大相撲の定員は、幕内42人、十両28人となっています(2004年1月場所以降)。
そのため、関取の引退等があると、幕下→十両、十両→幕内へと、ところてん式に昇進する力士が出るわけですが、もしもところてん式の昇進を続けたら、どこまで行くのか?
それを確かめるため、私は『相撲レファレンス』のホームページを使ってどこまで番付が繰り上がるか調べてみました。
並行して、異なる地位の対戦成績も調べてみました。
データは、いずれも1989年1月場所(平成最初の場所)から、2007年5月場所終了時点まで(全111場所分)のものです。
起算点とした1989年1月場所は、横綱が千代の富士・大乃国・北勝海の3人、大関が旭富士・北天佑・小錦・朝潮の4人、関脇が逆鉾・太寿山の2人、小結が霧島・三杉里の2人でした。
開始時のチェックポイントは、以下の通りです。
*横綱3(横綱の最下位)
*大関4(大関の最下位)
*関脇2(関脇の最下位)
*小結2(小結の最下位)
*前頭10(上位総当たりの目安である、前頭5枚目以内)
*前頭27(前頭の最下位)
*十両26(十両の最下位)
*幕下30(幕下上位=7戦全勝すれば十両昇進が決まる、幕下15枚目以内)
*幕下121(幕下の最下位。この場所で幕下付出デビューした、山﨑{のちの前頭・大翔山。現・追手風親方}も数に含む)
*三段目200(三段目の最下位)
引退力士がいる場合、場所前の引退は「空き番付」と、場所中の引退は「途中休場」とみなしています。
引退力士の場所は、いずれもしこ名が最後に載った場所としています。
公傷(新型コロナウイルス関連も含む)による休場力士や、幕下・三段目付出力士がいる場合は、それも考慮しています。
異なる地位の対戦は、以下の10通りの組み合わせを指します。
なお、不戦勝・不戦敗や、優勝決定戦・巴戦の対戦成績はそれぞれ区別しています。
①:横綱VS大関
②:横綱VS関脇
③:横綱VS小結
④:横綱VS前頭
⑤:大関VS関脇
⑥:大関VS小結
⑦:大関VS前頭
⑧:関脇VS小結
⑨:関脇VS前頭
⑩:小結VS前頭
結果は以下の通りです。
(1)引退等による十両以上の繰り上げ
(▼は引退、↓は陥落、◎は新、○は再。しこ名はいずれも当時。昇進と同時に改名した場合は、改名後のしこ名を表記)
H1春:▼朝潮(大) ◎琴錦(十→前) ◎貴闘力(下→十)
H2春:▼龍興山(前・死亡)◎貴花田(十→前) 富士乃真(残留)
H2秋:▼北天佑(大) ◎琴の若(十→前) ○大善(下→十)
H3夏:▼千代の富士(横) ○大若松(十→前) ○剣晃(下→十)
〃 :▼太寿山(前→十) 芳昇(残留)
H3名:▼大乃国(横) ○旭豪山(十→前) ○大鈴木(下→十)
H4初:▼旭富士(横) ○花ノ国(十→前) ○栃天晃(下→十)
H4夏:▼北勝海(横) ○花ノ国(十→前) ◎若闘将(下→十)
H8春:▼霧島(前→十) ◎琴嵐(下→十)
H8九:▼旭道山(前) 琴別府(残留) 〇栃乃藤(下→十)
H9秋:▼力櫻(前→十) 剣晃(残留)
H9九:▼小錦(前→十) ◎金開山(下→十)
H10初:▼旭里(十) 〇大碇(下→十)
H11初:▼旭豊(前→十) 〇出羽平(下→十)
H11名:▼栃乃和歌(前→十) ◎玉ノ洋(下→十)
H12春:▼若乃花(横) 琴ノ若(残留) ◎泉州山(下→十)
H12秋:▼琴錦(十) 智乃花(残留)
H13初:▼曙(横) 〇安美錦(十→前) ◎隆の鶴(下→十)
H15初:▼貴乃花(横) 栃乃花(残留) ◎日出ノ国(下→十)
H15夏:▼安芸乃島(前→十) 出羽乃富士(残留)
H15九:▼武蔵丸(横) 〇朝乃若(十→前) ◎白鵬(下→十)
H16夏:▼貴ノ浪(前→十) 若光翔(残留)
H16九:▼武双山(大→関) 時天空(残留) 〇大真鶴(下→十)
H17夏:▼琴龍(十) 須磨ノ富士(残留)
H17九:▼琴ノ若(前) 〇北桜(十→前) 将司(残留)
H18九:▼旭鷲山(前→十) 大真鶴(残留)
