毎年就活生に人気の企業ランキングが発表されます。一番から百番くらいまでは、誰もが知っている有名大企業が並び、あたかも就職したい企業ランキングに見えますが、本当にそうでしょうか?
広告的側面から見ると、何となく臭う大人の事情が感じ取れてしまいます。
そもそもランキングに何の意味があるのでしょうか?誰のためにあるのでしょうか?
学生からして見れば、テレビや新聞などで知っている名前に丸を付けただけだと思います。何百名かの採用枠に、ほとんどの就活生が入社出来るとは思っていないでしょう。
以前から大企業への一極集中という現象があります。それは大学の受験と同じような傾向です。
大学受験は受験料が必要ですが、入社試験は無料です。(最近は受験料を徴収する企業もあるとか)
時折、記念受験などと言う学生が居ますが、時間と労力の無駄ですから止めるべきです。
日本には現在約178万社(令和3年度統計局調べ)の企業があり、そのうち大企業が約12万社、残りの約75%が中小零細企業と言うことになります。
しかし、多くの学生が大企業に就職を希望するのはなぜでしょうか?安定志向?プライド?親の期待?色々な理由があるでしょうが、社会人のほとんどが中小零細企業に勤めていることを理解して欲しいものです。就活の失敗例としてあげられるのが、十数社も試験を受けたが、一社からも内定がもらえないと言う学生がいます。ブランド大学、成績は上位クラス、誰から見ても就職には困らないように見えましたが、受け入れてくれる企業は有りませんでした。自己を過信し、業種を問わず大企業ばかりターゲットにした結果です。
学生からの相談で多いのが、企業選びです。
「内定を二社頂きました、どちらが良い会社でしょうか?両親は○社が良いと言いますが・・・」
贅沢な悩みとも言えますが、ご両親は有名企業を選択し、本人はやりた仕事がある中小企業に決めたいが説得出来ない、と言うことのようです。
「あなたはどちらの仕事をしたいのですか?」
このような場合、保護者と充分話し合うように勧めています。
彼がやりたい仕事は、プロバスケットチームのフロントスタッフだそうです。そのチームは知名度や人気度など、今ひとつのように感じますが、彼が働くことにより変わる可能性があります。営業から販売、販売促進、総務、経理、広告まで、少ない人数でやらねば成りません。もちろん将来はわかりません。収入も安定しないかもしれません。しかし、彼はそこで働くイメージや夢が出来ていました。
ほんの少し前まではスポーツでは飯が食えないと言われていました。しかし、サッカーが隆盛を極め、人気スポーツとして定着することを、三十数年前に想像した人がどれだけ居たでしょうか。
保護者が就職活動した時代と今では、だいぶ状況が変わっています。間違ったアドバイスで学生を悩ませることがないように、適切な判断と充分な話し合いが必要です。
不透明な時代ですから、安心安定を求める気持ちは理解出来ますが、大企業だからといって安心する時代ではありません。過去に消えて行った大企業の例はいくつもあります。むしろ新しい時代に適応したベンチャー企業の方が可能性を秘めているかも知れません。
あなたが好きな仕事、やりがいを見つけられる仕事、哲学を持てる仕事を見つけましょう。