理や安全管理など、総合技術監理に必要な知識を幅広く学ぶことができます。」

👧美咲:
「つまり、ISO 31000、JIS Q 2001、『技術士制度における総合技術監理部門の技術体系』は、それぞれ目的が違うんですね!」

👩‍💼純名さん:
「その通りです、美咲さん。どの枠組みを使うかは、プロジェクトの目的や、自分の知識、経験に合わせて、自由に選択することができます。大切なのは、それぞれの枠組みのメリットとデメリットを理解した上で、最適な方法を選択することです。」


✅(1)いざ、プロジェクト設計!

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