H19夏:▼栃東(大) 皇司(残留) 千代白鵬(残留)
H19名:▼高見藤(十) 琉鵬(残留)
(十→前は15人、新3、再7、残留5。下→十は28人、新9、再8、残留11)
(2)繰り上がり
横綱3→消滅(1992年5月場所直前、61代横綱・北勝海の引退により消滅)
大関4→消滅(新横綱は1995年1月場所。65代横綱・貴乃花の昇進による)
(2003年1月場所中、65代横綱・貴乃花の引退により消滅)
関脇2→消滅(新大関は1992年7月場所。曙の昇進による)
(新横綱は1998年7月場所。66代横綱・若乃花の昇進による)
(2000年3月場所中、66代横綱・若乃花の引退により消滅)
小結2→横綱1(新関脇は1992年7月場所。琴錦の昇進による)
(新大関は1994年3月場所。武蔵丸・貴ノ浪の同時昇進による)
(新横綱は2003年3月場所。68代横綱・朝青龍の昇進による)
前頭10→小結1(新小結は2003年3月場所。土佐ノ海の昇進による)
前頭27→前頭16
十両26→十両1
幕下30→十両14(新十両は1999年3月場所。出羽平の昇進による)
幕下120→幕下27(2006年1月場所、千昇が幕下15枚目以内に入る)
三段目200→幕下116(新幕下は2006年7月場所。箕應山の昇進による)
(序二段以下は定員が無いため、除外)
(3)大関昇進による繰り上げ
H2夏:◎霧島(関→大) 〇栃乃和歌(小→関) 〇両国(前→小)
H4名:◎曙(関→大) 〇琴錦(小→関) 小結は4人
H5春:◎貴ノ花(関→大) 関脇は4人、小結は2人
H5秋:◎若ノ花(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H6春:◎武蔵丸(関→大) 関脇は4人、小結は2人
〃 :◎貴ノ浪(関→大) 〃
H11春:◎千代大海(関→大) 関脇は3人、小結は3人
H11秋:◎出島(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H12春:〇貴ノ浪(関→大) 関脇は4人、小結は2人
H12夏:◎武双山(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H12名:◎雅山(関→大) <入れ替わりで貴ノ浪が関脇転落>
H12秋:◎魁皇(関→大) <入れ替わりで武双山が関脇転落>
H12九:〇武双山(関→大) ◎追風海(小→関) ◎若の里(前→小)
H14初:◎栃東(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H14秋:◎朝青龍(関→大) 〇土佐ノ海(小→関) 〇貴ノ浪(前→小)
H16秋:〇栃東(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H17春:〇栃東(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H18初:◎琴欧州(関→大) 〇白鵬(小→関) 〇玉乃島(前→小)
H18夏:◎白鵬(関→大) 〇雅山(小→関) ◎安馬(前→小)
H19秋:◎琴光喜(関→大) ◎朝赤龍(小→関) 〇稀勢の里(前→小)
(小→関は7人、新2、再5。前→小は6人、新2、再4)
(4)大関陥落による不運
H5初:↓霧島(大→関) 関脇は4人、小結は2人
H6初:↓小錦(大→関) 関脇は4人、小結は2人
H12初:↓貴ノ浪(大→関) 関脇は4人、小結は2人
H12名:↓貴ノ浪(大→関) <入れ替わりで雅山が大関昇進>
H12秋:↓武双山(大→関) <入れ替わりで魁皇が大関昇進>
H13秋:↓出島(大→関) 若の里(小)は再関脇、琴ノ若(前)は再小結ならず
H13九:↓雅山(大→関) 関脇は3人、小結は2人
H16名:↓栃東(大→関) 関脇は3人、小結は2人
H17初:↓栃東(大→関) 関脇は3人、小結は2人
(小結留め置きが1人、新0、再1。前頭留め置きが1人、新0、再1)